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異世界来ちゃったけど帰り道何処? 作者:こいし

第九章 勇者と桔音

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能力回帰

 あの後直ぐに寝て、朝目が覚めたら、フィニアちゃんが珍しく起きていた。
 いや、正確には寝ていないんだと思う。彼女は寝なくても良い種族だからね、その気になれば延々徹夜する事も可能なんだろう。
 そして、寝ずに何をしていたかと問われれば……僕に対して『治癒魔法』を掛け続けていたんだと思う。別に頼んだ訳じゃないけれど、直ぐに筋肉痛を取って動けるようにならないといけないって漏らしたから、彼女なりに考えてそうしてくれたんだと思う。おかげで身体の動き辛さや重さもすっかり消えていた。

 ステータスを覗居てみたけれど、能力値は戻ってはいなかった。そこは残念だけど、筋力が100から150に上がっている。どうやら筋肉痛からの回復で、より強靭な筋肉が付いたようだ。見た目に対して変化はないけどね。
 そして最も重要な要素である、スキルの使用制限が解けているかどうかを確かめる。『瘴気操作』を使って、瘴気のナイフを生成してみると、問題なく使う事が出来た。その調子で、魔眼、『初心渡り』と、順々に使ってみる。どうやらステータス以外は完全に元に戻ったようだ。

 フィニアちゃんに感謝だね。

「おはよっ、きつねさん!」
「うん、おはよう。ありがとうフィニアちゃん、ずっと魔法使っててくれたの?」
「うん! 身体は治った?」
「ばっちり」

 ベッドから足を下ろし、立ち上がる。身体をぐいっと伸ばすと、バキバキと良い音が鳴った。うん、良い調子だ。これならかなり良い感じに事を進められそうだ。時間もある、勇者達とのケリを付けるにはベストコンディションじゃないとね。最高なコンディションで、最大の仕返しをしないと、気が済まない。
 さ、それじゃあ動き出そう。まずは、僕のステータスを戻す所から始めようか。

「フィニアちゃん、ルルちゃんを起こして。行くよ」
「え? 何処に?」
「あはは、僕達は冒険者だよ? 行く所なんて決まってる―――冒険者ギルドだ」

 僕はそう言って、薄ら笑いを浮かべた。



 ◇ ◇ ◇



 ―――細胞は餌だ。

 生命の鼓動を加速させるその1つ1つ、命の結晶とでも言うべきその生命の雫が何千億、何千兆と積み重なって出来た、生物と呼ばれる全ての生き物が彼の餌なのだ。
 つまり、この世界全て……生物の居る場所全てが彼の狩り場にして、餌場。山であろうと、空であろうと、水中であろうと、地中であろうと、関係無い。

 桔音は、過去対峙した冒険者や騎士から、『死神』と称されたことがある。
 彼自身、今の自分を指して『死神』だと言うだろう。言い得て妙だな、とすら思う程だ。全ての生物に対する狩人になり得る存在なのだから、その表現がしっくりくるのだ。
 漆黒の瘴気に触れた者は誰であろうと、細胞の1つに至るまで消し去る力……それが瘴気の力の性質の1つなのだから。

「なんかきもいねー、その力」
「きもいって言わないでよ、元はレイラちゃんの力なんだからさ」
「ますますきもいね! レイラの力は全部否定するよ!」
「つくづくレイラちゃんと反りが合わないんだねぇ」

 ということで、桔音はルルとフィニアを連れてギルドへと赴き、魔獣の討伐依頼を受けた。フィニア達が居る故に、討伐依頼を受ける事が出来るのだ。
 受けた依頼は、以前フィニアとルルが受けた依頼と同じだ。

 『Dランク魔獣 アイアンゴーレムの討伐』

 鉄の装甲を持った魔獣ではあるが、その肉体は細胞で出来た魔獣であり、生物。無論、その鉄の装甲とて同じだ。鉄の様な硬度を持った、細胞の装甲を持った魔獣なのだ。
 つまり、アイアンゴーレムといえど―――瘴気の力の前には、無力。

