#071:黙考かっ(あるいは、くっ、飛ばせ……っ、さっさと読み飛ばすがいいっ!!)
決勝第一戦、第3ピリオドの、幕が上がる。
元老間の内部抗争により、場は混沌の様相を呈してくるのであった……っ!
微妙に世界の中心から外れかけている私は、そんなナレーションまがいのことを考えることしか出来てないわけだけど、ちょっと待った。
第1第2ピリオドの勝利により、いまや私の持ち金は倍々くらいに増えて「5100万」。他の対局者たちと、肩を並べるくらいのところまで来ている。
13名中、9番目の位置。MAXベットを賭けても「指名権」が得られるかは微妙なところだが、敵さんの足並みが揃っていないというのなら、こっちにもチャンスが回ってくるってこと、考えられない?
改めて、現況を見返してみる。「上位正統元老メンバー」が「No.1」から「No.8」までの8名だと仮定して、私を除いた「No.9」の塗魚から下7名が「下位造反組」とすると、上位2名、下位1名が既に脱落していることから、その人数的パワーバランスはちょうど「6 vs 6」。
しかし金の多寡を手元の端末で計算してみると、「302,00万 vs 368,00万」と下位組が上回っている上、上位者は例の「No.1」島大佐が「135,00万」と突出してはいるものの、「900万」しか手持ちの無い面子を二人も抱えており、正直、押されている感は否めない。
対する下位組はひとり「1100万」がいるものの、残る5人の内訳は、「8700万」が塗魚ともう一人で2名、残る3名は「6100万」と平均的に高水準だ。
上位組の中でこの「6100万」を上回る金額を所有しているのは先述の島大佐のみであって、他は「5700万」が2名と「3500万」1名。
すなわち下位組はBET金額「5800万」を提示すれば、5人が確実に「指名権」を得られるということ。
対局相手のことがよく分かってない私にとっては、指名がごく限られた範囲でしか(唯一、予選で対局したセンコを指名するとか)意味を為さないわけだし、果たしてそれが有効になるのかも分からないんだけど、こいつらは一応は同じ集団に所属しているわけで、その持ち味とか手筋みたいなものはそれぞれ把握はしてると思っていいだろう。
となると、対局はどうなる?
「No.1」島大佐がその資金力を全力で開放してくるとみて、狙う相手は、先ほどメンチ斬り合ってた「下位組リーダー」「No.9」塗魚である可能性はかなり高い。
塗魚は「8700万」所持だから、確実に上回るとしたら「8800万」以上のBETが必要ってわけね……感覚マヒして来てるけど、単位は円なわけで、たかだかのダメエピソードのぶつけ合いにこれだけの金が動くというのは、何というか、空恐ろしいわー。
いやいや駄目駄目。そんな正気に戻ってたら、この戦いを切り抜けることなんて出来やしない。あくまで金額は「目盛り」。平常心よぉ~、若草。