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令和最初で最後のスケバン、タイムリープだか憑依だかして極妻になって昭和を制覇する‥とかしないとか  作者: 真夜航洋


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第36話 獄中より


「どう?頭は冷えたかい、帰蝶」

「‥‥」


小菅の東京拘置所。

逮捕の三日後、織田三郎は帰蝶と接見した。


「いつまで、そんなムクれた顔してんだよ」

「黙れ、裏切り者」


三郎がやれやれと肩をすくめる。


「あのさあ。大和田組と抗争ってなったら、警察は頂上作戦に出る。織田組トップのおまえが、真っ先に挙げられる。無期懲役は免れない。でも15年前の騒乱事件なら、大した刑にはならない。いや。大和田組から身を隠すなら拘置所が一番安全だ。だから、俺が警察に訴えた。むしろ、感謝して欲しいんだけどなあ」

「これは、おまえが描いた画なのか?」

「ううん。瀬川さんの入れ知恵」

「‥‥だろうね」


いろいろと納得いかないことはあるが、最善の処置かもしれない。


坂上が下地にした密告(タレコミ)の半分は事実だ。

佐久間の小指を詰めさせてトイレに捨てた、などは過剰な脚色だ。

だがあの時の帰蝶は、そうしかねないぐらい逆上していた。

怒り狂っていた。

あのまま暴走していたら、織田組を地獄に道連れにしていたかもしれない。


「頭は冷えた。だけど、大和田組を許す気はない」


ため息交じりに三郎がつぶやく。


「なあ、帰蝶。織田信長が本能寺で明智光秀に討たれたのは、なぜだと思う?」

「……」

「俺んち織田なんて家名だからさ、けっこう詳しいんだ。まあ、裏で秀吉や家康が光秀をけしかけたとか、比叡山の生き残りが仕掛けたとか諸説あるんだけどさ。俺は、濃姫が黒幕だと思ってるんだ」

「濃姫?織田帰蝶が?」


「帰蝶はもともと光秀とは従兄関係で、幼馴染だった。光秀が帰蝶に片想いしていたという説もある」

「は。帰蝶を取られた嫉妬心?そんなロマンティストじゃ、戦国武将は務まらない」

「嫉妬したのは武将じゃなくて濃姫、帰蝶の方だ」

「はあ?誰に?」

「最後の最後まで、信長とともにいた……森蘭丸」

「……」


「帰蝶は幼馴染に、恋敵を殺すように懇願したんだよ。いや。この際両方とも、かな?だって信長と蘭丸は主従関係じゃなく、愛人だったからな」

(……同性愛)

「おまえも、そうじゃないのか?」


真正面から斬り込まれた。

蘭丸と呼んでいたキム・ミランとのことだ。


「……いつから知ってたの?」

「見てりゃ、わかるよ。ま、俺としてはそれはどうでもいいんだ。それより、今回の大和田組との抗争。本能寺の変みたいに感情で動くなよ、って話」

「……」


ずっとボンクラ夫だと思っていたが、ここぞのところでは頼りになるようだ。

ただ、自分はいま囚われの身だ。

何ができる?

いや。

獄中だからこそ、効果的な戦略もある。


「わかったよ、旦那。じゃあ、あたしが戦略を練る。あんたが、それを組や天武会に伝えてくれるか?」

「オッケー」

「まずあたしに、マスコミに強い弁護士をつけてほしい。反撃開始だ」


ようやくその瞳に活力が浮かんだ。





一週間後。

東都テレビのワイドショーでは、「真昼の事件簿」というコーナーが生放送された。

話題になった事件を、タレントや専門家が深堀りするというものだ。


「暴力団組長姉御の殺害未遂事件」というキャッチ―なタイトルが画面におどった。


司会者が簡単に事件を説明する。


「爆殺未遂に遭った暴力団は関東一円を支配する関東天武会の織田組で、殺害されたのはその関係者です。そしてこの事件の加害者は一般人、なんと現役女子東大生という異例の事件でした」


当時のテレビ番組は、VTRではなくフィルム取材が中心であった。

そのため放送できる映像はほとんどなく、番組は写真パネルとスタジオトークで展開する。

とはいえ、ことが暴力団絡みなだけにタレントたちも迂闊にコメントできない。


「当番組では、この事件を解説するのにピッタンコな専門家をお呼びしています。弁護士の内村義則さんです。先生、よろしくお願いします」


内村は帰蝶の代理人だ。

おそらくこのコーナーは、弁護士の独り舞台になるだろう。


「内村先生は、今回の事件の弁護人なんですか?」

「いえ。ちょっと複雑になりますが、本件の関連事件の代理人です」

「と言いますと?」

「殺害されたМさんは織田家の使用人ですが、警察当局はこの織田帰蝶氏を、無実の罪で別件逮捕したんです。これは明らかな人権侵害と言えます」


「え?被害者側を逮捕したんですか?」

「はい。当局にすれば、暴力団同士の抗争を未然に防ぐ目的があったのかもしれません。私の依頼人織田氏も『警察には警察の立場がある。そこは致し方ない』と理解を示しています。一方で『だが、泣き寝入りするわけにはいかない。こっちはこっちの仁義を通させてもらう』とも言ってます」


「ちょっと待ってください。これはスクープですよ。先生。仁義を通すとは、織田帰蝶氏は具体的にどういうことをするつもりなんですか?」


スタジオ内に、怖いもの見たさの空気が漂い始めた。

内村がポケットから紙を取り出す。


「依頼人からのメッセージを読み上げます」


スタジオが固唾を飲む。


「わが関東天武会は、大和田組に対して全面戦争を仕掛けることを、ここに宣言する。大和田組傘下の54団体、1万2千人の構成員に告ぐ…」


獄中からの宣戦布告だ。


「首を洗って待っていろ」





つづく





あまりに読者の反応がないので、当作品はここで打ち切りとさせていただきます。


つづきを読みたい方は☆やブクマをお願いします。


これ以上増えないようなら、永遠にさようなら。






☆やブクマよろしくお願いします!

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