↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い神  作者: 小春日和
兄妹の邂逅
27/104

山の神の祟り 1

 木立の上の空に雲がかかったようだ。山中の空気がますます濃い闇の色を帯びる。

 帰ろうを連発している葉月に、

「ごめん、もうちょっとだけ待って」

と牽制する晴彦にも、何が自分を引き止めるのか理解できていなかった。ただ、『常態』とは違う感覚を強く感じる。

 黒い地母神の素材は、汚れてはいるものの、未だに鈍く光る崇高な色を湛えている。通常、こんな藪に打ち捨てられるような神に、高級な石が使われることはない。長いこと開けられた形跡もない石祠に閉じこめられていた神体が、日本で貴重とされてきた黒曜石でできている意味は…。

 …たぶん、地母神としての力が強かったせいだ、と少年は結論づけた。そして、その神を地元の人間が敬わなくなった理由を考えた。

「葉月ちゃん、お祖母ちゃんからこの神さんのことをどういうふうに聞いた?」

郷土についての造形が深いと聞いていた葉月の祖母の見解を聞くと、少女は、手持ち無沙汰にふらふらと彷徨っていた歩みを止めて、答えた。

「山の神様って言ってたよ。田の神様が役目を終えて山に帰っていった姿なんだって。だけど、いまはお稲荷さんが山の神様の代わりをするようになったから、もうお参りしなくなったみたい」

「稲荷さんが代わり?」

晴彦の中で、この土地で変遷してきた信仰の道筋が結びついた。

「そっか。伏見から稲荷さんを勧請(かんじょう)したときに、もともとあった土地神さんを排除したのか」

「どういう意味?」

蛇の神から目を離さずに呟く少年に、葉月が近づいて尋ねる。


※『勧請』とは本宮(1番元になる神社)から神体(神の御霊)を分けてもらうことです。分祀と同じ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。