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兄の出立 6
晴彦が早川家に帰りつくと、美耶の部屋の電気が点いていた。
慌てて玄関に入ると、2階に上がる階段の手すりに手錠で繋がれた少女が目に入る。
父が困り果てた顔で、
「どうしても外に行くと聞かなくてね」
と言った。
続いて顔を見せた母が、暗い表情で、
「持衰ちゃんが、あんまりにも崇志を心配するもんだから……私まで不安になってきちゃって……」
と力なく告げる。
晴彦は、段差に腰かけてうなだれる持衰の前に座りこみ、
「崇志兄は大丈夫や」
と声をかけた。
「京都のお寺さんが、いまもお祓いの儀式をしてくれてる。だから、実母さんに負けたりはしないよ」
そう伝えて落ちつかせる。
けれど、持衰は、赤く腫らした目を上げ、
「お前はどこまでも『おれ』の邪魔をする」
と非難した。次いで、
「『タカシ』に何かあったら、お前もカガ神の贄にしてやる!」
激しい呪詛を吐く。
「それは嫌やな……」
と答えた少年は、でも、蛇神の贄の儀がどのように行われるかに想像を巡らせ、
「ちょっと興味あるかも……」
とこっそり好奇心を疼かせた。




