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第4話【涙の正体】なぜ、同じ作品で泣けたり泣けなかったりするのか
一度、強く泣いた物語がある。
時間を置いて、もう一度読み返す。
同じ場面に差し掛かる――でも、なぜかあの時ほど泣けない。
そんな経験はないだろうか。
これは作品の力が落ちたわけではない。
感受性が鈍ったわけでもない。
むしろ、ここにこそ「読むという行為」の本質がある。
涙は、物語そのものから生まれているわけではない。
「物語 × その時の自分」という掛け算の中で生まれている。
その時の自分の「状態」が変われば、同じ作品でも感じ方は変わる。
しかし、それだけでは説明しきれないこともある。状態が同じでも、作品によって反応が違う。そこには「自分の性質」という要素が隠れている。




