第9話
新章開始です。
しかし書き溜めはほとんどない・・・。
「……ふむ」
巻物には交換できるご褒美がズラリと並んでいます。そして一番上に所持ポイントの項目が。もちろん今は1ポイントです。
昨日、夜遅くに帰ったにも関わらず今朝は日が昇ってすぐに目が覚めました。そしてこの世界に来てから目覚めた泉に着いた頃にはちょうど良い時間帯になっていました。
巻物を閉じて消します。
「さて……神様はどうやったら呼べるのでしょうか?」
通信機のような物があるわけではありません。まさか呼び掛けるとは本当に呼びかけるのでしょうか。
周りを見渡してちゃんと誰も居ないことを確認します。
「……神様。……神様!」
最初は小さく。そして次は恥じらいを捨てて叫びました。
答えは泉によって出されます。
ボリスの体から魂が出た時のように、泉自体が光を放ち始めました。そして波立ち、それが収まったかと思うと神様が水の中から現れました。
「わざわざそんなことしなくても……」
「君の暮らしていた世界の童話から着想を得てみたんだけど、どうかな?」
「金の斧ですか……」
ワタクシに無駄話する気がないと悟ったのか、神様はヤレヤレといいった仕草で嘆息しました。
「初めてのお仕事だったけど無事に終わったみたいだね。ずっと見てたよ」
「ワタクシにプライベートはないのでしょうか?」
恥ずかしいことをしていたつもりはありませんが、知らないところで生活を見られる、というのは気持ちの良い話ではありません。
まさか神様がそんな暇なことをしているとも思えませんが。
とはいえそんな問答をするつもりはありません。
「神様にお願いしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「えー……まぁ、聞くだけは聞くよ」
いかにも面倒臭そうな神様の声。表情からも明らかに嫌がっているのがわかります。
「ターゲットがどこを拠点にしているのか、それくらいは教えていただけますか? 今回はたまたま出会えましたが、次からはわかりませんわ」
「あー……確かにそうだねぇ。それくらいはしようか」
声にやる気が感じられませんが、本当にこれくらいはしてくれないと困ります。
ワタクシを見ていたくらいですから、それをやる暇はあるはずです。
「じゃあお願いはそれくらいということで……次のターゲットだよ」
ひらひらと舞い落ちて来る紙をキャッチします。
姿を見せているのに手渡しをしないとは、やはりこの神様はどこか格好つけの気があるのでしょう。元男のワタクシに格好つけてどうする、という話ですが。
紙を開くと、男の人相書きとリリット・ホールの名前。今回は獣人ですか。二ポイント。拠点にしているのはアークの街。いったいどこでしょうか。
「このアークという街はどこの街ですか?」
「君が今滞在してる所だよ。それくらいは知っておかなきゃ」
小馬鹿にするようにワタクシの頬をつついて来ます。
ワタクシにあるのはこの世界の常識であって知識ではないのですが、確かに暮らしている街の名前くらいは把握しておくべきだったかもしれません。
流石に鬱陶しくなったので払い除けます。
「このポイントの基準はあるのでしょうか? 強さ、とかだとしたら気を付けないといけませんわね」
「単純な戦闘力も考慮してるけど、それはこの世界に対する影響度だよ。ポイントが高ければ高いほど与える影響が大きい、つまり緊急性が高いってことだね。
「なるほど」
「今後はターゲットの情報をいくつかまとめて渡すつもりだからその時は参考にしてね」
何ともないように言っていますが、裏を返せばそれだけこの世界に影響を及ぼす者が多いのでしょう。
ちゃらんぽらんな神様の態度に忘れてしまいそうになりますが、こちらの世界は滅ぼされかねない状況でしたわね。
「どうしたの? そんな微妙な表情を浮かべちゃって」
「呆れているんです。次のターゲットはわかりました。ポイントですが、新しいドレスと交換していただけますか?」
「りょうかーい。宿屋に届けておくからね」
なんて言いながらメモを取る真似をしています。
この神様はこういう演技がかったところがあるので信用しにくいのです。まぁ、ポイントの交換に関してはサボる、なんてこともないでしょう。
「じゃ、よろしくね」
ひらひらと手を振りながら神様は消えていきました。
本当に適当な方です。
今、ため息を吐いたのも見られているのでしょうか。それで困ることもないですが。




