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双子の魔術師と仮面の盗賊  作者: curono
3章 双子、湖で大冒険!

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 双子と小鬼は、魔法陣の反応を元に、指し示す方向へ歩いていった。過去、博物館で石を探した時と同じように、本の光り輝く石の図は、近づくにつれ、光の強さと点滅が速くなるようだった。本をのぞき込みながらシンジが方向を指示し、シンは周りをきょろきょろとうかがいながら道を進める。雨はしとしとと続き、シンの持つ傘を静かに叩き続けていた。

「ちょっと歩くな。おまえら疲れないのか?」

 地図の指し示す場所が近くないことを知っているキショウは、自分より年下の双子を心配して声をかける。彼の声を頭上で聞き、シンはケラケラと笑って答える。

「どうってことないだべ。あと三十分くらいは歩きそうだべな。余裕だべさ!」

「三十分ねぇ……。普通なら一時間は掛かりそうだがな」

 そう言いつつも、キショウは内心ちょっとばかり感心していた。二人の歩いている様子をうかがっていると、なかなか探索に慣れている。見知らぬ土地を歩く双子は、無意識に危険な道を避けている。こういう人のあまり入り込まない土地は、魔物もひそんでいる。怪しげな場所をシンは避け、最短距離でいけるようにシンジが指示を出す。口には出さなかったが、二人のその動きには驚いていたのだ。

「それにしても、地図の指し示すところ、ちょっとくぼんだ所にあるよね。これってやっっぱり土に埋もれているのかな?」

 地図を眺めながらシンジが首をかしげると、キショウはシンの頭の上で後ろを向いて答える。

「闇の石とは超古代文明の遺産だろ? 地面の中に埋もれていてもおかしくはないだろ」

「でも、そんなの、どうやって掘り出すだ?」

 キショウの返答に思わずシンが問いかけると、キショウは偉そうに腕組みして答える。

「地面に埋もれているといっても、遺跡ごと埋もれている可能性もある。その場合、その遺跡に入れれば、入手できる」

「遺跡かぁ……。なんだか楽しそう!」

 キショウの言葉に、シンジがシンの後ろで飛び跳ねる。シンもそれに同調して興奮気味に声を上げる。

「なんだかますます探検隊っぽくなってきただべな! 気合入るだべ~!!」

「しかし、くぼみってのは気になるな……。くぼみって一体なんのくぼみなんだろな」

 はしゃぐ双子とは対照的にキショウは難しい顔をして考え込んでいた。


 そんなやり取りをしているうちに、目的地付近に近づいてきた。予定していた三十分よりもちょっと早い。まだ雨は降り続いており、森の奥へ進むにつれ空気は冷たく、陰の気も強くなってきていた。それと同時に雨空で弱々しい日の光が届かなくなってきていた。

「ちょっと危険だね……。魔物が動きやすい空気だよ」

 反応の強くなった本から目を放し、シンジはかぶっていたフードを外す。弟の声に、シンも立ち止まり、警戒気味に周りを見渡す。

「ずいぶん森の奥に入ってきただべからな。いつでも戦えるようにしておいたほうがよさそうだべな」

「目的地もすぐだ。気をつけていけよ」

 偉そうにシンの頭上でキショウが忠告する。わかってるだべよ、とシンが反論しようとしたその直後、三人の前方で、がさがさと、何かが草を踏み分けている音がした。思わずシンは身構え、シンジも本を閉じ、構えを取る。キショウはといえば、シンのぼさぼさの髪の毛に潜り込んで隠れたようだ。三人が沈黙して気配をうかがっていると――

「いやはや、さっぱりですな……」

「そうですか……。さすがにすぐには分からないでしょう」

 人の話し声が聞こえてきた。その声に、思わず双子が顔を見合わせる。どうにも聞き覚えのある声だ。声の主はがさがさと草を分けながら、こちらに近づいてきた。双子は、警戒心を解き、様子をうかがいながら声のするほうに近づいていくと――

「……っと、あれ? おまえ達……?」

「やっぱりだべ!」

「レイロウ先生!」

 なんと声の主は二人の担任のレイロウ先生だったのだ。見れば先生も長いレインコートを羽織り、背中にはなにやら重そうなリュックを背負い、いかにも調査隊らしい格好をしていた。片手に怪しげな機械を持ち、突然現れた教え子にびっくりした表情をしていた。

