魔王、厄介事に遭遇する 異世界百二十一日目
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騎士達が硬い表情のまま、腰の剣を握りながらカインに近づいた。カインは首を廻らして一人の騎士に、真紅の視線を止めた。カインの視線を受けて一人の騎士が動きを止めると、他の騎士達からも鎧の摺れる音が消えた。
「俺は決闘に勝った。そいつは負けて死んだ。お前達、取り囲んでどうするつもりだ。」
「御領主様の御子息を殺したのだ。御領主様に説明しもらおうか。」
「お前達がすればいいだろう。俺に行く気はない。」
「ならば、力づくになるが良いのか。」
「お前達こそ良いのか。」
一人の騎士が威圧的な態度で、剣の柄に手を掛けながら言った。既に武器に手を掛けていたニーナ達の表情が更に硬くなり、ギルスとエレンの手には槍と薙刀が握られていた。
「カイン、木刀に換装して。」
「何故だ。ここで襲って来るなら、盗賊扱いだろ。罰は付かないぞ。」
「領主の騎士達よ。殺せば何かと面倒よ。」
「やれやれ。まあ、木刀でも死ぬ事もあるし、軽傷で済むはずもない。それで、いいのだな。」
アデルの言葉に渋々、木刀に持ち替えたカイン。カインの最後の言葉は、アデルに向けられたものではなかった。流石に騎士達の顔にも緊張の色が見え、ギルスとエレンは槍と薙刀を腰溜めに構えた。ニーナとミリアンは何時でも武器を抜ける様に柄に手を掛けてまるで、極限まで引き絞られた弓の様に身構えた。ティアの足元に重厚な音を立てて、フレイルの棘付の鉄球が落ちた。
「抜剣っ!」
「いいのだな。」
一斉に剣を抜いた騎士達に、死を告げるが如くのカイン。次の瞬間、一陣の黒い風が疾風となり、剣を構えた騎士達の隊列をすりぬけ吹き抜けた。黒い疾風がカインの姿をとって立ち止まると同時に、騎士達の鎧が甲高い音と共に亀裂を発生させた。ある者は兜が割れ、頭から出血し、ある者は分厚い腹部のプレートが弾けて地面に倒れ込んだ。中には、胸部のプレートが大きく凹んだため、息苦しそうに地面を転がる者もいた。
「それ、早くしないと死んじゃうんじゃないかな。」
まるで、天気の話をするが如くのアデルの言葉に、立ち上がった騎士が足を引きずりながら転がる騎士へと近づいた。必死に留め金を剣の柄で叩き、何とか胸のプレートを外すと横たわる騎士は大きく息を吸い込んで吐いた。
「次はこれで斬る。」
腰裏から黒いナイフを取り出したカインが、軽く回すとナイフはカインの身長ほどの刀に変化した。優雅に弧を描く黒い刀身が、見る者の心の底から恐怖を引き摺り出す。辛うじて立ち上がった騎士達も、妖しく光りを反射する黒い刃を見て絶望を張り付けた。
「魔剣?」
「戦意喪失を確認。さて、腹が減ったな。宿屋に戻って飯にしよう。」
「ひゅっ。」
地面に座り込む騎士達を見て、何処か機械的に告げたカイン。ニーナ達に振り向いたカインの笑顔を見て、ニーナ達は息を飲んで顔を引きつらせた。
翌日、朝練を終えたニーナ達が宿屋で朝食を食べ終えた頃、領主の使いを名乗る男が宿屋へやって来た。そして、その男はカインの名を確認すると、招待状と書かれた封筒を無言で渡して帰った。
「何とも、愛想の無い男なのじゃ。」
「なんて書いてあるのかしら。」
「明日、ランチに招待してくれるそうだ。」
「全員?」
「いや、俺だけだ。」
「無謀の極みね。出来る限り、穏便に済ませて来て。」
「善処する。」
その日、簡単な薬草採取の依頼を受けたニーナ達は、夕方になって狩人組合を訪れた。職員がテーブルに並べられた大量の薬草に驚いているのを無視して、カインは三つのオーガの首も薬草の横に出した。その他にも、豚に似たオークと百近くあるゴブリンの鼻を出すと、職員の一人が口から泡を出して後ろに倒れた。
「黒鉄?貴方達は白銀等級ね。でも、これだけのモンスターに遭遇したら、逃げる事が最善策なのよ。」
「襲って来たから討伐したのじゃ。こう、さくっとなのじゃ。」
「まさか、貴方が討伐したと言うのではないでしょうね。」
「うにゅ、妾はオークを倒したのじゃ。オーガを仕留めたのはギルスとエレンとティアなのじゃ。」
ヒステリックな職員と普段通りのニーナの温度差は、見る者に滑稽さを芽生えさせた。報告するニーナの後ろでは、ギルスとエレンが得意気に腰に手を当てて立ってい「むう、オーガ倒した。」
「ティア、討伐部位ごと粉砕しては駄目だと言ったでしょう。」
「むう、手加減した。でも、吹き飛んだ。」
「加減が間違っていたのではないでしょうか。」
「むう、摩訶不思議。」
ティアもオーガを倒していた。ティアはフレイルをオーガに叩き付けて、跡形も無くその巨体を爆散していた。粉々になったオーガから、特定の部位を採取することは不可能だと思えた。
「ティアは手加減を取得する必要があるな。」
「それ、スキルじゃないから。」
十五才の少女がオーガを粉砕したと言う事実を確信した受付嬢は、全てを悟ったかのように周りの職員に指示を出した。報酬を貰ったニーナ達は宿屋に戻り、夕食後には一日の疲れせいかベッドに横たわると、すぐに寝息を立て始めた。
「明日はカインが貴族の屋敷に行くのじゃ。うにゅう、とっても危険な予感がするのじゃ。」
空♂:やっと、投稿出来たのだ。
ア♀:サボっていただけでしょ。
空♂:心外な。色々と考えていたのだ。
ア♀:ネタ探しと称して、アニメを見ているだけ。若い女の誘いに花の下を伸ばして。
空♂:うにゃっ!それは余計なのだ。まっ、まだまだ、続きます。