 桔音の目の前で、もう5体目のアイアンゴーレムが瘴気となってこの世界から消失した。
 依頼を受けてから約3時間。その間で、山に来るまでに雑魚魔獣を8体、山を登る途中でロックゴーレムを9体、そしてアイアンゴーレムを5体、全て細胞の1つ残さず瘴気に変換してみせた。無論、『初心渡り』でレベルを1に戻しつつだ。
 その結果、桔音のステータスは鰻登りだ。現在、此処までステータスを戻してみせた。

 ◇ステータス◇

 名前:薙刀桔音
 性別:男 Lv1
 筋力:10200
 体力:362900
 耐性:1890250
 敏捷:452500
 魔力:190231

 【称号】
 『異世界人』
 『魔族に愛された者』
 『魔眼保有者』

 【スキル】
 『痛覚無効Lv7』
 『直感Lv7』
 『不気味体質』
 『異世界言語翻訳』
 『ステータス鑑定』
 『不屈』
 『威圧』
 『臨死体験』
 『先見の魔眼Lv7』
 『瘴気耐性Lv8』
 『瘴気適性Lv6』
 『瘴気操作Lv8』
 『回避術Lv5』
 『見切りLv5』
 『城塞殺し(フォートレスブロウ)Lv5』
 『鬼神(リスク)

 【固有スキル】
 『先見の魔眼』
 『瘴気操作』
 『初心渡り』

 【PTメンバー】
 フィニア(妖精)
 ルル(獣人)

 ◇

 筋力も急上昇し、『城塞殺し』を使えば勇者など一撃粉砕出来るであろう高みへと駆け上がっていく。1度は立った高みだ、もう1度いけない道理はない。
 桔音は成長している。誰にも追い付けない早さで、急成長を遂げている。当然の様に、敵を飲み込みその全てを自分の糧にしている。

 反撃するアイアンゴーレムの拳は、桔音の腕に当たり、止まる。如何に威力の高く、大きな拳であろうと、桔音の世界トップクラスの耐性を抜く事は出来ない。まるで巨大な壁に対する子供の拳の様に、その威力は力なく消えていく。

「これで、6体目かな?」

 そして、そんな桔音の言葉と共に、桔音の腕に止められた拳から……漆黒の瘴気になっていき、消える。桔音のステータスがまた上昇した。

 ◇ステータス◇

 名前:薙刀桔音
 性別:男 Lv45(↑44UP!)
 筋力:25000:STOP!
 体力:1257800
 耐性:6700250
 敏捷:2385600
 魔力:204531

 【称号】
 『異世界人』
 『魔族に愛された者』
 『魔眼保有者』

 【スキル】
 『痛覚無効Lv7』
 『直感Lv7』
 『不気味体質』
 『異世界言語翻訳』
 『ステータス鑑定』
 『不屈』
 『威圧』
 『臨死体験』
 『先見の魔眼Lv7』
 『瘴気耐性Lv8』
 『瘴気適性Lv6』
 『瘴気操作Lv8』
 『回避術Lv5』
 『見切りLv6(↑1UP)』
 『城塞殺し(フォートレスブロウ)Lv5』
 『鬼神(リスク)

 【固有スキル】
 『先見の魔眼』
 『瘴気操作』
 『初心渡り』

 【PTメンバー】
 フィニア(妖精)
 ルル(獣人)

 ◇

 またレベルを1に戻し、桔音は嘆息する。耐性値も元の4分の1程位は元に戻っただろう。筋力値の伸びは元々あまり芳しくはないが、それでも大分向上したと言える。最初に比べればかなり良い方だ。

