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嘘告の功罪 ~「本当は好きだった」は免罪符にならない  作者: 紡里
第二章 その後

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バレる

 次の日は、体が重くて起き上がれなかった。

 始業時間の間際になり、寝間着に薄手のコートを羽織って、一階にある通信魔導具のところまでなんとか歩いて行った。持ってきた魔石を受け皿に乗せ、職場の番号を押す。

 呼び出し音が聞こえて、昨日来てくれた同僚が出た。

「はい、こちら資材管理課でございます」

「おはよう。あの、昨日はありがとう」

「なんだ、仕事用の声を出しちゃった。今日は休むってことね?」

 当然のように言ってくれる。


「うん。申し訳ないけど、休ませてもらっていい?」

「こういうのはお互い様だから。昨日聞いた内容に追加はある?」

「ないと思う。他の人にも申し訳ないとお伝えください」

 最後は少し改まって、お願いした。

「じゃあ、ゆっくり休んでね」

「そうさせてもらうわ。ありがとう」

 そんな言葉を交わして通信は切れた。


 これから階段を上らなければいけない。軽く息を吐き、手すりを握る。一歩ずつ、重たい体を持ち上げた。

 これでは買い出しに行くのは無理だろう。昨日、食べ物を差し入れてもらえて、本当によかった。


 すっきり眠れるわけではないが、体を横にして気がつくと寝ていたりする。果実水が胃を刺激するので、薄めることにした。これで水分と糖分が取れる。ほんの少し塩を舐め、これで今日一日は凌げるだろうと考えた。


 何もせずに時間が過ぎていく。怠惰な時間。役立たずな私――


 夕方、扉の向こうで話し声がする。

「本当に弟さんか、確かめさせてもらいます」

 ここは女性専用の賃貸なので、誰かが男性を呼んで管理人に見つかったのだろうか。

 そんなことを考えていたら、扉がノックされた。

 え、私? 弟が来たの?

 慌てて扉を開けると、本当に弟がいた。


 管理人に弟だと証言する。

「お手数をおかけして、すみません」

「いえいえ、本当に身内ならいいんですよ。じゃあ、来客者カードを渡しておきます。帰るときに返してください」

 そう言って、管理人は戻っていった。


「どうしたの?」

 弟を部屋に招き入れ、椅子を勧める。

「体調崩したって聞いたから、来たんだよ」

 弟も食料の差し入れをくれた。

「剥かないで食べられる果物と、火を通さなくても食べられそうなやつ」

「えー、嬉しい。ありがとう」


 私が差し入れをテーブルに並べている間、弟は部屋の中を見回していたらしい。

「姉貴ってこういうのが好きなんだ」

 と言われて、ハッとした。


 古地図風のタペストリー。聖剣のレプリカ。ドラゴンのペーパーウェイト。

 まるで少年のような品揃えだ。

「俺の昔の部屋みたい」


 そう言われて、顔が赤くなった。昔から、兄や弟が羨ましかったのだ。

 淡い初恋を描いた小説よりも、冒険譚が好きだった。彼らの会話には興味のないふりをしていたが、しっかりと耳を傾けていた。


 実家の私の部屋は母の趣味で、フリルと花柄で飾られている。

「素敵でしょう?」

 という問いかけを否定するのは、とても難しかった。


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― 新着の感想 ―
娘の部屋まで勝手に自分の趣味にするのか…母親の支配欲モリモリすぎてドン引きですわ…
 一日帰っただけでこんなに重症なんて、すぐに対処が必要な程のレベルだと思ってしまいます。  時代背景的にメンタルケア(特に女性に対して)に関する意識がとても薄いと推測できるので、理解してくれる同僚は本…
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