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嘘告の功罪 ~「本当は好きだった」は免罪符にならない  作者: 紡里
第一章 嘘告

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縁が切れる

 幼なじみの花屋が、寮の前で俺を待っていた。一瞬なんで王城にいるのかと思ったが、仕事で文官棟に来ると言っていたな。そこから寮まで足を伸ばしてきたのか。

「これから城下に出て飲みに行くか」と、こちらから誘ってやった。

 ところが――

「謝ったなんて、嘘じゃないか。彼女は俺に対しても怒ってたし、花束は押しつけられたって言ってたぞ。どういうことだ?

 俺の分まで話をつけるからって、タダで持っていったんだろ。約束が違う。花束の金を払えよ」

 顔を真っ赤にして、手のひらを上にして差し出してくる。俺の腰巾着だったくせに生意気な。だが、落ち着かせた方がいいだろう。

「友達じゃないか」

「花屋の花は商品だ。友達だから無料とか、そんなわけあるかよ。そんなことなら、高価なバラなんか渡さなかった」

 取り付く島もないくらい、怒っている。交渉の末、お友達価格ということで安くしてもらった。

 言い合いの中で、「もう、お前の子分じゃない」とか「口ばかりで実力もないくせに」とか、許せないことも言われた。

「払えばいいんだろ。そこで待ってろ」

 俺は寮の部屋に戻って、金を取ってきた。

 その金を鷲づかみにして「もう顔も見たくない」と、捨て台詞を吐いて奴は帰って行った。


 おかしい。ここにきて、次々と幼なじみに縁を切られるなんて……。どういうことだ?


 彼女に会って、花束の真相を確かめなければならない。俺はそう考えた。

 彼女が退勤するときに待ち伏せをしようと思ったが、その時間に用事を言いつけられてしまった。なんて気の利かない上司なんだ。

 祭典までもう何日もない。祭典が終わったら、俺は地方に戻らなくてはいけないんだ。

 王都に残れるように活躍するはずだったのに、彼女に振り回されて、手柄を立て損ねている。ああ、もう、むかつくなぁ。



 翌日、ようやく食堂で昼食を食べている姿を発見した。彼女に近づいたが、こちらを見ようともしない。

「おい、無視するなよ」

「あなた誰? いきなり失礼じゃない」

 彼女の隣にいる女が、不審人物に対するように俺を牽制してきた。


「あんたは黙っててくれよ。用があるのは、そっちの女だ」

「……なんですか?」

 挨拶もせず、不機嫌そうな顔を向けられた。ちょっと待てよ。不愉快なのは俺の方だぞ。

「俺からの花をいい加減に扱ったらしいな」

「強引に置いていっただけじゃないですか。両手が塞がっていたのに、胸に押しつけてきて。困っていたら、引き受けてくださる親切な方がいたのです」

「胸に」なんて言うから、周囲がざわつく。別に、いやらしいことしてないだろ。

「俺が謝罪して、お前はそれを受け取ったんだから……俺の気持ちをわかれよ」

 真心を無下にされて、悔しくて拳を握った。


「ねえ、礼儀もわきまえないそこの男。挨拶もしないで昼食に割り込んできて、イチャモン付けるのやめてくれる?

 それに、謝罪する態度じゃないよね。口先だけで謝って、『許さない方が悪い』って言うつもり? 馬鹿じゃないの。

 ほら。こんなに怯えちゃってるじゃない。誰かこいつを追い出して」

 その女に言われて、彼女が震えていることに気がついた。

「あ、わりぃ」

 大きな声が怖かったのかな。


「ああ、すまん。臨時で私の下についているんだが、困った奴で――」

 上司はそう言って、俺の首根っこをひっつかんだ。そのまま引きずられて、食堂を出るはめになった。

 まだ昼飯を食ってなかったし、人前で恥をかかされた。

 陰険で高飛車な、同僚の女め。今度会ったら、容赦しないぞ。彼女も、なんで幼なじみの俺を助けようとしないんだ。


 ただ、プレゼントは連行される前に、目の前のテーブルに置いてやった。女性に大人気のものだ。今度こそ、喜んで受け取るだろう。



 ところが……次の日も、それはそこにあった。昼時で混んでいるのに、不自然に、その周りだけ人がいない。

 食堂のやつに「盗まれても責任取れないから、持って帰ってくれ」と言われた。悔しくて唇を噛んだ。それをポケットにしまい、俺はうつむいて食堂を後にした。

 ふざけるな。手に取りもしないで。もう、あんな奴、知らん。


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― 新着の感想 ―
手柄をコツコツ積み上げるのではなく、一発どかんと打ち立てるものとしか認識していない時点でこいつは駄目だ…… 一発逆転の手段くらいにしか見えてなさそう 地方でも普段からテキトーにやってたのが上司にはバレ…
 もう本丸やっちゃうの?と思ったがそんなに何話も引っ張っても良い気分にはならないからさっさと解らせた方が良いか。  問題は解ってくれるかどうか⋯⋯。  脳内不思議時空のせいで結局理解できず逆恨みだけ抱…
この自己評価クソ高モンスターなんで今まで問題起こさず生きてこられたのかわかんないね……。
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