「シンにシンジ!……おまえ達、こんな場所で何やってるんだ?」

「それはオラも聞きたいだべ! 先生の格好!すごいだべ!」

「ホント! 先生の格好すごーい! 調査隊っぽい!」

 先生の問いを無視し、シンジもシンも興奮気味に問いかける。予想外な場所で先生に会えた双子ははしゃいで先生に走り寄る。レイロウ先生はもそんな双子に近づいて双子をまじまじと見る。

「お前らも調査しに来たって感じだなぁ……。その本を見ると、まだ探してるんだな」

 その先生の言葉に、双子が首をかしげる。

「お前らも?」

「てことは、先生も何か調査してただか?」

 双子の問いに、レイロウ先生は背後を指差して答える。

「そうだよ、地震の原因を調べに来てたんだ。震源地を見ると、どうにもこの付近が怪しいと思ってね。おっと、紹介が遅れたな。こちらは町の警備隊の一人、リン隊員だ」

 そう言って、レイロウ先生の後ろから双子に近づいてきた男性を紹介してきた。リンと呼ばれた男性はさわやかに微笑んで、双子の前に立った。町の警備隊というだけあって、服装はまさに警備隊のそれだった。ベルトに魔鉱石付きの長い剣を装備し、紺色の制服を身にまとうその姿は凛々《りり》しく、双子は思わずそれに見とれる。

「警備隊だべか! かっこいいだな~!」

「はじめまして! カンナシンジです!」

「あ、オラはカンナシンだべ!」

 弟の自己紹介にあわててシンも自己紹介すると、リン隊員もニコッと微笑んで頭を下げる。その表情はまだ幼さが残り、成人して間もないのだろう。短めに切りそろえられた茶色の頭髪、大きくてしんの強いまなざしをした瞳は髪色同様茶色をしていた。

「こちらこそ初めまして。オレは警備隊のリン。君達は先生の教え子なんだね」

 リンはそういってレイロウ先生を見る。先生は頭をかきながら、クラス一の問題児ですよ、やんちゃな元気小僧で、と恥ずかしそうに笑う。

「ねぇ先生。なんで警備隊の人と一緒に来てたの?」

 リンをまじまじと見てシンジが問うと、先生はちょっと困ったような顔をして笑った。

「そりゃぁ、ボディガードくらいは必要だろう? 先生には魔物を追い払えるほどの力はないんだから、警備隊の人でも付いてきてくれなかったら、一人でこんな所来られないよ」

「それもそうだべな。この辺は魔物もいそうだべ」

「なんだぁ、それならそうと言ってくれれば、僕達もボディガードしたのにー」

 先生の言葉に双子が口々に言うと、先生はがっくりと肩を落としてうなだれる。

「冗談はよせよ~。お前達にボディガードを頼んだら、確実に調査が進まないよ……」

 もしもそんなことになっていたら、おそらく遠足になっていたことだろう。

「さて、私は一度帰るよ。お前達はどうなんだ? 例の探し物は見つかったのかい?」

 重い荷物を持ち直し、レイロウ先生は一歩前に踏み出して、双子に問いかける。その言葉に双子は首を振る。

「オラ達はむしろこれからだべ。まだ反応が出たばかりだべよ」

「後もう少し探すつもりなんです。でも先生、この先って何があるの?」

 シンジの問いに、先生は後ろを振り返ってレインコートのフードを上げて視線を送る。

「私が調べてきたところはちょうどココ山の湖でね。この先にはその湖くらいしかないよ」

 そこまで言って、先生は真面目な表情で双子を見る。

「地震の原因も、そのあたりだと思うんだがね……。どうにも湖の下が怪しくてな。お前らもあんまり深入りするんじゃないぞ」

 そういって先生は大きく伸びをすると、双子の肩をぽんぽんと叩いて、双子のもと来た道の方向へ歩き出した。

「公園のすぐ隣に休憩場所があってね、そこに私はいくよ。お前らも一通り調べ終わったら一度おいで。おやつくらい出してあげるからな」

 振り返りながら先生はそういって優しく笑い、警備隊のリンも双子に気をつけて、と声をかけ、先生の後ろを付いていった。



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