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第60話 食事作り

美穂さんがこれまでのことを説明されている。


美千子さんはなにも覚えていない様子だ。


「起きないで下さい。体内の栄養分をほとんど吸い取られています。あとで私が食事を運んできますから」


「あなたは・・・・・・」


しっかりと私の目を見て美千子さんは口を開いた。


「このかたは幸福神です。美穂を天狗から救い美千子を助けたのはこのかたです」


金一さんが言うと美千子さんは私に微笑みお礼を言った。


金一さんと美穂さんをリビングへ行かせて、夕食をとってもらうことにした。私はお盆を借りて土鍋で作ったおじやとお水を運ぶと、美千子さんを優しく起こしてスプーンでゆっくりと食べさせた。


「誰かに作ってもらうのなんて久しぶり。けれど神様に作って頂くとはなんだかとても申し訳ないわ」


似たもの夫婦だ。


「今はそんなことを考えずに召し上がって下さい」


「ありがとう」


食べ物が喉に通っていくのを逐一見届ける。通力が入っているから回復も早いはずだ。


だが、顔色からしてまだ寝ていたほうがいいなと判断する。つまり、明日もここで料理を作ったほうがいいだろうと判断する。


「私、明日朝食作ってみる」


美穂さんがひょっこりと和室に顔を出して言う。


う。やめたほうがいいと私の本能が警告している。


「いえ、私が作りますから、美穂さんは美千子さんについて差し上げて下さい」


美穂さんは少し考えてから頷く。


「うーん、わかった」


「美穂。この夏休み中に料理を覚えなさい。よくなったら私が教えるから」


美穂さんは少しだけ嫌そうな顔をされた。


「えー、面倒くさい」


「ならなんでさっき朝食作るなんて言ったの。いつかは通る道よ。来年は受験なのだから今のうちに覚えておきなさい」


「はぁい。まあ、お母さんが倒れてもおかゆすら作れないのは私も情けないわ」


頭を掻き笑っておられる。


美千子さんはおじやを全部食べて水を飲むと、またすぐに横になられてしまった。


泊まらせて頂くことにして、二階の空いた部屋を借りて仁と眠る。午前四時に起きるとこの地区の氏神様のもとへ挨拶に行き、戻って我が家でやっているように料理をこしらえる。



金一さんにお弁当を持たせてお見送りをしたあと、時間を少し空けて二人分の昼食も作る。


美穂さんは、昼間は美千子さんの様子を気にかけながら宿題をされている。


夕方には美千子さんの顔色が戻って普通にリビングの椅子に座れるようになった。


大分回復されたようだ。


「体調はいかがですか」


「随分楽になりました。本当にありがとうございます。今日の食事まで作って頂いて」

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