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王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
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最初の脱落者



放課後、僕はセーズくんと屋上にいた。



「セーズくんはルイス先輩に指示されてたんだよね?」



昨日、お姉様と僕の話をしていたようだけど…セーズくんが言うには指示したのはルイス先輩らしいからね。



「…まあ、はい」



「どうして指示に従ったの?…僕のことが嫌いだったから、みたいな感じでもいいから、正直に言ってほしいな」



「それは…先輩に言われたから逆らえなかっただけです」



「…そっか」



本当にそれだけ?



…まあ、セーズくんがこう言ってるんだし、取り敢えずここは受け入れよう。



というか、セーズくん、昨日よりも気持ちが落ち込んでるような感じがする…心配だな。



きっと、セーズくんもテスト明けで疲れてるだろうし、今日はここまでにしよう。



「まだ色々聞きたいことがあるから、また呼ぶね。何かあったらいつでも教えてね。1人で悩んじゃ駄目だよ?」



「はい…じゃあ、失礼します」



「うん、じゃあね」



昨日の会話の内容からして、指示したのはお姉様の可能性が高いが…どうしてセーズくんはルイス先輩の名前を口にしたのだろう?何故、お姉様のことを隠しているんだ?



まだまだ分からないことだらけだ。



セーズくんみたいに困ってる人が他にもいないと良いんだけど…



「おい、そら。」



「あ、シアン。いつからここに居たの?」



「ずっといた。さっきまでここで昼寝してたんだよ」



「そうだったんだ…もうお昼じゃないけどね」



「ボクにとっては昼だ。で、テストはどうだったんだ?」



「あ、そうそう!シアン、僕1位だったよ!」



「おお、そうか。お前、すごい頑張ってたもんな。良かったな」



「ありがとう!…1位になれたおかげか、噂も消えてきてだいぶ過ごしやすくなったよ。まだ1日も経ってないのにね」



「それは良かった。お前、色々気を遣ってたからずっと心配だったんだ。」



「心配してくれてありがとう。でももう大丈夫だと思うよ」



「そうか…あ、お前に話しておきたいことがあったんだ。元の世界に帰る方法についてなんだが…」



「僕らにとって、1番大事なことだね」



「そうだな。色々調べたんだが…元の世界に帰るには、鏡が必要になりそうなんだ」



「なるほど、鏡ね。…そういえば、僕、鏡でこの世界に来たんだ。確かシアンもそうだったよね?」



「ああ。まあボクの場合は夢の中だったけど…」



「そうだったね。…ちなみに、どうして鏡が必要になると思ったの?」



「本にこう書いてあったんだ」



シアンは近くに置いてあった紙を口にくわえ、僕のところまで運ぼうとした。だが、シアンに対して紙が大きいので、引き摺ってしまい上手く運べないようだ。



「あ、僕が動かすから無理しなくて大丈夫だよ!」



「…助かる」



僕は紙を拾い上げた。この紙は本に書いてある内容をまとめたメモのようだ。綺麗な文字がびっしりと並んでいる。



「これって、シアンが書いたメモ?」



「いいや?違うけど」



「え、じゃあ誰かのメモを勝手に取ってきたの?」



「ボクはそんなことしない。頼んで書いてもらったんだ」



「え、誰に?」



「そこら辺にいた人間に。」



「え…?どうやって頼んだの?」



「普通に書いてくれって言っただけだけど?」



「…シアンの言葉が通じる人間は僕だけだったんじゃないの?」



「ああ、昨日まではな」



「ん??…僕以外にもシアンの言葉が通じる人間が居たってこと?」



「そういうことだ。そもそも、このメモもそいつに屋上まで持ってきてもらった。ボクだけじゃ運べなかったからな」



「え、そうだったの!?…てか、なんでそんな凄いことサラッと言うの!」



「別にそんなことじゃボクは驚かない。何百年生きてると思ってるんだ」



「…僕が最初に話しかけたときは驚いてたのに…まあいいや。で、どんな人だったの?」



「誰だか知らないが、確か「ソラ、ここに居たのか」



「えっ?」



振り返ると、そこにはルビーのような瞳を持つ人物がいた。



「お兄様…!」



護衛などは連れておらず、お兄様1人だけで来たみたいだ。



「学年1位おめでとう。本当に凄いな」



「ありがとうございます。…僕のせいで色々とご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ございませんでした」



「そんなこと気にするな。ソラはなにも悪くない。こちらこそ、隠し事をさせてしまって申し訳なかったよ」



「いえ、お気になさらないでください」



「ありがとな。…それで、ソラの情報を吐いたやつのことだが」



「俺はルイスが怪しいと思っている」



「ルイス先輩が…?」



セーズくんもルイス先輩の名前を挙げていたよね。



「ああ。ソラは記憶喪失だからまだ分かっていないかもしれないが、この国では俺とソラだけが王になる資格を持っている。そして、国には俺派の人とソラ派の人が居るんだ。」



そうなんだ。でも、ソラ派の人は少なそうだけど…というか、お姉様は王座に座る資格はないのかな?



「…そうなんですね」



聞きたいことは色々とあるが、今はやめておこう。



「もちろんルイスは俺の護衛だから俺派な訳だ。ソラの情報を流せば俺が王になるのに有利になる…つまり、ソラが記憶喪失だと言ったのは俺派の人物である可能性が高いんだ」



「なるほど…」



「まだ確信がもてる証拠はないのだが…ソラの情報を知っている人物の中で1番可能性が高いのはルイスだ」



うーん、でもルイス先輩が少数派であろうソラのことをリスクを犯してまで潰す意味は無いような…?



「…俺は、こういう正々堂々としていないやり方が大嫌いだ。もしあいつが犯人なら、護衛から外す。」



お兄様、すごく怒ってる…



「そうですか、それはお兄様に任せますけど…犯人が分かるまでは、ルイス先輩に強く当たらない方が良いと思いますよ?」



こんなに怒ったら、2人の関係に亀裂が入ってしまうかもしれない…僕のせいでそうなるのは避けたい。



「…分かっている。…ソラは悔しくないのか?被害者はお前なんだぞ?」



「もちろん大変なことは沢山ありましたけど、言ってしまった人もなにか事情があったのかも知れないですし、結果として何ともなかったので…お兄様が僕のことを考えてくださっているのはとても嬉しいですが、僕は気にしてませんよ」



「そうか…ソラの方が、向いているんだろうな…」



「…えっと、何がでしょうか?」



「いや、なんでもない。…取り敢えず、ソラが許しても俺は許さない。すまないがこれは変わらない。これからは本格的に犯人探しをする。結果は随一報告させるよ。」



「…分かりました。ありがとうございます、お兄様。」



「ああ。…じゃあ、もういい時間だし一緒に馬車まで行こうか」



「はい、分かりました」



ふと後ろを見るとシアンがちょこんと座っていた。…今の会話、全て聞いていたみたいだ。



シアン、じゃあね。



僕はお兄様に気づかれないよう、シアンに手を振る。



…シアンも、しっぽを振って返してくれているような気がした。



―――――――――――――――――――――――




<脱落させるキャラクターを1人決めてください>




私は置いてある紙に彼の名前を書く。




『ルイス・ヴィオラ』




「ふふっ…さようなら、ルイス」



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