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Interlude

 少女は幼い頃から都会に憧れていた。


 そびえたつ高層ビルに超高速道路。

 陸・海・空を駆け巡る、考える力を標準装備したスマートビークル。

 指一本動かさなくても、身体の隅から隅まで、きれいに洗ってマッサージまでしてくれる衛生チューブ。

 自動的に調理してくれるガジェットシェフ。


 都会ならば、山で山菜取りをしたり、川で魚を捕ったりしなくても、そのガジェットシェフが、材料の調達から皿の上で美味しそうな湯気をあげる状態まで、すべての工程をプロレベルでやってくれるという。


 幼い頃に大人たちが羨ましそうに話しているのを聞き、集落のあちらこちらにひっそりととってある古い書籍を開いて都会の写真を眺めては、少女は溜息をつき、私もいつの日かそういうところで暮らしたいと思うようになった。


 大人たちは、こうも言った。


「便利は便利だけど、AIサピエンスの世界っていうのは人工的なんだよね。足が地についていないというか、たった一つのエラーで停電状態になれば、まったく機能しなくなるわけでしょう? 何かあったらどうしようもない。そんなときにはどうするんだろう」


「どうすることもできなくても別にいいんじゃないの? 人間と違って感情とかないし、そもそも本物の生き物じゃないんだから。言ってみれば、彼らは人間を模したコンピューターなんだよ」


「でも、そんなコンピューターに、俺たちは街を乗っ取られ、追い出され、今や絶滅したと思われているんだよな」


「実に面白くないね」


 そうなんだ、と少女は思った。

 そのAIサピエンスとかいうのが出てきたせいで自分たち人間は都会から排除されたのか。

 そして彼らは今では人間が築き上げた都会を勝手に受け継いで満喫しているんだ。


 それっておかしくない?

 私たちがこんな山の中の集落で日々の食べ物を必死に探したり捕ったりして生きているのに。

 そんなの侵略者じゃん。


 宇宙の人間たちよ、どうか早く地球に還ってきてください。

 一日も早くこちらに戻って、そして都会を取り戻してください。

 お願いします。


 少女は何かの本で見たお祈りを真似して掌を合わせ、星空を見上げて願いをかけた。


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