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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第4章 要人警護

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亡命貴族

「お主もそう思うか?」


「いや、今の今まで想像もしていませんでしたけどね。言われてみれば、あり得ない話ではないなとは思いましたね」

とシバも思わず本音を漏らしてしまった。


 じっとシバの顔色を見ていたカクセール伯爵は


「ふむ。お主も詳しい話は知らぬようだな」

と笑みを浮かべて言った。


「当たり前ですよ!」


――本当に食えないオッサンだわ――


とシバは答えながらも、いつの間にかカクセール伯爵にそれなりに情報を聞き出されていた事に気が付いていた。やはり伯爵は伊達に歳を重ねていないという事をシバは改めて認識した。


「で、疑いは晴れましたかねぇ?」

とシバはスモークナッツを頬張りながら聞いた。


「まぁ良い。この酒に見合う情報は得る事が出来たという事にしておいてやろう」

とカクセール伯爵はこの話題を切り上げた。


「ところで本題はこれからだ」


「本題って……まだ何かあるんですか?」

とシバがうんざりした様な声を上げた。


「そんなにあからさまに嫌がるでないわ。仕事の依頼だ」

とカクセール伯爵は苦笑いしながら言った。伯爵はこの二人が嫌いではない。どちらかといえばこの得体のしれない男たちを気に入っていると言える。


「仕事ですか? 誰を()るんですかい? 旦那」

とシバが目を細めて低い声で聞いた。その瞬間


()らん。()らん。誰がそんな依頼なんかするか!」

とカクセール伯爵は笑った。


「お前はどこぞの仕事人か! もう酔ってんのか!」

とアキトが呆れたようにシバの頭を軽く小突いた。


「いや、ちょっとそんな雰囲気がしたもんで」

とシバが頭を撫でながら言い訳をした。実際にシバは少し酔っ払っていた。


「それでは、今度は何を運べば?」

とアキトが冷静に聞いた。


「うむ」

そう頷くとカクセール伯爵は『パンパン』と手を叩いた。

すると隣の部屋へと続く扉が開き一人の貴族風の男が入って来た。

豊かな髭を蓄えた温和な風貌の男だった。歳の頃はシバとアキトとそれほど変わらないように見えた。


 男は一礼すると黙ってカクセール伯爵の隣に座った。


「彼はミハエル・クラーキン子爵だ」

とカクセール伯爵はシバたちに紹介した。

紹介されたクラーキンは再び軽く頭を下げた。


「ミハエル……もしかしてラシール帝国の方ですかな?」

とアキトが聞き返した。その名前からアキトは、彼がラシール帝国出身ではないかと気が付いた。


「よく分かったな。その通りだ。子爵はラシール帝国から我が国へ亡命してこられた」


「ほぉ、そうなんですか。よくあの帝国から無事に亡命できましたね」

とシバが感心したように言った。


 ラシール帝国は『ツードラの野獣』と呼ばれるオルムト・サザーンが統治する絶対君主制の武装国家である。この大陸の中央から東へと領土を広げている最中であった。そして西に目を向けると、この大陸の覇権をモルタリア帝国と争っている大国でもある。

ただ今はその地域性もありラシール帝国の西隣のゲルオン王国とポレスカ王国と小競り合いを繰り返していたが、基本的にはこの大陸全土を征服する野望を持っている国と考えて良かった。


 兎に角、いつもどこかの国と大なり小なりの戦争状態にある国であった。そんな国なので国民どころか貴族や臣下の者に対しても監視の目は厳しかった。


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