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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第4章森の中の少女は母になる
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第37話 妖精と泉にはご用心

 スズに一抹の不安を覚えながらも、俺達は彼女が言っていた泉へと到着する。


「そういえば具体的にはそのヒントがどこにあるのか分かっているんですか?」


「うーん、あくまで噂ですから確信的なものは聞いていないのですが、探して見たら案外見つかるかもしれませんね」


「ノープランなんですか……」


 あそこまで言っていたのだから、彼女の中に何かの確信があったのだとてっきり思っていたのだけど、どうやらそうではなかったらしい。


(それにしても……)


 森の奥にある泉って聞いていたからどんな物かと思っていたけど、至って普通のどこにでもあるような泉だった。ここに妖精の一匹や二匹飛んでいたりしたら、もっとファンタジーな感じが出たんだけど……。


「どいて、どいてー」


 そんな事を考えていると突然どこからか声がした。だが辺りを見回してもどこにも居ない。


(空耳か?)


 と改めて泉を見直そうとした時、それはぶつかった。


「痛っ!」


「きゃあ」


 ただでさえ小さい体に思いっきり衝突してきた小さな物体。おでことおでこが衝突した衝撃で俺は尻餅をつき、ぶつかってきた物体は体がもっと小さいだけあって気絶してその場で倒れてしまった。


「大丈夫ですか? ユウさん」


「私は大丈夫ですけど、ぶつかった子が……」


 俺は尻を払いながら立ち上がり、ぶつかってきた物体を見る。どうやらぶつかってきたのは、青い髪のショートカットの女の子みたいだが背中には四本の羽が生えている。


「あれ、この子もしかして妖精族の子なのではないでしょうか?」


「妖精族?」


「かなり稀少な種族で、人生で一度遭遇できるかできないかのレベルで出会えないんですけど。まさかこんな泉で出会えるなんて……奇跡かもしれませんね」


 スズが少し感激しながら言う。まさか数秒前まで考えた事が、現実に起きるなんて、俺は少しだけラッキーなのかもしれない。


 それはともかくとして、


「どうしますかユウさん、この様子ですとしばらくは目を覚まさなさそうですよ」


「ここで出会えたのも何かの縁かもしれませんし、目を覚ますのを待ちながらここを探索しましょうか」


「そうですね」


 どうやらこの泉には稀少な妖精に会えるくらいの何かはあるらしいし、探索する必要はあるみたいだ。


 ■□■□■□

 ぶつかってきた妖精の看病をスズに任せて、俺はこの泉の探索を始めた。とは言っても、そんなに広い泉ではないし、調べるのに時間はかからなそうだ。


(本当にここに呪いを解くヒントなんてあるのか?)


 何かヒントになりそうな建物とかそういうのも一切ない。ただ森の中に泉があるだけ。もっとこうあからさまに分かりやすい何かがあれば、そこを調べられるのだが、


(考えているうちに一周しちゃったな)


 妖精が現れた事によって少しは期待していたが、どうやらそれはハズレだったらしい。俺は諦めてスズ達のところに戻ろうとした時、ふとある事に気がついた。


(気のせい、だよな)


 一周しているほんの僅かの間に泉の水が減っている気がした。いわゆる引き潮に近いものなのだが、この短時間であり得るのか?


(何かのヒントなのか? これも)


 とりあえずしばらくまた眺めてみるが大きな変化はない。変化はないのだが、俺はある考えにたどり着いた。


(あれ?)


 よく考えてみたらこの森の名前は輪廻の森。だから迷い込んだら何度も同じ空間を繰り返して、二度と出られなくなるからそう呼ばれると思っていた。

 だけど繰り返される空間でも、こうして僅かに何かが変化している。そして何より時間は何事もないように経過している。天気だって変わる。

 つまり、何もかもが同じようにその場所に存在し続けるわけではないという事だ。


(この僅かな変化に気づいたから、ヒントだと思って噂を流したのか?)


 だとしたら、この他にもこんな場所があるのかもしれない。


「ユウさん、何かヒントが見つかりましたか?」


 そう思ったとほぼ同じタイミングで、スズが俺に声をかけてきた。彼女はどうやらその変化には気づいていないらしい。


(本当に僅かな変化だから、気づかないのか)


 それがこの森を生み出した真の理由でもあるのかもしれない。


「大きなヒントを見つけましたよ、スズさん」


「本当ですか?! それはどういうものですか?」


「実はこの森は……」


 俺が見つけたその答えをスズに教えようとしたその瞬間、突然森の泉の水がゴゴゴという音ともに引き、そして噴水かの如く空へと噴出した。


「え? 泉の水が」


「スズさん、危ない!」


 そしてその吹き出した水が、まるで滝のように俺達に降り注ぐ。俺は小さな体でスズに飛びついて、それを避けようとしたが、あくまで俺がしたのは彼女に飛びついただけ。


「あ」


 俺今体が小さいんだった。


「ちょ、ちょっとユウさん?! 飛びつかれても重いだけで……きゃぁぁ」


 結局俺とスズ、そして気絶したままの妖精は何もする事が出来ずに大量の水に飲み込まれてしまったのだった。


 今日の教訓


 小さな妖精と水には要注意。


 って、そんな事言っている場合じゃないよな、どうなるんだこの後俺。

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