表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 捨てられる神あれば拾うアホあり



 信号が変わると同時に、ざわざわと人混みが道路に溢れ出る。

 流されるように歩いていると、車道にお守りが落ちているのを見つけたので、拾った。

「あ……、なんだ」

 身代わり守りだ。持ち主に返す必要がない、が。

「ま、神様も救われたらいいんじゃねーの?」

 渡り終えて、歩道のそばの塀に置く。いいことがしたかったわけではないが、良い事ばかりしているであろう神がこんな目に遭う必要もない気がする。どちらにせよ、寝たら忘れる事だ。

 アスファルトの割れ目に生えた雑草は嫌うのに、大根が生えたとなると誉めて見守る。人間はそんな汚すぎる生き物だから、こんなもんだろう。

「どーせ今日の面接も落ちるっしょ!」

 とはいえ面接のために準備したスーツなどなど、翠玉スイギョク藍姫アイヒメ黒姫クロヒメが稼いだお金で買ったものだから、彼らに怒られる未来が待っているのは想像に易い。

「帰りにマシュマロでも買おっかな! 楽しみだー!」


 捨てられるはずだった——身代わりになった神は彼を見ていた。

「こんな良い子がいるなんて……。世の中捨てたもんじゃないねぇ」

 そうは言っても、神がお礼をするかというのはまた別である。


「たっだいまー!」

 上機嫌な彼を出迎えたのは、対照的に思えるくらい不機嫌な双子の少女たちと、疲れた様子の少年。

「今日はー、すっごい良い天気! あそうそう、道路でお守り拾ったから踏まれないところに置いてきた! で……」

「落ちそうなのか。はあ……」

 少年——翠玉は怒りを通り越して呆れ、ため息を吐いた。

「なんであんただけ受かんないの? 年食ってるくせに」

 ぐさぐさ刺すように文句を言う黒姫。

「アホだからに決まってるでしょ」

 呆れすぎて嗤い飛ばす藍姫。

「まあまあ、そうは言っても俺は早生まれだからほぼ君らと変わんないし、次で決められそうな気がするって」

 三人は揃ってため息を吐いた。

「それ、前も言ってたの覚えてない?」

「あれ、言ったっけ? でも無理そうだから違うんじゃねーの?」

「ねえ」

 瞬時に冷えたものが首に当てられる。ぴりっとわずかに痛みが走った。

「アオ兄がやらないと、僕がバイトすることになるんだよ? 次くらい本気でやってよ」

「もー、甘茶アマチャまで……。次は頑張るって、たぶん」

 どうせ甘茶はこう来ると思っていた。思った通り、首の圧迫感はなくなる。数歩離れた甘茶が凶器それを振る。今日は普通に包丁だったみたいだ。

「本当に、嘘つかないでよ?」

「わかってるって」

 そういえば、ひとり足りない。まだ寝ているのか。

小鈴コスズは?」

 翠玉が首を振る。

「起きて来ない」

「いつも通りか。じゃあもう晩飯……あ、甘茶、あれやって。『ご飯にする? お風呂にする? それとも』」

「あ・ん・さ・つ?」

「ごめんてごめんて、ふ、風呂行ってくる!」

 一応甘茶は男の子だ。

「アオには甘茶が一番効くね、ほんと。甘茶いなくなったらマジで困る」

「大丈夫、仮に出ていくことになってもアオ兄は始末してくから」

「ふふふふふ」

「ふふはははは」

 甘茶と藍姫は物騒な話題で盛り上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