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氷の王子様が溶けたら溺愛が待ってました  作者: 漆原 凜


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1/4

始まり

令嬢達が牽制をし合っている。キラキラとした眩しいくらいの宝石に、ギラギラとしたドレス。広い1室に集められた令嬢達は今か今かとそわそわしている。


数多くいる婚約者候補を顔合わせとして本日お茶会があり、遅れましたと現れた王子殿下であるルーカス様と対面する。サラサラな銀髪と青い瞳、きめ細やかな白いお肌に端正な顔立ちが候補者達の心を掴む。


13歳の頃から留学に出ており、4年立ち18歳を前に今年帰ってきた為ついに婚約者を決める事になったそう。幼い頃から何でも出来て優秀だが笑わないし必要以上喋らなくて、冷たそうな見た目も相まって氷の王子様と呼ばれていた。数年ぶりに見る成長しさらに見目麗しくなった王子様に令嬢達は浮き足立っている。


「レティシア明日王宮へ行くように。まぁ参加してくれるだけで良いよ。」


昨夜急にお父様に明日王宮に行くように言われ、私は嫌々ながら参加をしている。見目麗しい王子様には興味が無い。きっとあちらのギラギラしている令嬢達の中から婚約者が選ばれるのだろう。


「君にする。」


皆続々と挨拶をしている中で私の順になり、挨拶をしようとした時王子様が爆弾発言をした。


「…は?」


「婚約者は君にするよ。」


意味がわからない。王子様は私の手を取りこちらへとエスコートされる。王宮の人達もざわつき慌てている。王子様はお茶会楽しんで帰ってと参加者に告げ、私を連れ部屋から出て行く。扉の閉まった部屋の中が令嬢達の悲鳴と叫び声で騒がしくなっている。私だって叫びたい。


え?なんで?これから何処行くの?私はパニックになりつつもエスコートをされているから、静かについて行く他無い。私の顔を見る事もなく無言で淡々と歩く王子様。しばらく歩いて行き突き当たりの豪華な部屋の前で止まると、そこに居た近衛騎士が扉を開ける。


「失礼します。父上婚約者はこちらの方に決めましたので報告に上がりました。」


「え?もう決めたの?早いねー。」


まさかの陛下だ!膝を折りご挨拶をしようとすると、堅苦しのはいいよと止められた。


「えーっと…名前何?」


「レティシアと申します。エイムズ公爵家の娘です。」 


王子様に名前を聞かれ答える。名前も知らない人を婚約者に決めないで欲しい。


「ルドルフのとこか!あいつは出世欲も無いし良いじゃないか。人当たりもいいし政敵もいない。ルーカス良い子選んだな。」


「そうなのですね。親子揃って欲が無いのですか。令嬢達の中でギラギラしてなかったので彼女にしました。問題無くて良かったです。」


まさかのギラギラが正解だったのか…気配消していれば選ばれないと思って地味にしたのに反対だったなんて。完全に失敗した。選考方法を事前に知っていればギラギラ衣装で来たのに。早速ルドルフに連絡をして婚約を進めよう!と陛下が指示を出しながら楽しそうにしている。


