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100000人に1人の能力を持つ僕は美少女達と心と体を重ね最強に至る  作者: ねこまたのたま
一章

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8/9

僕よりかっこいい事言うの止めてくれる?

 三週間が経ち学校生活にも慣れてきた頃、メルから連絡が届いた。妊娠していたそうだ。

 メルと婚約したあの日から精液提供の度に二回はヤッていたので、その内妊娠するだろうとは思っていたけどこんなに早いとは。


 既に退職する事は決まっていて、寿退社となるそうだ。懲戒解雇でなくてよかった。


 寿退社の場合、結婚(婚約)退職金というのが貰え、更にメルは自然妊娠なので、自然妊娠祝い金というのも貰えるらしい。

 それが結構な額になるのだが、それは子供の為に取っておいてもらって、メルの生活に必要なお金は全て僕が出す事にした。


 子供が男の子なら、医療費全額免除、教育機関の授業料全額免除等、いろんな制度があってあまりお金は掛からないのだが、その確率はかなり低い。

 そもそも男の子が生まれにくいのに加え、姫士の子供は女の子、それも武姫になる確率が高いのだ。姫士が持つ精霊の欠片が影響しているという説が有力だが、詳しくは判明していない。


 ともあれ、男の子だろうが、女の子だろうが、やりたい事をやらせてあげたいので、貯蓄は多いに越した事はない。精液提供の回数を増やそうかな。もっと子供は増えるだろうし。


 そんなこんなで休日、メルの新居を買いに行く為に、メルと喫茶店で待ち合わせをしていたのだが、何故かシノアもついてきた。


「メルさん、久しぶりね」

「お久しぶりでございます、シノア様」

「様なんていらないわよ。家族になるのだから」

「いえ、武姫であり、正妻であるシノア様と私では立場が違いますので」


 恭しく頭を下げるメルに、シノアは不満げに溜息を吐いた。


「立場って……まあいいわ。好きにしなさい。私も好きにするから。いいわよね、メル」

「仰せのままに」


 取り敢えず、シノアがメルの事を悪く思っていないようで良かった。


「ごめんね、メル。なんか、勝手について来ちゃって」

「勝手に、って何よ!」

「申し訳ありません、アーク様。私がシノア様をお呼びしました」

「そうなの?」


 ふん、とシノアはそっぽを向いてしまった。仕方ない、甘い物でも注文して機嫌を取っておこう。


「で、なんでシノアを呼んだの?」

「それは……シノア様に謝罪をする為です」

「謝罪? なんの?」


 シノアもキョトンとしている。二人の接点は殆ど無い筈だけど、本当になんの謝罪だ?


「シノア様を差し置いて、私がアーク様の子を宿してしまった事について、謝罪を」

「え?」

「厚かましい願いとは存じておりますが、どうかこの子を産む許可を――」

「ちょ、ちょっと待ちなさい! アンタ何言ってるのよ!」


 シノアが勢いよく立ち上がる。それを勘違いしたのか、メルは諦めたような顔でツー、と一筋の涙を溢した。


「そう、ですよね。申し訳ございません」

「だから、謝るのをやめなさいよ!」

「へ?」


 シノアはメルの隣に移動し、硬く握られた手を両手で包み込む。


「メルが謝る必要も、私に許可を取る必要もないわよ。子供よ。新しい命よ。おめでたい事じゃない。私より先なんて気にしなくていいのよ。どうせ、私はあと五年子供を作れないんだから」


 女神と見紛うような慈愛に満ちた微笑みを浮かべたシノアは、メルの握られた両手をゆっくりとほぐし開き、胸元まで持ち上げる。


「シノア、様……」

「おめでとう、メル。メルとアークの子なら、美人に決まっているわね。名前はもう考えているのかしら? お金の事は心配いらないわよ。アークが稼いでくれるから。ああ、楽しみだわ。メルは大丈夫? 不安な事はない? 小娘が何言ってんだ、って思うかもしれないけれど、何かあったら相談してね。力になるわ。アークに不満があったら私がぶん殴ってやるから、遠慮なく言うのよ」

