5滴目「SNS」
友達である瑞希に相談に乗ってもらい、檸音から部活を辞めた理由を改めて知った葵。放課後、2人は帽子を買いに行ったようで、、、
「ただいまー」
今日はなんだか体が軽い
檸音から直接理由を聞けてスッキリしたからかな?
早く体調が良くなるといいけど
それにしてもなんで急に帽子を買いに行ったんだろ
それに季節外れのニット帽を、、、
最近の流行りなのかな?
「あ、お兄ちゃん、、、おかえり、、、」
「夏海!今日は帰ってくるのが早いね」
「別にいいでしょ、、、」
妹の夏海は思春期真っ只中
少し反抗期気味であまり会話が続かない
「葵じゃん、おかえり」
「ただいま姉ちゃん」
「あ!ちょっと夏海!!あんたが食ってるアイス!それアタシのなんだけど!?」
「・・・」
「黙ってないでなんか言いなさいよ!!」
「まぁまぁ笑姉ちゃんダイエット中なんでしょ?」
「うっ、、今日は許してやろう」
夏海が反抗期だからって
僕たちの仲が悪くなるわけじゃないし
これはこれで楽しい日々を送っている
「あらあら葵、帰ってたのねおかえり」
「ただいま母さん、今日は焦がしてない?」
「今日は大丈夫よ、ほら今餃子を焼いて、、、あら?IHの電源がついてない、、、」
「なんで気づかないの」
「まぁ焦げるよりマシね、すぐ焼くわ」
やっぱり抜けている
ここまで来ると逆に心配だなぁ
「それじゃあ頂きましょう」
「「「いただきます」」」「、、、いただきます」
「ちょっと夏海!!ご飯中くらいスマホ触らない!!」
「、、、うるさいなぁ、今DM返してんの」
「ちょっとぉ!!アタシにうるさいって言ったわねぇ!?」
「まぁまぁ由希奈、みんなで食べれるだけいいじゃない」
「お母さん、、、!!甘やかしすぎてもダメよ」
「まぁDMが終わったらスマホは触らないよな?夏海」
「、、、お兄ちゃんが言うなら」
「ちょっと!!アタシはなんでダメなのよ?」
「まぁまぁ笑」
「、、、、、、えっ!?」
「ん?どうした夏海」
「、、、い、いや、、、なんでもない!」
「あらあらどうしたのかしら?」
「いいのよほっとけば、どうせしょうもないことよ」
急に夏海がご飯を夢中に食べ始めた
スマホを見てビックリしてたけど
何を見たんだろう?
「ただいまぁ」
「あらお父さんだわ、おかえりなさい」
「いやぁ今日も暑いよ、汗が止まらない」
「お仕事お疲れ様です、ご飯すぐよそいますね」
「あぁすまないね、お、夏海今日は帰るのが早いじゃないか」
「・・・ご馳走様」
「あれ、もういいのか?オカワリしないのか?」
「もうっ、お父さん少しは察しなさいよ、こういう時だけ勘が鈍いんだから」
「え〜?」
「、、、あっお兄ちゃん、」
「ん?どうした?」
「後で、、、あたしの部屋来てくんない?」
「え!?、、、いや、うんわかった」
「じゃ、、、あとで」
「えー!夏海がアンタを部屋に誘うなんて珍しぃ!!」
「羨ましいなぁ!!お父さんもついて行こうかな?」
「やめときなよオッサン」
「おっ、、、!オッサンは酷いぞぉ、、、」
どうして急に僕を部屋に呼んだんだろう、、、
なにかあったのかな?
