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十年の眠りの間に、私の弟子は最強になっていた  作者: あさび
過去編

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第四話 光の名

まだ十二歳だというアウレリアの弟子とは、どんなものなのか。


半信半疑だったが、その不安はすぐに消えた。


彼女はすでに、達人の域に達した剣士だった。


年齢も、性別も関係ない。


ただ強い。


それだけで十分だった。


剣の軌道が、光を引いたように見える。


彼女の剣は特別で、魔力を込めることでさらに力を発揮するらしい。


一通りの型を見せ終えると、アウレリアは汗ひとつかかず、いつもの笑顔を向けた。


「これがアルフェン剣術。アルフェン公爵家が使う剣術よ」


「……本当に俺に出来るでしょうか?」


「大丈夫よ。言ったでしょう?貴方には才能がある。私の言葉が信じられない?」


「それは……」


自信はない。


けれど、その言葉を疑う気にはなれなかった。


「……お願いします」


こうして、修行が始まった。


リオの目から見ても、アウレリアは特別だった。


アルフェン家に仕える兵士や、レオニスが鍛錬する姿も目にしたことがある。


だが、その後に彼女の剣を見ると、どうしても霞んで見えた。


同じ“武のアルフェン”であっても——


アウレリアは、その中でも別格だった。


言われた通り、剣に打ち込んだ。


教えられた通りに振るだけで、自分が強くなっているのがわかる。


時には体が悲鳴を上げるほど厳しい修行もあったが、不思議と苦ではなかった。


むしろ、楽しかった。


それが、初めて思う“好き”だった。


これまでの生活と比べれば、ここはまるで別の世界のようだった。


アルフェン家の使用人の中には、出自の知れないリオに心ない言葉を向ける者もいたが、気にはならなかった。


アウレリアといられる。


それだけで、十分だった。


初めて“居場所”を得た気がした。







「えっと、今日はこの本を読んでみましょうか」


アウレリアは剣だけでなく、合間に読み書きも教えてくれた。


これまで勉学などしたことがなかったリオにとって、それもまた新鮮で楽しかった。


どうしてここまでしてくれるのかと尋ねると、彼女はただ「師匠だからよ」と笑った。


その日も、本のページをめくっていると、ある文字が目に留まる。


「あの、先生」


「どうしたの?わからないところでもあった?」


「……これ」


指差した文字を見て、アウレリアは「ああ」と小さく笑った。


「そうよ。それは貴方の名前ね」


「『Rio』はルクシオンの古い言葉で、“光”とか“夜明け”って意味があるの」


「夜が明けるみたいに、生きてほしかったのよ。ここからが貴方の人生よって」


ずるい、と思った。


そんなこと、あの時は一言も言っていなかった。


なのに——


一番欲しかったものを、迷いなく与えてくる。



「……それは、先生のことですね」


「え?」


自分にとっての光は、彼女だった。


暗闇の中に差し込んだ、最初の光。


「強くなります」


そう口にすると、アウレリアは少し驚いたように目を丸くした。


それでも、すぐにいつものように頷く。


「ええ。きっと大丈夫」


「努力すれば……強くなれば、誰にも脅かされない」


自分のことは、どうでもいい。


けれど——


強くなって、いつかこの人を護りたいと思った。


それが、リオの初めての願いだった。

ここまでが、アウレリアとリオの出会いと名前の由来の過去編です。どこかで書きたいなと思っていたので良かったです。

次からは本編、2部に入ります。

引き続きよろしくお願いします。

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