魔王、盗賊に遭遇するpart2、異世界百十六日目
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ギルスとエレンに敗北したトロンは、ニーナ達にも模擬戦を挑んだ。ニーナとミリアンには何とか勝ったが、ティアの猛攻に文字通り地面に沈んだ。
「めり込んでおるのじゃ。」
「はわはわ、カイン様。回復ポーションをお願いします。」
「むう、貧弱。」
「ティアはバーサクする癖を直す必要が有るわね。」
翌日、夜明けと共に朝の練習を終えたニーナ達は、馬車に乗り込み次の町を目指すことにした。馬車に乗り込んだトロンは、アデルから説明を受け石化していた。
「く、空間拡張って、限度があるやろ。個室にシャワーにトイレ完備。大浴場に食堂、遊戯室にあった設備は見た事もあらへんで。」
「シミュレーターで練習するのじゃ。次は負けないのじゃ。」
「お嬢様、私も参ります。」
驚くトロンの目の前に画面が浮かび上がり、ニーナとミリアンの様子を映し出した。そこはバレーボールコートの半分程度の、乾いた白っぽい地面が広がる空間に二人が立っていた。
「オーガまで飛ばすのじゃ。」
「了。第三ステージまでキャンセル。第四ステージ、オーガをロードします。」
「ミリアン、手出し無用なのじゃ。今日はソロ討伐するのじゃ。」
ニーナが怒鳴る様に言うと、無機質な女性の声が応じた。何が始まるのかと見詰めるトロンは、ニーナとミリアンの前に地面からせり出した様なオーガ見て驚きを張り付けた。
「ready steady go!」
「にょりああっ!」
無機質な女性の声が告げると同時に、ニーナはレイピアを構えて距離を詰めた。ニーナの身長と同じぐらいの棍棒が振り上げられ、オーガが迎撃態勢を取った。オーガに向かうニーナの速度は変わらず、絶妙のタイミングで振り下ろされる棍棒。トロンは挽肉にされるニーナを想像したのか、画面から慌てて顔を背けた。
「おおっ!」
大して驚いた様でもないティアの棒読みな感嘆と、ギルスとエレンの心の底からの感嘆の声が上がった。オーガの棍棒が真上から振り下ろされた瞬間、ニーナは僅かに横に跳んで躱した。その隙間、数センチ。
オーガの僅かに横に移動したニーナは、レイピアを顔の横に水平に構え突いて見せた。
「なっ、三回やて。」
トロンが驚きの声を挙げたのも無理は無く、ニーナは一瞬で三回の連続突きを放っていた。ニーナの突きは正確にオーガの両目を潰し、大木の様な喉を貫いて見せた。
「うにゅう、浅かったのじゃ。」
視界を奪われたオーガは、痛みのせいか光を奪われたせいか、棍棒を滅茶苦茶に振り回し始めた。棍棒の届く範囲より僅かに、距離を取ったニーナは俯いて小さな溜息を吐いた。
「にゅっ、終わりにするのじゃ。はっ!」
ニーナは振り回される棍棒を掻い潜り、オーガの胸にレイピアを構えて跳び込んだ。レイピアの先端が、オーガの背で光る。次の瞬間、オーガは黒い煙になって消えた。
「あの年齢で、あの体格でオーガのソロ討伐って。かなわんな。」
「貴方にも可能でしょう。」
「体格がちゃうやろ。あのお嬢ちゃん、わいより背も低いし、何より力が足らんはずや。」
「種族差と言うものかしら。」
「確かに、人族と比べると強靭な肉体を持ってるけど、いくら強いてもあの体格やったら微々たるもんや。」
十五才とは言ってもニーナは百五十センチ程度に対し、一つ年上のトロンは百七十センチを超えていた。性別の違いもあり、種族差を考慮してもニーナの方が弱いのは仕方がないと言えた。しかし、ニーナはトロンでも困難なオーガの単独討伐をやってのけた。トロンが驚くのも無理はなかった。
その後、ミリアンは二十体のゴブリンを、あっという間に討伐して見せた。ティアがオーガの頭部を粉砕したところで、トロンは何度目かの大きな溜息を吐いた。
「そろそろ、休憩して昼飯にするか。」
荷台に声を掛けたカインは、ギルスとエレンにテーブルや椅子の準備を指示した。そして、カインは道から遠くない林へと消えた。
「カインは何処へ行ったのじゃ。」