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『ただいまぁ』
「おう、帰ってきたかぁ、母さんに手ぇ合わせてこい」
『分かってるよー』
パンッ
『、、、ただいまぁー』
「、、、ねぇお兄ちゃん、、、」
『おっ!優真!!、、、おいどうした?』
「、、、お兄ちゃんはさ、死なないよね?」
『え?急にどうした?』
「今日ね、道徳の授業でね家族の話が出てね、兄弟が事故で死んじゃう内容でね、悲しくてね、お兄ちゃんは大丈夫かなって、思って、ね」
『おいおい泣くなって笑!!俺が死ぬわけないだろ?』
「、、、ほんとぉ?」
『ほんとさ!!お兄ちゃんは逆上がりもできるし人参も食べれるし、最強だぞ〜!!』
ムギュッ
「、、、絶対死なないでね!」
『おいおい笑、そんな強く抱きつくなって!』
ムギュ
『、、、絶対死なねぇよ』
「おーい!お前ら何してんだぁ?メシできたぞぉ!!」
「ハッハッハ!!そんなことで泣いてたのか!!」
「もぉー!笑うなよぉ!」
「檸音が死ぬわけねぇだろー、なっ?」
『うん、絶対死なないよ!』
「ならいいよ!安心したぁ」
「『・・・・』」
「そういえばお兄ちゃん、まだ薬?飲んでるの?」
『え、なんでそれ知ってんだ!?』
「えっと、あおい兄にね、最近お兄ちゃんがつぶつぶのお菓子食べてるんだって言ったら、それは薬かもって言ってたの」
『あー、、、そうだな、まだ薬飲んでるぜ、最近風邪ひいてな』
「やっぱしそうなんだ!早く良くなるといいね!!」
『、、、そうだな!!早く治せるように兄ちゃん頑張るな!』
「うん!」
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夏海の部屋に入るのはいつぶりだろう?
もう何年も入ってない気がする
コンコン
「夏海?入るよ?」
部屋に入ると大量の人形と雑誌
少し散らばっているが片付けた様子もある
「、、、散らかってるけど、そこら辺座って」
「それで、話って?」
「、、、あのさ直球に聞くけどさ、、、」
「お兄ちゃん、檸音さんと付き合ってるよね」
「え?」
どうして夏海がそれを知っている?
僕たちが付き合っていることを知っている人はほとんど居ない
瑞希とは関わりは無いはずだから
そこから情報が伝わることは無いだろうし
「お、おばあちゃんから聞いたの?」
「いや、てかおばあちゃん知ってるの?」
やばい
思わずこっちから情報を漏らしてしまった
でも、おばあちゃんでもないなら一体どこから?
「ど、どうして知ってるの?」
「もう否定はしないんだね」
「うっ、、だって、今更でしょ」
「まぁね、ちょっとこれみて」
夏海はスマホの画面を見してくれた
そこにはなんと
「なんで僕と檸音の写真が、、、!?」
少し前に行ったカフェでの写真がSNSにあがっている
顔は写ってないが
僕は小さい頃に右手についた傷が今もあって
檸音はお気に入りの指輪を毎日左手につけている
この2つが写真にガッツリ写っている
夏海は檸音と少し面識があり
指輪のブランドを知っていたことから
檸音と分かったらしい
そしてその写真の説明欄には
[俺たちが付き合ってから一番行ってるカフェ☕️]
と書かれてある
さっきの夜ご飯中に驚いていたのは
僕たちが付き合っていることを知ったからだ
「う、嘘でしょ、、、なんでこれがあるの」
「、、、これさ、多分檸音さんのアカウントじゃない?」
その写真が載っていたアカウント名を見てみると
@reon_0522
0522は5月22日
檸音の誕生日だ
「そんな、檸音なにしてんの、、、」
これで色んな人に僕たちが付き合っていることがばれてしまったら、、、
特にあの人にだけは、、、
「夏海!!このことは誰にも言わないで!!アカウントも付き合ってることも!!」
「分かってるよ、さすがにそこまで空気の読めない妹じゃないし」
「夏海、、、!!本当にありがとう!!」
「でもこれ早めに檸音さんに言っとかないとやばいよ、すぐに広まっちゃうよ」
「うん、そうだよね、明日すぐに話に行く!」
明日檸音に写真を消してもらわないと
でもどうしてこんなことしたんだろう?
むやみに付き合っているってことは周りの人に話したくないって僕から話して、そのことは充分理解してくれていたはずなのに、、、
「あら、お父さんがスマホをまじまじ見てるなんて珍しい」
「いやー会社の後輩からね、リンスタグラム?ってやつが流行ってるからやった方がいいって言われてね」
「あらー、そうなの」
「それにしても色んな投稿があるなぁ、、、ん?この写真、、、」
「どうかしました?」
「いや、なんでもないよ!」
「この手の傷、葵のだよなぁ、、、だとしたら、、、いやいや、そんなはずないな!!そんなはずない、、、」
5話目いかがでしたか?
まさか写真がSNSにあがっているなんて!!これは明日やばい事になりそうですぅ。そしてお父さん、最後の会話、まさかあの投稿を見つけてしまったのか、、、?一体明日どうなってしまうんだぁー!?