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記念すべき初の相手はベヒモスベビー

「おぉティルファよ!死んでしまうとは情けない」



 ん?あれ?

 真っ暗な場所……?

 それに目の前に居るのは、



「神様のおじいちゃん……?」


「気がついたかの。どうじゃ?お主が望んだ異世界は」


「いや、あの、あれ?ちょっと待ってください。私、死にませんでしたっけ?ていうか、死んだ……?あれ?」


「そうじゃな。ものの見事に首を切られて死んでしもうたわい」


「えーっと……もしかして私は、もう終わりですか?」


「まぁお主が望めば終わりじゃな」


「えーーーーーーっ!?いやいや待ってください!私まだあそこに来たばかりですよ!?何もしてませんよ!?なのに終わりってどういうことですか!?」


「どうも何も。そのまま意味じゃが?」


「そんな……」



 やっと私の望みが叶ったと思ったのに、初めて感じる様々な刺激に感動したばかりなのに、もう、終わりなの……?



「何をそんなに悲観しておるのかは知らんが、まだお主がやり直したいという気力があるならやら直せばいいのではないか?」


「……え?」


「言ったばかりじゃろう?お主が望めば終わりじゃと。逆に言えばお主が望まぬのであればまだ終わりではない」



 そうなの?



「お主はそもそも人間では無い。それどころか生物ですら無い。厳密に言えば人間の肉体に限りなく近い人形にお主の意識を封じたものじゃ。それ故に、我々神が定めたことわりの枠に当てはまらぬから生きるも死ぬも自由じゃ。勿論お主らのことわりに沿った制約はつくがの」



 言われてみればそうなのかな……?



「生きたいのであればコンティニューを。死にたいのであればゲームオーバーを。ずっとそうしてきたのじゃろう?」



 それも、そうだ。

 私達はどれだけゲームの中で死んでもコンティニューさえすればまたやり直せる。疲れてやりたくなくなればゲームオーバーでやめる事が出来る。


 てっきり私はここはもうゲームの世界とは全く違うのかと思っていたけど、どうやら私達の常識がまだ通じる世界らしい。

 それなら……いける!



「変に勘違いをしていました。今の私は人間プレイヤーと同じなのかと思ってましたが、そうではないのですね」


「勿論じゃ。人間と同じにするくらいなら初めから多少無理をしてでも本物の人間をこちらに転移させるわい」



 それもそっか!

 よし!



「私はFrontierのキャラクター・ティルファ!この心が完全にへし折れぬ限り、闘い続けます!」


「ほっほっほ。その意気じゃ。そうとなればさっきお主を助けようとしてくれて者を早く助けてやってはどうかの?現実の時間とここでの時間は同じじゃからモタモタしていると手遅れになってしまうぞ」


「分かりました!」



 私は死なない。死んでもやり直せる。

 だから恐れるものは何も無い!



【やり直しますか? [はい] [いいえ]】



 私の選択は勿論……



「はい!」




 ☆★☆★☆



「グォォォォォォォ!」


「くっ、くそったれがぁぁぁぁ!来るな!こっちへ来るな!」


「グォォ!」


「死にたくねぇ……!死にたくねぇよ……!誰か……誰か助けてくれっ……!」


「グォォォォ!!!」


「もう駄目だ……!」


「グォ!?」


「え?」


「さっきはどうもありがとうございました!」


「あんた……さっきの姉ちゃん!?死んだんじゃなかったのか!?」


「話は後です!早く逃げて!」


「お、おう!」


「グォォォォ!!!」



 この獣、ベヒモスベビーとか言ったっけ。

 さっきは不意に襲われたから全然相手の力量を測れなかったけど……



「なんだ。ちゃんと相手をしてみると大した事ないじゃん」



 力は確かにある。けど、図体ばかりデカくてスピードが無い。その上知性も無い。



「これじゃただの凶暴な的だね」


「グォォ!」



 自分の攻撃を素手・・・で受け止められた事に怒りを覚えたのか、この獣の意識はさっきの人じゃなくて私に向けられている。

 ……うん。それでいい。



「こっちへおいで!ほらほら!」



 軽い挑発ですぐに私に向かって突進してくる。

 こういう相手が1番やりやすい。



「よっと」



 どれだけ力強く、そして早く突進してきても、ただ一直線に走ってくるだけなら避けるのは簡単。

 でも、避けるばかりじゃ勝てない。

 だから次はうんと距離をとって私に突進させる。



「ほらほら!何してるの?こっちだよこっち!」



 さっきよりも倍以上の距離をとって、獣の真正面にただ立ち尽くす。

 避ける意思も、守る意思も無い。



「お、おい!姉ちゃん!何やってるんだ!」



 ううん。これでいいの。

 これが1番いいの。

 あの手の脳筋タイプの敵にはね。



「グルルル……グォォォォォォ!」



 私の態度に余程腹を立てたのか、幾分さっきより突進してくる速度が早く感じる。

 地鳴りも凄い。

 きっと今のあの獣はかなりのエネルギーを有している。

 ……最高だね。



「姉ちゃん!もう目の前まで来てるぞ!早く動けよ

 !吹っ飛ばされるぞ!」



 吹っ飛ばされるのは……どっちかな?



「グォォォォォォォ!」


「あぁ……あぁぁぁぁぁ……!」


「……幻闘術・肆之型しのかた



 これでも……食らえ!



幻反鏡リフレクション!」


「ゴ……ァァァァァ……」


「……は?」


「うん!完璧!」



 私の幻反鏡リフレクション……相手の攻撃力をそっくりそのまま相手に跳ね返す事の出来る反撃カウンター技を食らった獣は宙をグルグルと舞いながら後ろに吹き飛んでいく。



「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「大丈夫ですか?」


「いや、大丈夫とかそんな話じゃなくて、あれ!」


「あれ?」



 多分さっきの獣の事を指してるんだろうけど、私の反撃カウンタープラス地面に落ちた衝撃で既にこと切れているみたいだから危険は無い筈。



「大丈夫ですよ。さっきの獣はもう死んでます」


「じゃなくて!ベヒモスベビーを素手で吹っ飛ばすなんて姉ちゃん一体何者なんだ!?しかもさっき間違いなく首吹っ飛ばされてたよな!?」


「えーと。何から説明した方がよろしいでしょうか?」


「とにかく色々だ!でもここに居るとまたいつ他の魔物が襲ってくるか分からないからとりあえず街まで戻ろう!」


「街、ですか?分かりました!」



 RPGの定番だね!



「案内するから付いてきてくれ!」


「はい!」



お気づきだとは思いますが、基本的に主人公は私TUEEE状態でのスタートになります。

ただベースになっているのがゲームのキャラという事で、異世界ファンタジーヒャッハー!とか私TUEEEという考えは一切ありません。

ただただ戦いの為に生きていきます。

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