「シノア様……私は……」


 先程とは違う涙がメルの頬を伝った。


「メル、私達は家族よ。何があろうと私は貴女の味方だから、それを忘れないで」

「ありがとう、ございます、シノア様。そのような、お言葉を頂けるとは……」

「ねえ、メル、お腹触ってもいい?」

「は、はい。どうぞ」


 服越しにメルのお腹をさすり目を輝かせる。


「ここに命があるのね。凄いわ。本当に、凄いわ!」


 急に語彙力を失ってしまったが、気持ちはわかる。本当に凄い事だ。


「メル、遅くなってごめん。妊娠おめでとう。それと、ありがとう。絶対にメルも、僕達の子供も幸せにするからね」

「アーク様、シノア様、私はもう、十分幸せでございます。これ以上など」

「何言ってるのよ。あまり私を舐めないでくれる? 私の家族は世界で一番幸せになるのよ。この程度で満足してもらっては困るわ!」

「ちょっと、シノア、僕よりかっこいい事言うの止めてくれる?」


 ふふん、とドヤ顔を向けて来るシノアが少しムカついたので、注文したパンケーキは僕が食べる事にした。


「まあ、そういう訳だから、幸せになる覚悟をしておいてね。手始めに、家を買いに行こっか」

「わざわざ買って頂かなくても、アパートを借りれば良いので」

「遠慮しなくていいのよ、メル。めちゃくちゃ高い家を買わせてやりなさい!」

「シノアはちょっと黙ってようね」


 そんなこんなで、僕達は不動産屋に向かった。パンケーキはシノアに取られた。





 不動産屋に到着すると、予約していたわけではないのに明らかにVIP用の応接室に通された。


「大変お待たせ致しました。担当させて頂くメトリアと申します」


 キッチリとスーツを着こなした女性、メトリアさんに名刺を渡され、おっかなびっくり受け取ると、ふふ、と微笑ましそうに笑われた。


「本日はどのような物件をお探しでしょうか?」

「武姫姫士専門学校の寮の近くの家を買いたいのですが」

「ああ、婚約者様のお家ですか。お客様は今年入学された姫士様ですか?」

「はい、そうです」


 メトリアさんはパン、と手を合わせてニコリと笑う。


「それでしたら、三年賃貸契約をなさってはいかがですか? こちらは姫士様限定の契約になるのですが、通常の契約に比べ、月々最大で五万(セル)お安くなります。更に、敷金礼金はゼロ。退去費用は最大で三万C、それ以上頂く事はございません」

「へえ、そんなのがあるんですね。じゃあ、それでいいかな」

「待ちなさい、アーク。上手い話には絶対裏があるのよ」


 キリッとした表情でシノアが僕の前に手を差し出して来た。楽しそうでなにより。


「仰る通りです! こちらの契約、三年賃貸契約と言いましたが、正確な契約期間は姫士様が学校を卒業されるまで、となっております。ですが、その、申し上げ難いのですが、姫士様が学校を退学になった場合、契約は解除され、違約金を支払っていただく事になります」

「なんだ、そんな事。それなら問題ないわね。退学なんてしないもの。アーク、これにしましょう」


 いや、まあ、別にシノアが楽しいなら良いんだけどさ。一応、これはメルの家で、お金を出すのは僕だからね。


「一軒家が良いんですけど、寮の近くにありますか?」

「はい、ございますよ。他に条件はありますか?」

「メルは何かある?」

「その、お風呂が大きいと嬉しいです」


 確かにメルは足が長いから、足を伸ばせるような大きめのお風呂がいいか。


「いいわね! あと、キッチンは全部電気式にしなさい。子供が生まれたら、火は危ないわ」


 おお、たまには良い事を言う。よしよししてあげよう。

 頭を撫でると、シノアは何もわかっていなさそうな顔で頭を摺り寄せてきた。


「一戸建てで大きめの風呂付き、オール電化の賃貸は三つありますね。内見されますか?」

「はい、お願いします」


 そんなわけで、僕達は三つの物件を内見に行く事になった。





「うーん、場所は悪くないけど、狭いわね。どうせ、あと二、三人は婚約者が増えるだろうから、もう少し部屋が欲しいわね」





「部屋は多いけど、寮から遠いわね。流石にここまで毎日通うのは大変ね」





「寮から近くて、部屋も多い。良いじゃない! 何より、庭があるっていうのが良いわ! ここにしましょう!」

「一応言っておくけど、今探してるのはメルの家だからね? シノアが住むわけではないからね?」

「わかってるわよ! メルもここがいいでしょ?」

「はい、三つの中ではここが一番良かったのですが、その、お家賃はいくらなのでしょうか?」


 そういえば、どこも家賃を聞いていなかったな。いくらでも、メルが良いと思うのならここに決めようと思うが。


「ここは、一か月八万Cですね」

「八万!? やっす!」


 一戸建て4LDKって普通なら月二十万はするぞ。安すぎて怪しいくらいだ。


「ここは姫士様専用の賃貸住宅なので、国から補助金が出ているのです。家賃は月八万C、敷金礼金ゼロ、家具は備え付けで、お客様が退去される際に全て取り替えますので、壊しても弁償して頂く必要はありません。なんなら、不要な物は捨てて頂いても構いません」


 なるほど、姫士は普通の男性以上の優遇を受けているから、これもその一つというわけか。


「リフォーム等、建物に手を加えたい時はご一報ください。私が立ち会わさせて頂きます」

「リフォームしてもいいんですか?」

「はい、ご自由にどうぞ。それを理由に退去費用を追加で頂くような事はないので、ご安心ください。ただ、稀にあるのですが、お子様が武姫で、能力が暴走して部屋が吹き飛んだ、となると、流石に修理費用を頂く事になります。細かい条件等は契約書をご覧ください」


 シノアも小さい頃に家を燃やしかけたし、そういう事もあるか。家もそうだけど、メルの安全も確保しておかないていけないな。僕やシノアが常に傍にいられるわけではないから。まあ、それは子供が武姫かどうかわかってからでも良いか。


「僕はここが良いと思うけど、メルはどう?」

「はい、お家賃も安いですし、良いと思います」


 お金の事は気にしなくていいんだけど、普通に気に入ったみたいだし良かった。


「じゃあ、ここに決めます」

「ありがとうございます! では、一旦お店の方に戻って、契約書にサインをお願いします」


 こうして、メルの新たな家が決まった。

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