#126 武具たちの会議
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紅蓮達が、今後のことで会議を進めている時。
その裏では、密かにとある者達の会議も行われていた。
「どうして私たちが人になれたか、なのだ?」
それは、桜花たち十大武具の面々によるものだった。
会議中に騒がれると面倒だから、と紅蓮達から少しだけ離れた場所に置いて行かれたのだ。
と言っても、紅蓮達から目に付く場所にいるので派手に喧嘩をすることも出来ないでいた。
「そう言われてもなあ」
そして、彼らが今なんの話をしているのか……だが。
現状桜花とノワールのみに出来る事――すなわち武具状態から人に変化する方法をルリやルナ、彼岸たちが知りたがっていたのだ。
『あなたたちはどうやって人の姿になっているの?』
そんな質問をきっかけに、紅蓮たちの裏では十大武具たちによる会議が繰り広げられていたのだった。
「私は……ぐれんを守りたいって、ぐれんと並んで戦いたいって強く願った時に、目の前が光って、そしたら人の姿になれるように……」
「俺は、自由になりたいと強く願っていた。そう思っていたところに、紅蓮が来て……そしたら人になれたって感じだな」
桜花とノワールは、それぞれが人の姿になれるようになった経緯を話した。
『ふうん。なんだかよく分からないわね』
『だね。聞いたら何か分かるかと思ったんだけど……』
二人とも、ハッキリとしているようで曖昧な答え方をしたためか、一番答えを知りたがっていたルリとルナが困惑しているようだった。
しかし、事実桜花たちにはどうして人になれたのか、その答えは分かっていなかった。
『聞く限りでは、二人とも何かに対する強い思いと、彼――緋神紅蓮が関わっているように思えるが』
そんな中、桜花たちの言葉から共通点を見つけ出してまとめたのは彼岸だった。
『何かに対する強い思い……ねぇ。それなら私にもあるとは思うんだけど……』
『それじゃあおにーさんと一緒にいた時間が短いから、とかかな?』
「いんや? そりゃあ無ェだろうよ」
『なんでそう言い切れるの……って、あ』
ノワールが首を振ったことで、ルナは何かに気が付いた様子だった。
『たしかに、出会ったばかりの貴方が人になれるんだったら、私たちもとっくになれてる……か』
そう。それは、人になれる条件に『時間』は関係が無いということだった。
出会ったばかりのノワールが人になれていて、少し前から出会っていたルリやルナはなれていないのだから。
『でも、それじゃあ一体どうすれば人になれるのかしら……』
『他に何かいい方法無いの~?』
「だから、それを俺たちに聞かれてもなァ」
「そうなのだ。私にだってよく分からないから、答えようがないのだ!」
それもそうね、とルリはため息交じりにそう呟いた。
しかしルナの方はそれでも諦めたくないようで。
『えー、でもでも! 私は早く人の姿になって――』
「……なあ、嬢ちゃん。どうしてそこまで人の姿になりたいんだ?」
ノワールがそうルナに問う。すると。
『だって……おにーさんを、もっとそばで感じたいから……』
「へえ、何だよ。口ではあんなこと言いつつも、結構可愛いとこがあんじゃねえか」
『か、かわっ!? べ、別にそんなんじゃないけど!? ただ、からかい甲斐があるな~ってだけで』
「とかいって、実は好きになっちゃった~、とかあるんじゃねえのか?」
『ちっ、違うし! そんなんじゃ……あーもう! うるさいなあ!』
どうやらルナはノワールのことが苦手なようだった。
そんな馬の合わない二人を横目に、彼岸はこう呟いた。
『早く人になって……私も彼を鍛え上げたいものだ』
「お前こそ、どうしてそこまで紅蓮を強くしたいのだ?」
『それはもちろん、私と同じ道を辿ってほしくないからだ』
「同じ道って……?」
『私もはっきりとは覚えていないが、とてもつらい人生だった気がする』
十大武具たちには記憶があまり無かった。
だから彼岸も過去の事はあまり覚えていないのだが、「辛かった」当時の感情だけは鮮明に残っていたのだ。
だからこそ、主と成った紅蓮に同じ道は歩んでほしくない。
その一心で、紅蓮を強くしてあげたいと思っていた。
「まあでもよ。お前さんもそういう思いがあるなら、あとは時が来るのを待つしかないんじゃねェのか?」
「確かに、人になりたいなら焦らずじっくり待ってるといいのだ! その隙に私はぐれんと恋仲に……なのだ」
『ちょっと、何企んでるのよ貴女は! ご主人様はみんなのご主人様なんだからね!?』
『そーだよ! おにーさんはみんなの……おにーさんだよ』
『フン、やはり相変わらず騒がしい連中だ。だが、桜花様の言う通り、焦らず期を待つとしようか』
……と、良くも悪くも交流が深まった桜花たち。
五人はそれから紅蓮達が会議を終えるまで、子供の喧嘩のような口論を繰り広げていたという。
次回は明日更新です!
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