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嘘告の功罪 ~「本当は好きだった」は免罪符にならない  作者: 紡里
第三章 新しい場所

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番外編 嘘ではない告白

 誰しも、子どもの頃の失敗というものはあると思う。

 気になる子に意地悪をしてしまうとか、そういうもの……。


 俺は地主の息子だし、母譲りの顔の良さで、いつでもどこでも人気者だった。

 運動神経も良かったから剣術を習い、王都の武芸大会の子どもの部に出られるくらいの腕前になった。

 だが王都は人数が多いせいで、俺は早々に敗退してしまった。初めての屈辱だ。

 悔しくて木剣を地面に叩きつける俺に、一人の少女が声をかけてきた。

「大会の備品なので、回収していいですか?」

「勝手にしろ!」

 そう怒鳴りつけたら、ぺこりと頭を下げて木剣を拾って去って行った。

 一年目は、それだけだった。


 その次の年は、仲間が擦り傷を作って涙ぐんでいたら、傷口を覆うガーゼとテープをすっと置いていった。気が利くじゃないか。

 ちょっと見直した。


 三年目、仲間に彼女を呼んでこさせた。

 友達になろう? 彼女にしてやってもいいぜ? なんて言おうか。

 実際に彼女を目の前にすると、カーッと顔が赤くなった。え、これ、恥ずかしいな。

 だから、見栄を張って、彼女を笑いものにしてしまった。


 俺の周りにいる女の子だったら「えー、ひどい」とか「あんた最低」とか言い返してくる。

 そうしたら、「嘘だよ、好きだって」とか言えるかもしれない。


 そう思ったのに、彼女は黙って、くるりと背中を向けて行ってしまった。

 なんだよ、勝手な奴。まだ、話の途中じゃないか。


 その次の年には他の連中が大会に出るようになり、俺は面白くなくなって剣術を辞めた。いまどき、こんなの流行らないって。



 仲間たちと遊び回り、女を覚え、それなりに楽しく暮らしていた。

 いずれは実家を継がないといけないが、軍で活躍して箔をつけるのもいいんじゃないかと思ったんだ。軍人って、なんか格好いいだろ。

 親父みたいにくそ真面目に生きるのも、つまらないし。


 無事に軍に入ることができたが、いきなり地方勤務になった。王都に配属されたら実家を出て、気ままに遊べると思ったのに。

 だが、地方も基地周辺は栄えていた。まあまあ悪くない生活だ。


 俺は王都近郊の出身だから、厳密に言うと王都出身ではない。だが、地方の連中に「さすが王都出身者は違うな」と言われるのは、いい気分だった。



 その後、祭典のための動員で、数ヶ月王都勤務をすることになった。

 昔、剣術大会の手伝いをしていた例の彼女とも再会した。軍で事務の仕事をしているなんて、運命的だ。

 俺たち子どもの頃からの知り合いなんだから、幼なじみと言ってもいいよな?


 ところが、ツンケンして可愛くない態度を取られる。

 周囲はいろいろとうるさいが、照れ隠しだろう。素直になれないの、わかるぜ。俺も昔はそうだった。



 ところが、何かうまく噛みあわない。

 こいつと付き合うことになったら、地方の女とはちゃんと別れるつもりだし。

 結婚するなら、地味で真面目な子がいいよな。お袋みたいに、美人でもふらふら浮気するような女はちょっと……。



 祭典の日に襲撃された。

 彼女とうまく連携して、活躍したんだ。きっと惚れ直したに違いない。

 二人揃って表彰されたりするかも。ああ、きっと輝かしい未来が待っている。


 彼女が人の好意に鈍いというのがわかってきた。

 次こそは、しっかり言葉にしてわからせてやろう。

「好き」? いや、もう、「愛している」でいいだろう。

 俺なら大丈夫だ。


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― 新着の感想 ―
 作者様が実際にこの手の人間のなり損ないに被害を受けた可能性(ガクブル  ちょっと前にも他作品で言葉は通じるのに話が通じない束縛系王子をみたことがあるけど、その作品も急にそこだけ妙な解像度になっていた…
こっわ! でも認知の歪みって主観で見るとこんな感じなんだろうなぁ……。 しかし内面そっくりな母親の評価がまあまあ悪くて草。自分とそっくりって自覚あればな~。
あれ、この作品のジャンルってホラーだったっけ……?
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