↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い神  作者: 小春日和
兄妹の邂逅
29/104

山の神の祟り 3

 陽の光は未だ雲に覆われている。黒い神の表面が溶けたような薄気味の悪い質量が、鬱蒼と茂る常緑樹の間に漂いはじめた。

「…さ、触っても大丈夫なのっ?!」

即座に『触らぬ神に祟りなし』の格言を思い出して非難する少女に、少年は、わずかに首をかしげて、

「どうかな」

と呟いた。

「祟るかもしれんね。この丘で自殺する人が多いっていうのも関係してる気がするし」

「ちょっとお…」

そんなおっかないものを取り出さないでよ、とさらに批判を重ねようとした葉月は、さっき、神体に触れようとした自分の行動を咎めた晴彦の真意を、やっと察した。

「…ねえ、晴くんも本当は祟るってしっかり思ってるんでしょ? だから、あたしには触らせないようにしてくれたんでしょ?」

確かめると、

「信心は持ってるからね、オレも。祟りはあるって信じてる。だから、何も知らん葉月ちゃんは遠ざけておいてあげたいとは思ってた」

思ったとおりの答えを返す。

「ありがとう」

初めて自分に対して優しさを見せてくれた少年に、笑顔になった少女は、またふと顔を曇らせた。

「晴くんは? 思いっきり触っちゃってるけど…」

いまもまだ手を離そうとしない晴彦に向かって咎めると、少年は頭を掻きながら、言った。

「うん、わざと。祟りがどんなものか、確かめてみようかと思って。そしたら持衰さんの行動も理解できるし」

「ジサイさん?」

聞きなれない言葉に首をかしげる葉月に、晴彦は、

「神降ろしをする巫女さんのこと。この神さんが降りたとしたら、持衰さんがここに来るのも納得できる」

とよく解らない返答をよこした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。