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第86話 ラスボスに勝ちたいなら、皆で本気を出せばいいじゃない

「頼んだぞ……皆!」


「任せておけええええ!!」



 ラウムの雄叫びが洞窟内に響き渡り、彼の巨体が先陣を切って前進する。

 鋼鉄の盾を構えた姿は、まさに移動要塞。

 そして、その直後を、サブタンクのレオナが駆け抜ける。



「まだ行けるか!? レオナ!」


「舐めないでよ先生! 私はまだ戦える!」



 レオナの盾が夕日のように赤く染まり始める。

 それは、魔法タンク特有の技の前兆。


 二人は両足に力を込め、エンシェントドラゴンへと一直線に駆け出していく。



『アアアアオオオオオオオオ————————』



 その姿を察知したドラゴンも、翼を広げて迎撃の構えを取っていた。



『天に在りし精霊達よ————我が声に耳を傾けたまえ————刃は鋭く、足は軽く、心は揺るがぬように————いまここに、大いなる祝福を授けん』



 後方でニカチカの声の揃った神聖な詠唱が始まった。

 彼女の周囲に淡い光の粒子が舞い踊り、古代語の美しい響きが空間を満たしていく。

 それは加護の魔法————仲間達の潜在能力を限界まで引き出し、筋力、敏捷性、魔法耐性の全てを大幅に向上させる高等術式である。


 ニカチカが使えるバフ魔法の中でも、最も高レベルだ。



「踏ん張れええええええええ!!」



 ラウムとレオナがドラゴンと激突した瞬間、洞窟全体が激震した。

 凄まじい轟音が響き、岩の破片が雨のように降り注ぐ。


 しかし二人は一歩も引かない。

 ラウムとレオナの盾がドラゴンの前足を受け止め続けていた。



「レオナ! 使うならここだ!」


「信じるわよ!」



 レオナは両腕に力を込める。

 その瞬間、魔法の盾が眩く光り始めた。



『カウンターボム』



 レオナの盾に蓄積されていたエネルギーが一気に解放される。

 爆発的な衝撃波がドラゴンの右足を吹き飛ばし、古代の鱗を砕いて深い傷を刻み込んでいた。



『ギャアアアアアオオオオオオ————————』



 エンシェントドラゴンが苦痛の咆哮を上げ、その巨体がよろめく。



「再生してない! 倒せるよ!」



 あのアンデットドラゴンのような無敵の再生力はない。

 すなわち、討伐できるということだ。

 レックスの必殺技であれば、倒せる————


 だが、エンシェントドラゴンもやられてばかりではないようだった。



『オオオオ————オオオオ————————』



 敵が奇妙な鳴き声をあげる。

 すると、洞窟の影から無数の雑魚モンスターが這い出してきた。



「こ、こいつも雑魚呼ぶのかよ!」



 レックスへとエンシェントドラゴンを繋ぐ一本道が、瞬く間に敵の大群によって塞がれてしまった。

 モンスターに囲まれたままでは、必殺技を放つことができない。


 そこで————レックスの後ろから現れたのは、パーティのサブアタッカー、武者丸だった。



「武者丸……大丈夫か?」


「病人扱いすんな! あのくせえドラゴンから離れたことで呪いの影響が少なくなってんだ。今はもう戦えるぜ!」



 武者丸の全身から、抑えきれない戦闘意欲が溢れ出していた。

 先ほどまでの呪いによる苦痛に歪んだ表情は消え去り、代わりに燃え滾る闘志がその瞳にみなぎっていた。



「暴れ足りねえんだ。憂さ晴らしさせてもらうぜ……!」



 武者丸が雑魚モンスターの群れに突進していく。

 彼の双剣が嵐のように舞い、敵を次々と斬り伏せていった。

 エンシェントドラゴンへの道が少しずつ切り開かれていく。


 私とクロも応戦に加わった。

 血飛沫が舞い踊り、剣戟の音が洞窟内に響く。



「マリー、僕達の役目は分かってる!?」


「分かってるわ」



 私達がやることは変わらない。


 私達の持つ最大の武器は、目だ。

 敵を分析するための、弱点を見破るための、最強の目。


 これがあれば、私達は戦える————



 その時————

 私の脳裏に、鮮明な映像が浮かび上がった。


 それは、確かに私の記憶のはずなのに、覚えのないものであった。



読んでくださりありがとうございます。



主人公がこの先どうなっていくのか、ぜひこれからも見守ってあげてください。

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