ギルドにて
「ジェイドさん。達成報告ありがとうございます。」
「ほ〜い。いつもありがとね。エイミーちゃん」
俺はいつも通りの任務達成報告を済ませた。
冒険者ギルドにはランクが3+2ある。通常はブロンズ→シルバー→ゴールドだ。+2あるってのは規格外のヤツらのための制度ってことだ。俺はシルバーランク。年齢を考えても18でシルバーランクならまぁ悪くないって感じだ。ゴールドは指名依頼もあるし貴族相手になることも多いから報酬はデカいがメリットばかりではない。
「お?仕事終わりか?ジェイド。」
「またソロで受けてたんです〜?」
賑やかな連中が近づいてきたかと思ったら、ゴールドランクパーティのホワイトファングの連中だった。
ギルドのランクには個人とパーティがある。個人ランクがゴールドでもパーティだとシルバーになるなんてことはザラにある。個人やパーティ活動での総合力でランクが判断されるんだ。つまりホワイトファングは総合的に見て一流のパーティってことだ。
「お前、そこそこ強いんだからパーティ組めばいいのに⋯」
「確かに〜」
パーティリーダーであるクレストンと魔法使いのローサとは依頼で何度か組んだことがある。パーティに入っても常にパーティメンバーと行動するとは限らないのだ。よく組むからじゃあパーティ組まないか?みたいなノリで作られたパーティも少なくない。
「いいんだよ。リスクはあるけど一人が気楽だから」
俺はそこそこ強い。そう、そこそこなんだ。剣も魔法も素手もそこそこ。決定的な火力不足なのだ。
⋯表向きは
「でもジェイドは料理できるし、引く手あまたじゃないんです〜?」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないかローサ。天下のホワイトファングにそう言ってもらえると素直に嬉しいよ。」
実際に何組かのパーティからは誘いがきている。これは正直、嬉しいことである。中には誘われない孤独なヤツもいるからな。
「でもパーティに入るとフットワークが重くなっちまうしな。俺の良い所はフットワークの軽さだからさ。」
俺は基本的につまらない依頼でも満遍なく受けるようにしている。戦闘、護衛、採取⋯なんでもござれだ。その方が情報の偏りも少ないからな。
「そっか。まぁ入りたくなったら気軽に声をかけてくれよ。」
「ですです〜。ジェイドならいつでもいいですよ〜」
実にありがたい。この会話だけで周囲からも一目置かれるからな。ちょっと鼻も高くなる。
「ありがとう。その時はお願いするよ。じゃあな。」
俺はそう言ってギルドから出ようとした。
「あ、ジェイドさん。「食堂」には寄らないんですか?」
む⋯
「お?じゃあ寄るかなぁ。今日の日替わりは何かなぁ〜」
俺は食堂に向かった。これは符丁である。
「ジーナちゃん。日替わりをくれ。」
「は〜い。日替わりね。」
日替わり定食の小鉢が時間を表す。
「日替わりお待ち〜」
今日はホレン草のお浸しである。23時か⋯
ちなみに定食は普通に美味い。栄養バランスもしっかりしている。
夜
俺はギルドの裏口に立った。隠蔽の魔法がかけてある扉を開けて中に入る。
「時間通りだな。ジェイド。」
「そりゃそうだよ。時間くらいは守らないと」
ギルドマスターのフレイヤが艶めかしい声で言った。フレイヤは女性だが王都のギルドマスターを務めている。ギルドマスターは実力とギルドへの貢献度が高くないとなれない職業だ。つまりフレイヤは強い。
「さて、ブラックランクのお前に頼みたいことがある。」
そう。俺はシルバーランクであり、規格外のブラックランクでもある。
「それはいいけどプラチナの連中じゃあダメなのか?」
規格外のブラックランク。その下にはプラチナランクがある。プラチナまでは噂程度には知られているのだ。
「そのプラチナが失敗したからお前に頼むんだよ。」




