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27.何を願うのか。


あの約束をしてから数日経って、あっという間に金曜日。

今日は、英語のテスト返却の日だ。


朝から理香は嬉しそうな顔をしていたので、かなり自信があるらしい。

因みに俺はというと、樹に指摘されたことによりケアレスミスが発覚し、結構不安になっている。


四時間目の授業が始まって早々、先生がテスト返却の前にクラスや学年の平均点、クラスの最高得点の発表をする。

それを聞いて、不安になる俺の背中をトントンと誰かが叩いた。


「ねぇ、彩人~!約束覚えてるよね!?」


叩かれた方を向くと、後ろには理香が座っていた。

あっ、そういえば、席替えがあって俺の後ろに理香が来たのか。


「うん、覚えてるよ」


理香の自信満々な様子を見て、また更に結果が心配になる。


「あ、彩人、先生に呼ばれてるよ!」


後ろの席にいる理香の方を向いていると、先生に呼ばれたらしく理香が教えてくれた。


「あっ、本当だ、ありがとう」


自分の苗字は雨宮なので、クラスでも一番最初なのだ。

先生は俺に答案を見せてくるが、中々結果を見る勇気が出ず目を瞑る。


よし、見るぞ!

そう決意し俺は、目を開けて結果を確認する。


「えっ……88点!?」


「えぇ、すごいわね雨宮くん」


優しそうな表情で先生は俺を褒めてくれる。

マジかっ!これは理香といい勝負になるのでは!?


思った以上に高得点が取れたので、満足しているがこれでまだ終わりではない。

むしろ、ここからが本当の勝負なのだ。


とは言いつつも。

こんな点数を英語で取ったことがなかったので、心の中でガッツポーズをして席に戻る。


「へぇ~、彩人、嬉しそうだね」


心の中で喜んでいたつもりが、理香にはバレていたらしい。

えっ、テレパシーとか使えるの?すごすぎない!?無表情で席に座ったつもりだったんだけど……


「えっ、何で分かったの?」


すると、誇らしげに胸を張って言った。


「だって、彩人の幼馴染だもん!それくらい分かるよ!」


そんなものなのだろうか……

俺、全然分かんないんだけど。


そんな会話をしていると、今度は理香が呼ばれた。

理香は笑顔で「いってくるね!」と言って先生のいる教卓に向かう。


理香に分かったのなら、自分にも分かるのではないかと思い、理香の表情を観察する。

結果がよかったのか、先程よりも満開の笑顔で席に戻ってくる理香。


この感じ、絶対に高得点を取ったな。

えっ、もしかしてあのケアレスミスで勝敗が分かれるくらい良い勝負なのだろうか……


「さて、彩人!点数をお互い見せよ!」


「う、うん、いいよ……」


そう言うと、理香は勢いよく俺の机に置こうとする。


「せーのっ!」


『雨宮 彩人 88点』

『佐伯 理香 87点』


………かっ、勝った……のか!?

見間違いじゃないことを願いつつ、もう一回、今度はしっかりと理香の点数を見る。

そこには、しっかりと87点と書かれていた。


かなりの僅差だったので、勝ったという実感が湧かずチラッと理香の方を見つめる。

すると、理香は悔しそうに俺の答案を見ていた。


「うぅ~!悔しいよぉ~!」


そんな理香を見て、勝負を提案される前から思っていたことを言う。


「えっと……理香のお願いならこんな勝負しなくても聞くよ?」


それは理香も分かっていると思う。

それでも、こうして俺に勝負を挑んできたということは、かなり重大なお願いなのか、それとも俺が断りそうな内容なのか。


でも、後者の場合、俺が断りそうな内容が思いつかないんだよなぁ……


しょげている理香にそう言うと、一瞬先程のような笑顔になったがまたすぐに戻ってしまった。


「ありがとう……!彩人は優しいね」


理香に突然褒められて、恥ずかしくなって顔を隠す。

そんなことをしていると突然理香が、俺に言って来た。


「でも、大丈夫だよ……!そ、それより!彩人は、私に何かして欲しいことないの!?」


無理やり気持ちを切り替えたように、理香は聞いてきた。

そうだった、俺が勝ったから何でも一つ言うことを聞いてもらえるのか……


樹とデート……?

でも、それをこの前したら怒ってたから、ダメだよなぁ…


じゃあ、ここは友人キャラのことはひとまず置いといて、昔から仲の良い幼馴染として、しょげてる理香を慰めるために………


「今週の日曜日さ、リビングで一緒にゲームしない?」


「えっ!?一緒に……?」


俺のお願いを聞いて理香は物凄く驚いた様子を見せる。

その瞬間笑顔が一瞬戻ったようにも見えた。どうやら、俺の作戦は成功のようだ。


「うん、予定ある?」


「ううん、ないよ……あってもこっちを優先するもん!」


最後の方、声が小さくなってよく聞こえなかったけど、とりあえずよかった……!

突然の事だから、予定があるのかもしれないと思ったので、なくて安心した。


俺が、日曜日のことについていろいろ考えていると、理香が俺に上目遣いで聞いてきた。


「あ、あのさ、遊ぶのって二人きり……?それとも、だ、誰か誘うの?」


確かに……俺と理香のほかにも誘うのはありだけど……


「理香はどっちがいい?」


友人キャラのことを今は忘れると決めたので、今回は無理やり樹を誘って三人で遊ぶことにしたりはしない。

好きな人といると、恥ずかしくなって気が休まらないと思うから。


俺が選択権を委ねると、理香はもとから決まっていたのか、すぐに言おうとする。


「ふっ……」


理香は、恥ずかしそうに下を向いて顔を赤く染める。

声が小さかったので、理香の声が小さくても聞こえるように耳を近づける。

すると、理香は勇気を振り絞って小声で言った。


「ふっ……二人きりがいい………!」


まさかではあったけど、二人きりでも楽しいというのは昔から知っているのでそれはそれで楽しみだ。


それに、多分これが、二人きりで遊ぶ最後の機会だと思うから。


「うん、いいよ、じゃあ日曜日ね」


そういうと、理香は嬉しそうに顔を上げた。


「やったぁー!ありがとう、彩人!楽しみにしてるね!?」


理香はもうすっかり先程の点数勝負のことは忘れたのか、先程のような暗い表情は消えていた。


日曜日、絶対に楽しまないとな……


二人きりで遊ぶのは、きっと最後だろうから。


アニメ版俺ガイルが終わってしまったということで、急遽書くことにしました。なので、投稿時間が微妙。


俺ガイルに出会ってなかったらラノベに触れていなかったと思うので、俺ガイルが終わった今日投稿したかったんですよね。


次回もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] タダでいいもの読ませてもらっているのでなんにも文句ないです。 正直気に入らないと思うなら気に入るような小説自分で書けば?とは思いますね。そうしたらみんな幸せですし、金を一銭も払ってないのに…
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