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広場の英雄像に毎日求婚していたら、本人が降りてきました ~昨日の愚痴も告白も、全部聞こえていたんですか?~

作者:くらたん
最新エピソード掲載日:2026/11/07
「お前に求婚する物好きなんて、広場の石像くらいのもんだ」

婚約を破棄した元婚約者にそう笑われて、百日。日陰の隅へ追いやられた花屋台の前で、私は毎日、店じまいのあとに英雄像へ花を一輪供え、求婚してきた。

百年前に町を救って石になった騎士様なら、返事がなくても気が楽だ。愚痴も、売れ残りの数も、好きな人としたいことも、全部話した。

百回目の夕方。新しい婚約者を連れて冷やかしに来た元婚約者の前で、私はいつもどおりに言った。

「今日もお返事は保留ですか。では、また明日、求婚します」

背を向けた瞬間、石の足もとで音がした。

振り返ると、空になった台座の前で、青年が私に膝をついていた。

「昨日の返事も、その前の返事も、全部、はいだ」

……聞こえていたんですか。愚痴も、告白も、全部?

「百日分のお返事、確かに承りました。では英雄様、明朝六時、まずは鉢運びからお願いします」

翌朝から、英雄様は私の願いを一つずつ叶えに来る。重い鉢を運ぶ旦那様。雨の日の迎え。二人で半分こする飴。英雄を百年祭の飾りに欲しがる組合長が、屋台の場所代を十倍にすると言い出しても。

なのに、好きだと言うのは私ばかり。

「それ、助けたお礼でしてくださるの?」

英雄様は困ったように笑って、答えに詰まった。
1. 百回目の求婚
2026/11/07 12:25
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