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第21話



 この機体唯一の武装、アルヴィーレがティタンに対し有効だとわかったものの、依然として状況が芳しくないことに変わりはなかった。

 地面を打ち鳴らし木々を焼き払い、空にいる私目がけて腕を薙ぎ払う。

 本来であれば広範囲へ向けて放たれるだろう猛攻が、悉く私へと集中している。


「さ、っすがに! 避けきれな、っくぅ!? な、るんだけどっ!?」


 必死で機体を捌き、すんでのところで大量の熱閃を回避していく。未だクリーンヒットは食らっていないが、数回は一部装甲が赤熱化してしまう程度の擦過も受けている。


 〈いやぁ、そもそもここまでちょっと掠った程度しかダメージ受けてないじゃん? ボクの知る限り、君ほどのパイロットは片手の指程の数も知らないよ?〉


「そんな冗談言ってる場合じゃないでしょ!」


 〈純粋に褒めたんだけどなぁ、まぁいいや。リファリード、とりあえず今度は左肩狙ってみよう。アルヴィーレを10秒くらい当て続ければ破壊できるはずだよ〉


「簡単に言ってくれるけど、その10秒は果てしなく長いんだ……よっ!」


 一瞬攻勢が弱まったその隙に、前方へ向いた2門の砲門から、銀色の閃光を放つ。照準は後回しにして、機体制御だけでそれらしい方向へと向けさせる。


 〈素でマニュアルロックか……いいね、面白い〉


「面白がってる場合かこんにゃろう!」


 アルヴィーレの照射を続けている間も、波のように熱閃が押し寄せる。ここまでティタンが放ってきた攻撃は全て熱閃か腕の薙ぎ払いだけ。まさか、ティタンも他の武装を持っていないのだろうか。


 「ねぇ、ティタンって、熱閃以外の攻撃方法ないわけ?」


 〈当然あるよ。強烈な衝撃波を自機を中心に放出して、魔獣や人なら感覚器を、ミスティカドールならセンサー機器を完膚なきまでに粉砕する、凶悪なやつがね〉


「ちょっ、そんなの使われたら終わりじゃん!」


 〈でも、今のティタンはそれを使えない。【フェイタル・ディスラプト】は、マナの消費が大きすぎて、ドールコア6基が全力で絞り出さなきゃ使えないレベルなんだ〉


 ドールコア1基だけでも相当な量のマナを生成できるはずなのに、それを6基も使う術式なぞ、いくら強力とはいえ欠陥以外の何物でもないはずだ。それでも搭載されているということは、それだけ有用だったのか、はたまたそのために(・・・・・)建造されたのか。


 〈今のティタンは、肝心のドールコアが5基しかない。さっき吹き飛んでいったミスティカドールが、偶然破壊してってくれたおかげだね〉


 ライ兄様が私に紙一重の可能性という名の置き土産を残していってくれたらしい。その布石を無駄にするわけにはいかない。

 剛腕の薙ぎ払いを掻い潜り全力でスラスターを吹かして急接近を仕掛ける。


〈ちょっとリファリード!? さっきも言ったよね、この機体は近接はからっきしだって!〉

 

 銀紅の叫ぶ声を無視して一部の装甲を犠牲にしながらティタンの背中に回り込む。


「ただ飛び回ってたらいい的にしかならない、だったらゼロ距離で分解してやればいい!」


 瞬間、機体を変形させ人型になり、脚部のクローをティタンの堅牢な装甲の隙間に突き立て、ピッタリと張り付く。密着していれば、大量の砲門から放たれる熱閃が湾曲して襲ってこない限りは、警戒すべきは腕による叩き落としだけだ。今の所、ここが最も安全と言えるだろう。


「”砲台下暗し”ってね!」


〈損傷率32%……まさか、あの閃光の雨霰を掻い潜っちゃうとは……リファリード、君センスあるね〉


「褒め言葉として受け取っておくよ!」


〈褒め言葉なんだけどなぁ〉


 銀紅のボヤキをスルーし、上から降ってきた掌底を全力で身体を仰け反らせて回避する。大量の砲門から放たれ続けている熱閃は私の背後をすり抜けていき、チリチリと装甲を刺激するだけで私へは届かない。

 

「そこ、だ……っ!」


 振り抜かれて隙間が空いたティタンの肩関節に、アルヴィーレを一門突き込む。ティタンの肩は軋んで止まるが、凄まじい馬力で挟み込まれ、砲門の先が捩じ切られそうになる。この状態では、アルヴィーレを照射する数秒も保つかもわからない。こうなってはなりふり構っていられない。


「銀紅! ありったけのマナをよこして! このまま内側から胸部を破壊する!」


〈はぁっ!? んな無茶な! この機体にそんな武装は……〉


「手段なら、私の頭の中にあるわ!」


〈〜〜っ!! どうなっても知らないよ!〉


 突如、ドールコアから深紅の陽炎が炎のように吹き出し、大量のマナが虹色の光となって機体から溢れ出す。

 それらを練り上げ術式を描き、潰れてただの鉄塊になったアルヴィーレの先端へと集中させる。


「これで決めるッ、【ヴァーディクトレイ】!!」


 マナを撃ち放った瞬間、世界が光によって閉ざされる。

 突き込んだ左腕が溶け落ちていく感覚と共に、私は空中へと放り出された。



 ◆◇◆◇◆◇



 あぁ。

 やっぱりお姉は強い。


 お姉だけならいけると思った。

 いつもはお兄たちがいたから。


 胸が熱く、張り裂けそうだ。でも。


 みんなで揃っていけるなら、悪くないかも。


 お姉。ごめんなさい。それと……


 

 みんなに(・・・・)よろしく(・・・・)

 


 ◆◇◆◇◆◇


 

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