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紅焔の彼女  作者: MANAM


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紅焔の彼女 おまけエピソード

【フレアの沸点】


 フラムはリュヌシエールへ戻り願いの紅玉が消滅した事、そしてマリの伝言を伝えるとフレアは安堵した様に息を吐いた。

「そうか…あいつは向こうで幸せにしているか…良かった。しかもお前がその息子と出会い世話になるとはな。ではお前も最早向こうの世界に用は無いだろう。こちらの生活に戻るのだ」

 フラムは申し訳なさそうに母フレアに進言する。

「母よ…私は今しばらく向こうで世話になろうと思う。そして出来れば向こうの学校で学びたいのだが…」

「お前は私の跡を継ぎこの世界を守らねばならない。向こうではなくこちらで統治者として教育を受けるのだ」

 母の言葉に不服そうに沈黙すると一計を案じる。

「そうだ母よ。彼女もあなたの事を心配していたぞ」

「そうか。何と言っていた?」

 嬉しそうに食い付いてきた母に、しめたと言う表情をして続けて言うフラム。

「『フレアちゃん、あたしが居なくなって20年ちゃんと足を洗ってるかしら』とな」

 自身と母の体質とマリの性格、過去の話をつなぎ合わせマリが言いそうなことをでっち上げたフラムに、母フレアの感情が燃え上がる。

「お・ま・えにだけは言われたく無いわ! 毎日ちゃんと洗っている! そうマリーゴールドに伝えろ!」

「ではその様に!」

 言質を取ると意気揚々にさっさと炎の異送空間を作り出し向こうの世界に旅立ったフラム。

「しまった! まんまとハメられた!」

 足の事を言われると冷静で居られなくなるフレアであった。



【フラムの種族】


「で、結局あんたって何者なの」

 スマホをいじりながら今更な質問をフラムにぶつけるくれは。

「私はリュヌシエールの統治者の娘で、魔法族と呼ばれる種族だ。遥か昔には魔族と呼ばれ人間と敵対していたが、数百年前私の祖先の魔族姉妹がいた時代から徐々に人間との関係が改善していったらしい。そして畏怖される存在の『魔族』から、魔法を得意とする人『魔法族』と呼ばれる様になった…とされている」

「ふーん。じゃあ今は人間とあんたの種族同士で結婚とかもあったりするの」

「それは稀だな。だが特に問題が起こる事もない。子もちゃんと生まれるし、もとより魔族も元々はただの人間だったようだしな。歴史では不幸な気持ちのすれ違いにより始祖の魔族が誕生したとされている」

「そう。じゃあアニキのことあんたに押し付けても大丈夫か。ありがと」

 そう言うとくれはは再びスマホに集中し沈黙。

そしてフラムもくれはの言葉の意味を理解して真っ赤になってはにかみながら沈黙するのだった。



【似た者同士】


 ある休日フラムとさくらは街でばったり出会いカフェで向かい合って座っていた。

「フラム、私は考えたの。鹿屋くんの気持ちを向けてもらうためにどうすべきか」

「む…それを私に聞かせてもいいのか?」

 さくらは余裕の笑みを浮かべてフラムの顔を見据える。

「これはね、あなたにも関係のある事なの。だから正々堂々提案するわ」

「ふふ…お前のそう言う所嫌いではない。それでお前の考えとはどのようなものだ?」

「私達はお互い鹿屋くんの事が好き同士。じゃあ奪い合うんじゃなく鹿屋くんを共有する。つまり! 妻妾同衾よ!」

 さくらの強烈な提案にフラムの心にドーン! と言う音が聞こえてきそうな程衝撃を受け、テーブルを勢いよく叩きつけて立ち上がり叫んだ。

「一理ある!」

 フラムは手を差し出し握手を求め、さくらもそれに力強く応じた。

「それで、どちらが正妻になるかなんだけど…」

「うむ。妻妾と言うのは言葉のあやで、どちらも正妻という事に…私の国では手続きをすれば…」

 蒼太郎のあずかり知らぬ所であらぬ話が進んでいたのだった。



【マリちゃん誕生】


 春の穏やかな陽気の中、とある田舎の山奥に40代くらいの女性が筍をとりにやって来ていた。女性が両手の袋一杯に筍を掘り終えた頃どこからともなく花の匂いが漂ってくるのを感じた。

匂いを辿って進んで行くとそこに地元では見かけない、そして見慣れない格好の少女が倒れているのを発見する。慌てて駆け寄り抱き起こし頬を叩いて声をかけた。

「ちょっとあんた! 大丈夫かい! おーきーなー!」

「いたーい!」

 べしべしと叩かれ痛みのあまり目を覚ます少女。叩かれ真っ赤になった頬を押さえながら身を起こし辺りを見回す。

「ここは…?」

「なんだ? 行き倒れじゃないのかい? 誰かにここに捨てられたのかね?」

「いえ…行き倒れです! 助けて頂きありがとうございます!」

 お礼を述べながら心の中で少女は思う。

(良かった…異送空間は成功したようね…戦いのすぐ後に飛んだから疲れで気絶しちゃった。でも紅玉も懐にちゃんとある!)

 そんな少女を女性はまじまじと見て筍を入れた袋を一つ少女に差し出し押し付ける。

「あんた、この筍一袋持っとくれ。最近歳のせいか腰が痛くてね。ほらこっから下に家が見えるだろ? あそこがあたしの家さ。そこまで頼むよ」

「あ…はい…」

 押しの強い女性に流されるまま従うしかない少女は、足元の悪い山を難なく歩き女性を追い越す勢いで進んで行く。

「あんた…コスプレしてる割に山道に慣れてるんだね。大したもんだ」

 女性に感心する様に言われると少女はハッとした様に歩みを遅くする。

(そうか…こちらの世界には魔法がないのよね…無意識に魔力で転ばない様にしてたけど…ここは…)

 少女は少し早歩きをするとわざと足を木の根につまずかせ派手に転んでみせた。

「いたーい!」

 落ち葉を巻き上げ演技と本気が入り混じった声をあげ、頭に乗った葉っぱをふるい落とす。

「あっはっは! ドジだねえ! ほら! 立ちな」

 差し伸べられた女性の手を取り立ち上がると、恥ずかしそうに舌を出す少女。

「そうだ、あんた名前は? あたしは鹿屋もみじ。あんたは?」

「あ、マリーゴールドです」

「ほう? いい名前だね。花言葉は、『勇者』『健康』『変わらぬ愛』か。さしずめマリちゃんってとこかね。宜しくマリちゃん」

「はい! 宜しくお願いします、もみじさん!」

「でも、誤魔化す時はもっと上手くやりな? こけ方下手くそだったよ」

 あっはっは、と笑いながら山を下りて行くもみじの背中についていきながらマリーゴールドは驚きを隠せない。

「もみじさん…只者じゃ無いわ…」

「ほらほら! 早く来な! あんたなんでか知らないけどすごく汚れてんじゃない! お風呂貸してやるからはいってきな!」

「あ…ありがとうございます!」

 そしてマリーゴールドは故郷の友達の事を想う。

(フレアちゃん…ちゃんとお風呂で足洗ってるかな? あの子すぐ足蒸れちゃうからなあ)

 そんな事を思いながらもみじの家に世話になり、今日だけ、もう一日、来週まで…こうしてマリーゴールドはもみじの家に居付き、そしてそこでもみじの生意気な同い年の甥と出会いなんやかんやあるのだが、それはまた別のお話。

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