「用を足しに行くと言っていたぞ。」
「また、態とこんな場所を選んだのね。ギルス、エレン。一応、周囲を警戒してね。」
「お嬢様、お気を付け下さい。囲まれています。」
「むう、忍ぶ女。」
少し面倒臭そうに言うアデルの後に、緊張を隠さないミリアンが告げた。すぐにギルスとトロンが剣を抜いて警戒態勢をとり、エレンは少し考えた後に弓を出して何時でも矢を番える様に自然体で立った。ティアは小さく呟くと、草むらでしゃがむと姿を消した。
本当に面倒臭そうにレイピアを抜いて、アデルが軽く振ってだらりと下げた時、草むらから男が一人現れた。男が道の中央に立つと更に、二人の男が現れて最初の男の両脇に立った。当然様に三人の男の手には、それぞれ剣に槍、斧が握られていた。中央の男がニヤリと笑うと、後ろにも数人の男達が武器を手に立っていた。
「これはこれは、女は上玉揃いと来た。獣人の女も良い見た目だ。さぞ、高く売れるだろうな。獣人の男は奴隷にするが、抵抗するなら殺せ。ところで、もう一人、女がいたと思ったが。」
その瞬間、両脇に立っていた男達が鈍い音と共に地面に倒れ、中央の男は持っていた剣でティアのモーニングスターを防いで見せた。
「くっ、こいつ等、出来るぞ。全員でやれ。」
「あの一撃を防ぐなんて、中々に優秀な盗賊さんね。エレン、周囲の警戒を強化して。」
「承知。」
アデルが少し感心した表情を浮かべた時には、エレンは馬車の幌の上に器用に昇って周囲を見渡していた。腰位までの草が生い茂る草原で、短い悲鳴が上がる度にティアが頭を覗かせていた。モグラ叩きの様なティアに苦笑を送ったエレンは、反対方向に広がる林に向けて弓を構えた。
「くっ、調子に乗るな。」
最初の男は吐き捨てる様に言うと、ポケットから取り出した小瓶を地面に叩き付けた。すると、サイレンの様な音が鳴り響き、男の顔に不敵な笑みが浮かんだ。男の笑みが消えて別の表情に変わった頃、林の方からカインが姿を現した。
「増援なら来ないぞ。」
「うにゃ、カインはまた殺したのじゃ。」
「殺してはいない。ギルス、トロン。飯食ったらゴブリン討伐に行くぞ。」
ギルスとトロンの頭上に疑問符が浮かんだ。最初に出て来た男も、顔に疑問符を張り付けた。興味を失ったアデルは椅子に座って、何時の間に出したのかティーポットをカップに傾けていた。
「二十人程、手足を折って来た。近くにゴブリンの集落が有ったし、盗賊を何人か連れ帰った。あれは喰う気だな。」
「なっ、援軍全部じゃねえか。まっ、まさか、嘘だろ。」
「貴方達が相手にしたのは、白銀等級の狩人よ。何を疑うと言うの。」
「くっ、た、助けてくれ。」
「カイン。こっちは私とティアで行って来るから、そちらは三人でお願いよ。」
激しく唾を飛ばして命乞いをする盗賊を完全に無視して、ニーナ達は食事の準備を始めた。ティアの我慢が限界を迎えたのか、強烈な一撃を叩き込んで盗賊の意識を刈り取った。静かになった街道から外れた場所に、似つかわしくない豪華なランチが湯気を立てていた。ニーナの唱和に続いて、全員が唱和して全員の手と口が慌ただしく動いた。食後のお茶までゆっくりと楽しんだニーナとミリアンは、後片付けを始めた。ニーナの頬はフグの様に膨らんでいた。アデルは盗賊を引き摺ったティアと二人で、盗賊のアジトに向かった。そして、カインはギルスとトロンを連れて、林の中へと消えた。
「うにゅう、カインはゴブリン狩なのじゃが、アデルとティアは何処に行ったのじゃ。」
ア♀:投稿の間隔、変わっていないと思うけど。
空♂:これから徐々に速くなるのだ。
ア♀:それは一週間?三日毎?
空♂:気が向いたらかな。
ア♀:はあ、やり出した事は終わらせる。これは守ってもらう。
空♂:勿論なのだ。色々とあって忙しいのだ。
ア♀:遊びに行ったり、アニメ見たりででしょ。それを暇人と呼ぶの。
空♂:その他にも、飲みにもいかないとだし、煙草も吸わないといけないのだ。
ア♀:暇を持て余しているみたいだから、どんどん投稿するようにして。
空♂:まだまだ、続きます。




