表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/83

第12回『山岳地帯に潜む大蛇・多頭蛇3』

 我々が多頭蛇を観察し始めてから数時間。

 それまで山道を悠々と移動していた多頭蛇が、急に動きを止めて全ての頭をせわしなく動かしています。



「あれは……多分、獲物を見つけたので確認しているところでしょう」



 博士の言葉にカメラを動かして辺りを見てみれば、多頭蛇がいる場所から東の方角へ500mほど行った先にある大きな岩の横に、オーガがいるのが確認できました。

 オーガは体長5mほどの人型モンスターであり、好戦的かつ知能のある攻撃をすることから、なかなかの危険度を誇るモンスターでもあります。



「オーガの方はまだ、多頭蛇に気付いていないようですね」



 地面を這うように移動する多頭蛇、例え鱗の色が目立つとはいえ500mも離れてしまえば、見つけることは難しいのでしょう。確かにオーガの方は、多頭蛇を見つけた様子もなくキョロキョロとあたりを見回しています。

 多頭蛇も最初はその影を見つけただけだったのでしょうが、すぐにその優れた視覚によってオーガを発見。

 猛烈な速度でオーガのいる岩へと移動を始めます。



「多頭蛇の恐ろしいところは、この移動速度もあります。20m以上という巨体でありながら、なんと彼らは100mを10秒台で駆け抜けるほどのスピードを出すんですよ」



 20mという巨体なら、当然それだけ体重も重いはずです。事実、多頭蛇の重さは500㎏以上はあるのですが、それだけの体で100mを10秒台で移動できる。

 これだけで彼らの恐ろしさが伝わってくるのではないでしょうか。


 そうして博士が解説してくれている間に、岩々の間をスルスルと上手くすり抜けながら多頭蛇はオーガへと迫ります。オーガの死角となる場所を通っているのか、すでにかなり近づいているというのに、オーガは気づく気配がありません。



「多頭蛇は常に副頭を使い、獲物と周囲の様子を観察しています。だからこそ、相手に気付かれにくいルートを使って接近することができるんです」



 これもまた、合計24個にもなる目で周囲の状況を探れる多頭蛇ならではの強みでしょう。

 それぞれの頭によって周囲の様子を確認し、獲物がどこにいるか見逃さない、こんなことができるモンスターは多頭蛇くらいのものです。


 多頭蛇は中級以上の探索者がパーティーを組んで討伐することが推奨されています。

 それは、この多頭蛇の恐ろしい潜伏能力が理由のひとつなのでしょう。パーティーを組んで周囲を警戒していたのに、襲われて命を落とした探索者の話は数多く聞きます。



「さあ、そろそろオーガを襲いますよ」



 結局オーガが多頭蛇に気付いたのは、既に多頭蛇が飛び掛かる態勢に入った頃でした。

 多頭蛇の姿を確認し、慌てて逃げようと踵を返したオーガでしたが、多頭蛇は一度体を大きく縮めたあと、まるでバネに弾かれたように大きく跳躍してオーガへと襲い掛かります。


 その巨体の重さを感じさせない、高く遠くまで届く跳躍。

 逃げ出したオーガが移動する先を読んでいたかのように、正確にその背中に多い被さる形で着地した多頭蛇。いきなり500㎏以上の重さがかかったオーガは、走り出そうとしていたこともあってその場に転倒。

 転倒したその隙を見逃さず、20mもある長い多頭蛇の体がオーガの体へと巻き付きます。



「多頭蛇の口には牙こそありますが、毒は持っていません。

 というのも、毒を使わなくてもあの体で巻き付くことで相手の動きを完全に封じることができるからです」



 20mという巨体を動かす多頭蛇。

 その体は、全身がとてつもない強靭な筋肉の塊となっています。そんな彼らが全力で締め上げる力は、ビルなどに使われる鉄筋コンクリートでさえ易々と折り曲げてしまいます。

 オーガもかなりの膂力を持つモンスターとして有名ですが、それでも多頭蛇に全身を締め上げられている状態から逃げ出すことはできません。






読んでいただき、ありがとうございます。

その4へ続きます。


※誤字脱字などありましたら、感想などでご連絡ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