 1体倒すだけで、随分と伸びる。桔音の『初心渡り』は、スライムをドラゴンへと成長させるスキルでもある……成長の為のスキルといっても良い。
 もっと言えば、桔音はお金さえあれば大量に奴隷を買い、その全員を最強に育て上げる事が出来る。しかも、自分に絶対服従……最強の軍団が出来あがる。しかも、全員必ず最強に育て上げる事が出来るのだから、恐ろしい。これもある意味、Sランクの危険性を持った力だろう。桔音が魔族であったら、確実にSランクの烙印を押されていた筈だ。

「まぁ十分だろうけど……フィニアちゃんもレベル上げしたら?」
「え? んー……じゃあそうする!」

 桔音は十分なステータスを取り戻す事が出来たということで、余裕が出来たらしい。フィニアにもレベル上げを勧めた。
 すると、フィニアはそれに頷き、上空から魔獣を探し、そっちの方へと飛んで行く。

「1体ごとに帰って来るんだよー?」
「はーい!」

 桔音が両手を口に当ててそう言うと、フィニアはドップラー効果でも残す勢いで飛んで行った。残されたのは、桔音とルルのみ。
 ルルもまた、小剣を構えて居る故に、戦闘準備は万全だ。彼女もステータスを取り戻す必要があるのだと、桔音は考えている。

 ここからは、桔音もルルと連携で魔獣を倒して行こうと考えていた。

「……思えば、ルルちゃんと共闘するのって初めて?」
「はい、そうですね。私がまだ戦えない時期にきつね様と引き離されましたから」
「そっか。じゃあちょっとずつ調整していこう。これから先、きっと一緒に戦う事は多いだろうからね」
「はい!」

 桔音の言葉に、ルルはにっこり笑った。桔音と共に戦えるという事実が、彼女にとってはとても嬉しかったのだ。何も出来なかったあの時から、ずっとこの時を夢見ていた。桔音と共に戦い、桔音に尽くし、そしてほんの少し褒めてくれれば良い。そんな関係が、ルルの理想的な主従関係であり、家族関係だったからだ。
 桔音は瘴気変換を使わず、『瘴気の黒刃(ゲノムスティレト)』を生成した。ナイフでありながら、斬った場所を瘴気変換する性質を持った刃だ。無論、その耐久力は桔音のステータスを反映しており、切れ味においては細胞のある場所である限り絶対。ある意味、桔音が使う場合において……武器としての性能は、群を抜いて優秀な武器だろう。

 ルルもまた、桔音のナイフに似た様な小剣を構えて、現れたアイアンゴーレムを見据える。今の彼女はHランクの冒険者程の実力しか出せないだろう。如何に経験があろうと、ステータスが低い以上出せる実力は変わって来るのだ。
 しかし、今ここでその実力も大きく変わって来る。
 桔音がアイアンゴーレムの脚と腕をその黒い刃でもって、斬り落とす。動き出しは、ルルには分からない程速かった。敏捷値が著しく低い今の彼女では、桔音の素人染みた動きでさえ見切る事は出来ない。
 だがそれでも、ルルは桔音が攻撃を加えたと理解する前に―――桔音が前に出たと認識した瞬間に、動き出していた。桔音がゴーレムの四肢を切り落としたと認識したのは、ルルが動き出してゴーレムに大分近づいた時だ。ルルがゴーレムの前に辿り着いた瞬間に、ゴーレムの四肢が落ちたのを理解したのだ。

 しかし動きに迷いはない。

 近づいてきたルルの方へと倒れて来たゴーレムの首を、ルルは容赦なく小剣で貫いた。桔音なら、自分を危険に晒す様な真似はしないと、絶対的な信頼を置いていたからこそ躊躇することはなかった。迷うことなく、躊躇うことなく、安心してゴーレムに近づく事が出来た。
 これは恐らく、勇者とやろうとしても不可能な連携だろう。これは互いの信頼が成り立ってこそ出来る物なのだから。