「では、これで失礼します。この後の手続きはよろしくお願いします。」


王子様は陛下に挨拶をして、行こうってまた私の手を取り歩き出す。もう帰れる?私は家に帰りたくて仕方が無い。帰ってこの異常な状態を整理したい。


「はい。ここに座って。」


完全に期待外れだった。王子様に王宮の1室に案内され部屋に入ると座るように言われた。侍女の方がお茶を入れてくれ、目の前に美味しそうなお菓子が沢山置かれる。


「レティシア嬢これからよろしく。母には今度紹介するね。まぁ少し妃教育とか大変かも知れないけどごめんね。」


「…はい。よろしくお願いいたします。」


私は断れない。よろしくお願いする他無い。嫌だなー。どうしたら婚約者辞めれるかなー。と思っていたら王子様の口元が少し笑っているように見える。


「本当嫌そうだね。君にして良かったよ。」


「…ありがとうございます?」


「交流は週1でいい?」


「…はい。」


アハハって笑われる。笑顔が眩しい。氷の王子様って笑うんだって思ったら周りで皆が驚愕している。やっぱり笑わないんだ。


「ゴメンゴメン。嫌がるってわかっていて聞いたんだ。とりあえず2週間に1回は会おうか。それでいい?」


はいと頷く。何故か王子様は嬉しそう。お菓子も食べてねって勧めてくれ、好き嫌いある?て聞いてくれる。


「甘いものは何でも好きです。嫌いなものは無いですね。ルーカス様はありますか?」


「特別好き嫌いは無いかな。あと呼び方はルカでいいよ。私はシアって呼んでいい?」


「はい。シアで。ではルカ様と呼ばせて頂きます。」


「慣れたら敬語も辞めてね。私達婚姻するのだし。」


…はいって少し照れてしまう。本当に婚姻するのかな。するんだよね?さっき陛下にも会ったし…本当に?


「ルカ様は本当に私と婚姻するのですか?」


「もちろんするよ。最初は勘で選んだけど今はシアにして良かったって思っているよ。」


「私性格悪いかも知れないし、野心に溢れていてルカ様に合わないかもですよ?」


そういうところだよって微笑んでくれる。出会ったばかりだけど、好ましく思っているって言ってくれる。


「私はあまり感情が出る方では無いし、気も利く方では無い。けれど妻となる人は幸せにしたいと思っているんだ。私の両親は今でも仲が良くて、私もそうなりたいと思っているんだ。」


だから不安な事は何でも聞いてほしいと。意外と凄い良い人じゃない?冷たそうな偏見持っていて悪かったな。


「両陛下の仲の良さは私も憧れです。」


ありがとうって笑うルカ様は美しい。また近々会おうと約束し、馬車まで送ってくれるとの事。ついに帰れる。


「今帰れるって思ったよね?シアに好かれる様にこれから頑張るね。」


ハハッて愛想笑いをしてしまう。またエスコートをされ馬車まで送ってくれ、じゃまたねってお別れする。


馬車で思いっきりため息をつく。初めて会った王子様は結局良い人なのか腹黒なのかわからない。意外とよく笑うんだなって思ったくらい。


「レティシア…何故お前が選ばれたのか。昨夜やる気無かったではないか。」


「やる気なんて全くありませんよ。それが良くありませんでした。私が選ばれた理由はギラギラして無かったからです。」


親子で深いため息をついてしまう。辞退出来ませんよね?て一応聞くけど、無理だって一刀両断される。


「私は明日婚約の手続きに朝一で登城する事になっている。すでに内定していて明日からお前は名実ともに殿下の婚約者だ。」


「…わかりました。こんな事なら今日参加しなければ良かったです。」


「殿下は噂通りだったのか?」


「いえ…優しかったです。意外と色々話をしてくれて結構笑ってました。」


それなら良かったとお父様は安心している。まぁこれから交流してみて、どうしても無理なら断れる様に私から陛下にお願いするよってお父様は言ってくれる。他家の父親なら王家の縁繋ぎに必死でそんな事は言ってくれないだろう。


「やれるだけやってみます。」


お父様は頷き無理しないようになって頭を撫でてくれる。もう幼い子供では無いですって言うが、まだまだ可愛らしい私の娘だよって笑われた。ありがとうございますって笑い合い部屋を出る。


自分の部屋に戻り寛いでいると侍女のソラからプレゼントが届きましたと渡される。お花とお菓子だ。ルカ様からで手紙がついている。


『素敵な婚約者様に好かれる様に、これから精一杯努力するよ。ずっと大切にするのでこれからよろしくね。』


本当に意外だ。話をするまでは形だけの婚約者選びなのかと思っていた。しかし私を決して適当扱うわけでもなく優しい。机に向かいお礼の手紙を書く。


手紙を届けてもらうと何故か、すぐまたルカ様から手紙が届く。読むと思いもよらぬ内容だったので私は頭を抱えてしまった。


明日会いに来るらしい。何故だ。

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