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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第8章光ある未来は少女達を闇へと落とす
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第66話 生きて償い、そして

 ユドリシアへ向かう為に、一度スービニアへと俺達は帰還した。


「アーニス様が……?」


「嘘でしょ」


 ただその帰還の際に、俺はラーヤ達にアーニスさんの事を伝えざるおえなかった。隠していたって意味がないし、黙っていたら逆に罪悪感が湧いて辛くなる。


「サラスティアも今、元王国騎士団長に支配されていて、簡単には足を踏み入れられない状態なの。私達もそこから命からがら脱出してきたから」


「私達が知らない間にそんな事が」


「本当にごめんなさい! 私が何もできなかったから……」


 自分の不甲斐なさから頭を下げる俺。それに対して皆が重苦しい反応を見せながら、ラーヤ一人だけが、違った


「なら責任取ってよ、ユウ」


「せ、責任?」


「王女を守れなかった責任、取ってよ」


「ラーヤ、何を言って」


 ラーヤはどこから取り出したのか、ナイフを俺に突きつける。


「ラーヤ、それはやりすぎ」


「サシャルは分からないの? アーニス様がこの子を守った本当の理由を」


「それは……」


「なら分かるでしょ?私が何をしたいのか」


 ラーヤがしたい事、俺を殺す事なのか?


 それとも別の理由があるのか?


 それはユウとしてではなく、ユウと夏目龍之介として、何かの理由が。


(アーニスさんが、俺とユウニを身を呈して守ってくれた理由は……)


「ごめんねユウ、ううん、リュウノスケ。これはあなたが嫌いだからする事じゃないの。私は……私達はあなたを助けるために、あなたを殺すの。ユウの姉がそうしたように」


「私を助けるって、それはどういうことなの? 確かに夏目龍之介は何度模試を繰り返しているかもしれない。でも私は、この命を大切にして」


「もう生きなくていいよ。そうすれば誰も苦しまなくていいし、誰も悲しくならないから」


 ラーヤは喉元に突きつけたナイフを刺そうとする。けど不意にもそれを止めたのは、ユウニだった。ナイフの部分を掴んで止めたからか、彼女の手からは血が流れている。


「ラーヤ、駄目」


「何で止めるの! 未来を変えたいのか知らないけど、私はこの世界が滅ぶというならそれでもいい! 最後のその時まで、この国を私が支えるから!」


「ラーヤがしている事がどんな未来になるかは分からない。でも、私は止める」


「ちょっ、ちょっと、手を離さないとあなた手が」


「ユウを守るためなら、これくらいはする」


「ユウニ……」


 俺の目の前で繰り広げられている攻防。俺はそれを呆然と見ている事しかできない。

 今すぐユウニの手を治療をしてやりたい。

 今すぐサシャルを止めたい。

 頭の中で色々な事が回り、巡る。どちらも必要な事だし、俺はやはり死ぬ事はできない。


「ごめんラーヤ、苦しませてばかりで」


「私だけじゃない! 皆が何度も苦しんでいるの。それでも受け入れて、ユウちゃんはあなたに全てを託した。苦しみ続けるくらいなら、もう終わらせよう」


「でも俺は簡単に死なない」


 アーニスさんを救えなかった事は、確かに俺に責任がある。でもその責任の取り方は、決して死だけとは限らない。その意味をユウニは俺に教えてくれた。


「それはリュウノスケとしての言葉なの?」


「こんな声で言うのもアレだけど、これは間違いなく俺の意思だ。償わなければいけない事が沢山あるのだって知っている。でもそれは、生きて償う」


「もしかした記憶が……」


「取り戻したよ、全部。だからこれから自分がしなければならない事を、生きてしていく」


「ユウ……」


「苦しませているのは分かっている。それを私がどうにかできるわけでもない。だけど、それでも私は」


 彼女の為に、生きたい。


 そう言葉を発しようとしたその時だった。突然何も見えなくなったのは。


(あれ?)


 手と足の感覚も何もかもがなくなった。本当に突然。まるで魂が抜けたかのように、俺は暗闇の中にいる。


 声も出せない、何も触らない。何も聞こえない。


 それは本当に突然、何の前触れもなく俺を襲った。


 ■□■□■□

「ユウ、目を覚ました?」


「ううん、全く動かない。心臓は確かに動いているんだけど、目を覚ます気配がないの」


 ユウが突然倒れてから三日が経った。私がラーヤを止めているほんの一瞬の間に、彼女は倒れてそれから目を覚ましていない。

 今フリスが言ったように、心臓は確かに動いている。けど、それだけだった。


(こんな未来も私の知らない部分で預言されてたの? それならどうして……)


 世界を救う未来に彼の姿があったのだろうか。


「フリス、少し休んだほうがいい。まだ回復してない」


「そういうユウニだって、休んでないでしょ? お互い様」


「……」


 ユウの看病はほぼ付きっ切りで彼女が行なっていた。時々交代はしているものの、ほとんどがフリスが行なっている。

 それと同じくらい私もやっているから、人の事は言えないんだけど。


「どうしてこうなっちゃったんだろ、ユウ」


「分からない。少なくともこんな未来にならないはずだった」


「それは預言書に書いてなかったって事?」


「分からない。私はもう、役目を終えたから」


「役目を終えた?」


「私はもう預言書ではない。ただの少女。名前は……これからはユニと名乗る」

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