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第84話 真打を見つけたなら、どれだけボロボロでも戦うしかないじゃない

「クロ〜〜私にずっと話しかけ続けて……気絶しそう……」


「ちょ、ちょっと待ってください! えっと〜〜何がいいかなぁ……」



 一行はダンジョンの奥を進む。

 体調が悪いのを騙し騙しやりながら、クロの手を借りてなんとか足を進めていた。

 隣でクロがずっと励ましてくれているから正気を保てている。


 ダンジョンはあのアンデットドラゴンと戦った先にも奥深くまで道が続いていた。

 足音が石造りの床に響き、その反響が永遠に続くかのように思える闇の向こうへと消えていく。


 どうやら私達は、このダンジョンの、ほんの入り口付近で留まっていたに過ぎなかったらしい。

 最初の門番にしては、とんでもない強敵だったが————


 ダンジョンの内部は神秘的な光景に満ちていた。

 古びた石壁には一定の間隔で青白い炎を宿した松明が設置されており、その火は絶えることなく燃え続けている。


 炎は時折ゆらめくものの、決して消えることはなく、まるで生きているかのような神秘的な輝きを放っていた。


 魔法の力によって永続的に燃え続けているのだろうか。

 不思議な空間だった。


 天井は高く、所々に古代文字が刻まれた石柱が立ち並んでいる。

 かつてここに栄えた文明の痕跡なのかもしれない。



「————この先」



 突然、ニカチカが立ち止まった。

 生体感知の魔法が、何かを察知したのだ。



「見つけたか?」


「————この先————とても大きな生体反応」



 ニカチカはその先の道に指を差した。

 その先には、今までよりも濃い闇が広がっているような気がした。

 まるで、ダンジョン自体が意思を持ち、この先に誘おうとしているかのようだった。


 この先に強敵がいる。

 それは理屈ではなく、本能で感じ取れるほどに圧倒的なオーラが、空気を通じて漏れ出していた。



「皆、余力はあるか?」



 レックスは仲間達一人一人の顔を見回しながら問いかけた。

 緊張感を纏う声だった。



「正直、余裕なんてほとんどねえよ」



 装備が戦闘の痕跡で無残にも損傷しているラウムは、肩をすくめてそう言った。

 彼の鎧には深い亀裂が走り、自慢の大楯も傷がついている箇所が目立つ。


 レオナやニカチカも、装備がボロボロになっていた。

 武者丸は包帯で巻かれた肩の深い傷を押さえながら立っており、その傷口からは時折血が滲み出ている。


 そして、今にも倒れそうな私を、クロが支えてくれている。



 満身創痍、まさに限界ギリギリの状態。

 こんな絶望的な状態のパーティだったとしても————



「でも、やらなきゃならねえ。ここから生きて帰るためにな!」


「うん!」


「そうですね!」



 私達は、心の底から湧き上がる闘志を込めて声を張り上げた。

 絶望の淵に立たされても、仲間と共にあることの心強さが、新たな力を与えてくれる。


 生き残るためには、どんな試練であっても乗り越えなければならない。

 ここで諦めて絶望に身を委ねるのみでは、ただ無為に死にゆくだけだ。


 私達にはまだ、帰るべき場所があり、守りたいものがある。

 その想いこそが、最後の力を振り絞らせてくれるのだった。



「ありがとう。皆」



 レックスは、共に困難を乗り越えてきた頼れる仲間達に、同じ志を抱いて最後まで諦めない仲間達に、心からの感謝を述べる。

 そして、自身も前方の暗闇を真っ直ぐに見据え、パーティ全体を鼓舞するように大きく声を響かせるのだった。



「一気に決めるぞ!」


「「おう」」



 グランドクエスト。


 このダンジョンでの、最後の冒険が始まる。


読んでくださりありがとうございます。



主人公がこの先どうなっていくのか、ぜひこれからも見守ってあげてください。

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