 そして、ゴーレムの動きが止まり、命が途絶えたのを感じた。

 体力の低下故か、肩で息をするルルの頭をぽんぽんと叩くように撫でつつ、桔音はルルのステータスを覗いてみる。

 ◇ステータス◇

 名前:ルル・ソレイユ
 性別:女 Lv67(↑66UP!)
 筋力:34890
 体力:45960
 耐性:3460:STOP!
 敏捷:51080
 魔力:10020

 【称号】
 『奴隷』

 【スキル】
 『小剣術Lv5(↑2UP!)』
 『直感Lv2(NEW!)』
 『野生(NEW!)』
 『不屈(NEW!)』
 『俊足(NEW!)』

 【固有スキル】
  ――ネタバレなので見せられないよ!――

 ◇

 ルルのステータスは、Dランク上位という物凄く格上の魔獣を討伐することで、Hランクから一気にAランク序盤のステータスへと上昇していた。桔音はまた、レベルを1へと戻す。

「きつねさん! ロックゴーレム倒して来たよ!」
「うん、それじゃあ……はい」

 そして、ぴゅんという音を聞こえさせて帰ってきたフィニアにも、同じ様にレベルを1に戻した。ステータスを覗くと、やはり大幅に向上している。この調子なら、約束の時間までに十分なステータスを手に入れられそうだ。
 桔音はそう思いながら、再度討伐を続けた。

 あの勇者と巫女に、自分が傷付いた分の仕返しをする為に……


 ◇ ◇ ◇


 最終的に、日が暮れるまで桔音達はレベル上げをひたすらに行い続けた結果、各自のステータスがこのように変わった。

 ◇ステータス◇

 名前:薙刀桔音
 性別:男 Lv1
 筋力:30000
 体力:6657800
 耐性:23800250
 敏捷:7385600
 魔力:3204531

 【称号】
 『異世界人』
 『魔族に愛された者』
 『魔眼保有者』

 【スキル】
 『痛覚無効Lv7』
 『直感Lv7』
 『不気味体質』
 『異世界言語翻訳』
 『ステータス鑑定』
 『不屈』
 『威圧』
 『臨死体験』
 『先見の魔眼Lv7』
 『瘴気耐性Lv8』
 『瘴気適性Lv6』
 『瘴気操作Lv8』
 『回避術Lv5』
 『見切りLv6(↑1UP)』
 『城塞殺し(フォートレスブロウ)Lv5』
 『鬼神(リスク)

 【固有スキル】
 『先見の魔眼』
 『瘴気操作』
 『初心渡り』

 【PTメンバー】
 フィニア(妖精)
 ルル(獣人)

 ◇

 ◇ステータス◇

 名前:フィニア
 性別:女 Lv1
 筋力:107809
 体力:137890
 耐性:6780
 敏捷:158190
 魔力:729800

 【称号】
 『片想いの妖精』

 【スキル】
 『光魔法Lv6』
 『魔力回復Lv6』
 『治癒魔法Lv5』
 『火魔法Lv6』
 『身体強化Lv4』
 『威圧』
 『魔力操作Lv5』
 『命中精度Lv4』
 『並列思考Lv4』
 『思慕強化Lv5』
 『障壁魔法Lv3』
 『高速機動Lv4』

 【固有スキル】
  ???

 ◇

 ◇ステータス◇

 名前:ルル・ソレイユ
 性別:女 Lv1
 筋力:334890
 体力:425960
 耐性:8900
 敏捷:571080
 魔力:125020

 【称号】
 『奴隷』

 【スキル】
 『小剣術Lv5』
 『直感Lv5』
 『野生』
 『不屈』
 『縮地(NEW!)』
 『魔力操作Lv3(NEW!)』
 『身体強化Lv6(NEW!)』
 『見切りLv5(NEW!)』
 『心眼Lv5(NEW!)』

 【固有スキル】
  ――ネタバレなので見せられないよ!――

 ◇


 ―――そして、約束の時は訪れる……!
+注意+
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