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これは面白いですよ、とスウェイが言う。
奪うようにしてそれを乱暴に受け取ると、なぜか、スウェイはにこにことほほ笑んでいた。
「何これ? 帝国側では光の神殿を歓迎しない声が高まる? どういうこと」
「書かれてある通りかと。元々光の神殿は魔族とか人間以外の存在に対してかなり厳しい対応をしてきたことは、お嬢様もご存知でしょ?」
「それはまあ。わたしも被害者だし」
「けれど、崇められている神様そのものは、あんまり高い位置でもないというか」
「……大地母神様の子供だものね」
「そうです。そうなると、父親や母親を上と考える人間社会では大地母神様が一番上ということになるはずなんですけど」
面白いですね、とスウェイは笑う。
どうやら猟師にくさされたことへの機嫌は直ったようで安心した。
光か闇か。
その二つに両極端に分けることができるのなら、魔族との聖戦とか呼ばれたあの戦争だって正当化できる。
それとこれはブレア先生に教えてもらったことだけれども。
「光と闇それぞれに属する神々の問題ね」
「そうなのです」
意外と、闇の神に通じる系譜の神は多い。
美の女神、死の女神、月の女神、夜の神、音の神、氷の精霊、知識の神など。
冷たかったり暗かったり、生命に関したり、知恵は神の教えるもの以外必要ない、と極論づける神殿もあったりするくらいで。
それらにとって闇に属する神々というのはあまり歓迎できないものらしい。
「その中では光の神殿がまあまあそれなりに大きかったみたいですけど。帝国とか魔族とかこの近くにある大きな国ではそうでもないみたいです」
「なるほどね。あまりにも自分達が一番だってやりすぎて皇帝陛下とか魔王様とかに嫌われた‥‥‥仕方がないのじゃないのかしら。なんて私みたいな幼い子供だって地下牢に閉じ込めて死ぬまで押し込めようなんて考えるような連中だもの。まともな存在であるはずがないわ」
「でもそれを言ってしまうと‥‥‥カミーナ様が聖女様になられたことに、侮辱するような気もします‥‥‥」
姉であるわたしに仕える侍女は、やはり妹に対しては気遣いをしてしまうのだろう。
どこか困った顔をしてそんなこと言うものだから、侍女の困り顔に免じて妹のことは許してやろうかなとこの時は思った。
「それに対してはおめでとうって言うしかないじゃない。夫を寝取ってくれたのか、それとも仕方なくなのかは別にして――ロメロとエドワード、カミーナの三人で伯爵家を乗っ取った。そう考える人たちも増えるでしょうけれど」
「まあそれはさておきまして。そしてこの魔族の新聞です」
「……闇の神殿は魔族の国、オルブレイトにおいて、新しく開発される土地に神殿を建立する。人員募集‥‥‥」
オルブレイトは最近までオルブレイト公国と名乗っていた、鉄鉱石などの産地国だ。
あまり大きくなく、これまで王国、帝国、魔族の間の緩衝地帯になっていた。
先年の聖戦騒ぎで戦後処理により、魔族の支配下に割譲された国だった。
まさか? と嫌な予感がしてわたしはスウェイをにらむ。
彼女はどうです? と嬉しそうな顔をしてにんまりと笑っていた。




