50連合へ行こう1
オーリが眠ってしまって、またただの騎士になってしまったな…。
どうするか…。
「まあ、ゲームでやる事って言ったら狩りだよね。」
天音が言ってくる。
「だなー、とりあえずオーリが大きくなっても問題ないように、龍桜に町の作成の提案を出してから頑張ろうかね。」
どうせ昼食を取ってたら来るだろうと思ってたら、やっぱり来た。
「丁度いいとこに来た。提案というかお願いがあるんだが?」
「なんでしょう?」
「オーリが50になって、今度は繭になってしまったんだ。」
「はぁ?龍なのに繭ですか?さすが騎龍さんの龍ですね、予想外ですよ。」
「どういう意味だよ…。まあ、それでまた巨大になったら困るからさ。繭は動かせないから、建物を動かそうかとね?」
「つまり、町の建設ですね。わかりました。元々予定にあったのが早まるだけですね。騎龍さんが動くんですよね?」
なんか、諦めきった目を向けられた。
「現在、5000人くらいだからね。さすがに今の土地じゃ手狭になってきたしね…。」
元々は1000以上としか考えてなくて、ギルド開始時には2000位だったのだ。
想定の5倍になっている。
そりゃ、手狭にもなるわ…。
「2週間もかからずにこんなことになるなんて、想定外だよ。」
「騎龍さんの想定外とか、なかなかないですね。」
「表に出てないだけで、結構あるぞ。」
最初のステータスとかな。
「そんなこんなで、私が主に進めるけど大丈夫?」
「ほっといても、勝手にしますからね。頑張ってください。」
諦められてしまった。いや、大分前からそうだな。
「それはいいとして、この後どうします?」
「最近は40ばかりだから50や60行きたい。」
「ですよね、すでに1週間もの間40しか行ってないようなもんですしね。」
「連合分けして、50や60行きましょう。」
「2連合が同時進行した場合のデータも取れそうだね。」
「そういうことです。」
「昼から参加可能人数で等分割りしていこうか。」
そんなこんなで、50や60に向かうことにする。
状況次第では50を1周だけかもな。
ギルドチャットにて、連絡網を回して今現在いるメンバーをゲーム時間13時で集める。
流石は日曜の朝である。暇な人が1000人ほど集まった。
戦闘部門で3分の1集まるのは十分多いだろう。
【それでは、順次PT組んでいきます。1連合辺り160人くらいで6連合作ります。】
ギルドチャットで指示を流しつつ、集合してくる人を並べて狩りがしやすいように組分けをして、2時にならないうちにクラウドとブリテンへ向かう人員を分けていく。
咲夜達が居ないから、臨時でのPTだ。
「さて、数日40ばかりクリアしてきましたが。本日は50のクリアを目指したいと思います。宜しくお願いします。」
転移すると、高さが20m位ありそうな大きな洞窟の前だった。
「うぇ、龍でも出てきそう…。」
他の連合は来ないようだな。連合は単独になるってことか…。
「よし、さくさく進んでいこう。」
道中はほとんど雑魚ばかりで、皆で取り囲んで一蹴していく。
道の途中に宝箱が散在していて回収。後程オークションだな。
雑魚は問題ないが、下に行くスロープ前に中ボス的感じで佇む鎧に身を包んだ人影がある。
身長は180cmくらい。龍を模したと思われる鎧を身に付けている。
「名前は邪龍騎士ってだけだから、固有名称はないみたい。」
ソルティが告げてくる。
「どうみても、中ボスだよな…。人サイズとかやりにくいんだよね…。」
取り囲む人数が限られるからな…。
「私がシールするから、誰かタゲ取って。あとは遠距離で沈めよう。」
安全が一番だ。
「ダブルステップ!」
一気に距離を詰めて、シールで固定する。
「「「ヘイト!」」」
数人がターゲットを奪おうとするが離れない。
「こいつは、至近距離ターゲット固定みたいだ!私が対応するから、遠距離で倒して!」
両手槍による突きや払い、石突きによる意表を突いた攻撃など変幻自在の槍技を使ってくる。
巧いな…。
しかし、防御重視の両手盾をしてるのは伊達ではない。
弾き滑らせ、鎧も使って捌いていく。
なんか、こんな技術ばかり磨いてる気がするな。
魔法を数十発打ち込み、数分かからずに討伐する。
何故か、宝箱でなく兜がその場に落ちた。
「邪龍騎士の兜、数値その他が全部クエスチョンになってるね。」
ソルティが答える。
「これはオークションに出しません、多分何らかのキーアイテムだと思われます。」
見るからに呪われそうな予感がヒシヒシとする。
そのまま侵攻すると、数回邪龍騎士と戦うことになった。
倒すことによって、全身鎧が着々と揃っていく。
嫌な予感しかしない…。
これ、絶対に装備しないといけないはめになりそうだ…。
誰にさせよう…。やっぱり自分かなぁ…。
最下層と思われる広大な地下空間に到着する。
目の前には大きな真っ暗な空洞が広がっているが、進むことができなかった。
多分ここからボスが出てくるのだろう…。
その手前には祭壇があり、予想通り「その身を捧げよ。」の文字が彫られてた。
「とりあえず、私が立ってみるから死んだら蘇生お願い。そのままボスになるだろうから注意して。」
全員の緊張が伝わってくる。
私も手に汗を握る気分になる。汗なんか出ないんですがね。
立ってみたが、なにも起こらなかった。
やはり、鎧を着けないといけないようだ…。
絶対に操られフラグじゃないか…。
「早い者勝ち!死ぬ可能性はあるけど、鎧を着てそこに立つだけ!100万でどうだ!」
「「「はい!」」」
複数人手が上がった。
「じゃあ、頼んだよ!」
「はい、頑張ります!」
選んだのは最近入ってきた両手剣の戦士職の男の子だった。
最近入ったのは装備でわかる。ギルド配布の防具を着てるからだ。
パワーレベリングを受けて50にはなってるはず。
「うぅ、なんか心がざわつくと言うか、気持ち悪いです…。」
「頑張れ、もうちょいだ。」
鎧で全身を包み、兜をかぶる。
「あとは台座に乗るだけだ。」
「うぅ、はい…。」
最初に手を上げたときの元気がないぞ。
台座に上ったときに、予想通りの変化があった。
「ククククク…。ハァーハッハッハッハ!
我はダテマサムネ。邪龍マサムネに跨がる邪龍騎士なり!」
…。
しまった、あまりのネーミングセンスに呆然としてしまった…。
「ダブルキャスト、フレイムレーザー!」
「ショックウェーブ!オーラブレード!」
背後から兄弟の声が聞こえたと思った瞬間、2本の赤いレーザーと衝撃波と一本の線が引かれて吹き飛ばされるダテマサムネ。
オイオイ…。
「今のうちにダテマサムネを倒すんだ!」
アスタールが声をあげて、それに呼応するように遠距離攻撃が集中する。
倒せるのか?
洞窟の奥から地響きが鳴り響き、暗闇の中から邪龍マサムネが姿をあらわす。
体高15m位、体長45mくらいの巨大な隻眼の龍だ。
地底に住む龍なためか、翼はない。
ちなみに、ダテマサムネは死んだのかピクリとも動かない。
いいのかこれ?
「よし、本番だ。気合い入れていくぞ!」
相手が大きすぎて大変だが、頑張るしかないな。
本日も誠にありがとうございます。