第6回『泳ぐ刃物・ナイフフィッシュ5』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
「ナイフフィッシュは、基本的に討伐対象となることがありません。
異常発生する前に他のモンスターに捕食されてしまいますし、戦闘能力も皆無と言っていいからです」
ナイフフィッシュは通常の魚と同じように、陸上で活動することはできません。漁師の網に捕まってしまえば、あとは窒息して死亡するのを待つばかり。
船に対して深刻なダメージを与える原因ともなるナイフフィッシュですが、陸上で人間に与えることができるダメージといえば、網から取り出す時に少し手を切ってしまう程度です。
有害ではあるものの、討伐するほどの危険度は認められない、そんなモンスターがナイフフィッシュなのです。
海水浴の時期になったとしても、他の海洋モンスターのように討伐依頼が増えることもなく、海水浴客への被害も全くと言っていいほどに報告されていません。
さらに体が小さく、目立って良い素材が採れるということもありませんから、討伐対象になることはまずないでしょう。
あるとしても、他の海洋モンスターの討伐依頼に付属する形の、いわばおまけ扱いとしてばかりです。
「一応食材として流通しているものの、わざわざ探索者に依頼しなくても漁で捕まえることができますからね。
それにヒレの部分も、刃物として使えるように加工する手間を考えれば、通常の金属から作るナイフで十分なのでまったくと言っていいほど需要がありません」
普段からスーパーなどに並び、食糧として私たちの生活に貢献してくれているナイフフィッシュ。
しかしその一方で、モンスターとしての脅威は少なく、無視されがちな存在です。それはある意味、他のモンスターに捕食されるリスクを取ってまで、他の生物を捕食せずに生きていくという道を選んだ彼らの選択が、正しかったという証明になっているのかもしれません。
「もしナイフフィッシュが他の生物を襲うようであれば、最優先で討伐対象となっていたでしょう。
ある意味脅威になり得ない現在の生態だからこそ、彼らは討伐されることもなく生きていけるんですね」
博士の言う通り、ナイフフィッシュがもう少し人に害を及ぼす存在なら、毎年数多くの討伐依頼が出ていたはずです。
スライムですら討伐依頼が出ている中、ナイフフィッシュはそういった依頼そのものが存在しない稀有なモンスターとして生きています。
それが彼らの望んだ結果かどうかは別にしても、非常に安全な生き方ができているモンスターではないでしょうか。
漁業を行う漁師たちにとっては、船を壊す原因になる嫌われ者のモンスター……ナイフフィッシュ。
しかし、その生態は他の生物を襲わず、自衛もほぼ受け身という人畜無害に近いものでした。恐らく漁船への被害さえなければ、無視されてしまいそうなナイフフィッシュたち。
世界中の海を悠々自適に泳ぎ回り、ほとんどの仲間を食べられても1割生き延びれればいいという自衛方法。
他の生物を傷つけるよりも、何もせずに生きていく方が重要だとでも言いたげな彼らの生き方は、羨ましいと思う人もいるかもしれませんね。
ですがヒレの切れ味だけは本物ですから、海で見かけたとしても決して素手で捕まえようとはしないでください。
スライムよりも無害なモンスター、ナイフフィッシュ。
彼らは今日も、海中のマナで自分の魔力を満たしながら、世界中の海をのんびりと回遊しているのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のラモンと申します。
今回はうまくキリのいいところできれず、その2がちょっと長くなってしまいました。
まあ、もともと1話として作ったものなので仕方ない部分ではありますが。
楽しんでいただけたなら幸いです。
感想など書いてくれると、作者が喜びます!
それではまた、次回でお会いしましょう。
ラモンでした。
※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。
もし内容が繋がっていない、矛盾している、誤字脱字などお気づきの点がありましたら、感想などでご指摘ください。




