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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第十二章 ≪失った希望、新たな希望≫
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#121 大切な人を救うため

高評価とブックマークをお願いします!!!!!!

もうすぐで今回の章も終わりますが、週一のお休みもどこでとろうか悩んでます。



 同日、夜。

 アレクや月島達が、蒼華達と共に戦うか、この都市で平和に暮らすかという選択をしていた頃。


「ちょっとだけ身体動かさない?」


 そんな蒼華の提案で、既に眠ってしまったモネ・レイニーの双子の姉弟を除いた三人が宿の外……そのさらに奥の平地まで来ていた。


「ここなら街からも離れすぎてないし、周りに何も無いから迷惑はかからないね」


 そう言いながら、蒼華は軽く跳ねたり拳を突き出したりしていた。

 いきなりの彼女の提案に、ついてきてしまった冥とメルの二人は困惑とした表所を浮かべながら言った。


「いきなりどうしたの、お姉ちゃん?」

「そう、ですよ……こんな夜中に外に来て……危ないですよ」


 メルは、少し怯えているようだった。


「メルちゃんは……もしかして怖いの? 魔王や、その仲間が……」

「私は……この数年で怖い思いはそれなりにしてきたから、もう大丈夫だって思ってたんです」


 奴隷として父親に売られ、一度も手を出されなかったとは言え、それでも王族から奴隷へと身分を落とし怖い思いはそれなりに体験してきたメル。

 そんな彼女が、つい先日味わった恐怖はその体験を上回るモノだったのだ。


「でも、魔王は……怖くて。あんなおぞましい人たちと戦わなくちゃいけなにの、って……そう思って……」

「それじゃあ、ここで静かに暮らしてる? あたしは別にそれでもいいんだよ?」

「ちょ、いきなり何を言い出すんですかお姉ちゃん!」


 肩を震わせるメルを庇うように、冥が蒼華に抗議した。

 しかし蒼華は、メルとは違う意味で肩を震わせながらこう言ったのだ。


「……あたしは、自分が許せないんだよ」

「お姉ちゃん……?」

「あたしはね、冥。紅蓮を守る、なんて言っておきながら結局あの時は何にも出来なかった。あたしは、あの子の姉なのに」

「でも、それは魔王たちが強すぎただけで……」

「ううん。違うよ、冥。強さなんてのは、努力すれば自然とついてくる物なの。だけど、あの時のあたしと魔王とじゃ強さのレベルが違った」


 それは、蒼華の努力が足りなかったのだと彼女は自身を評価した。

 すると、それを聞いた冥は。


「あんなの! 努力したって到底辿り着けるような強さじゃなかった!」

「そう思うなら、そこが冥の限界なんだよ」

「違う……お姉ちゃんは紅蓮お兄ちゃんを失って頭がおかしくなっちゃっただけだって! いつもみたいに、冷静に考えてみてよっ!」

「冷静に考えたよ……この数日、あの日の事ばかり考えてる!」


 蒼華は、悠に剣で貫かれたお腹を触りながら、悔しそうにそう叫んでいた。


「私は……悠にすら勝てなかった。前なら、あたしが圧勝してたはずなのに」

「それは……魔王が何か特別な力をにぃに与えてたとか……」

「だとしても、それを上回るくらいあたしが強ければよかっただけの話でしょ。だから、私は自分が許せないの。こんなにも無力で、弱い自分が」


 固く拳を握り、星空を見上げる蒼華。

 それと同時に、冥やメルの脳裏にはあの時の光景が蘇ってきていた。


 あの時、紅蓮が【魔双剣】を手にしたときに魔王たちはいきなり現れて。

 紅蓮が何とか魔王の攻撃をしのいだと思ったら、すぐに紅蓮は魔王の術で傷ついて。

 そして、その時――彼を助けに行こうと動いたのは、蒼華だけだったのだ。


 しかしそんな蒼華ですら、悠によって深手を負ってしまい……直後、悠の異常な力の前に冥たちは為す術無くやられていった。

 そんな、光景が思い出されていた。


「――それを言ったら、わたしたちなんて何にも出来なかったよ……」

「…………っ」


 そのせいで紅蓮を失ってしまったんだと、ポロポロと涙を流し始める冥。

 それにつられてメルも涙を流していた。


「おにい、ちゃんっ……おにいちゃんに、会いたいよお……っ」

「わた、しも……ぐれんさんに……会いたい……ですっ……」


 己の弱さと、魔王たちの恐ろしさを再認識させられ。

 それに立ち向かった紅蓮と蒼華の強さを思い知らされて。


 そして、何もできなかったことによる後悔と、紅蓮を失ったことによる悲しみが一気に込み上げてきたのだ。


「私だって、紅蓮に会いたい。だから、早く動かなきゃいけないんだ」

「怖いけど……魔王に連れていかれたんだとしたら、お兄ちゃんは私たちよりももっと怖い思いをしているはずです……」

「私、も……あの日ぐれんさんが救ってくれたように、今度は私が、あの人を――助けたいです」


 全員が、涙を止め。覚悟を決めたように、蒼華の言葉に応えていく。


「――それに、まだ魔王に連れていかれたって決まった訳じゃないしね」

「だとしたら、早く見つけないと……いつまた魔王たちに襲われるか分からないね」

「ですね……早く、見つけて……守らないと」


 星空の下、蒼華と冥とメルの三人は、拳を合わせて誓った。


『――絶対に、今度は負けない』


 紅蓮を守れるくらいの強さを。

 魔王に負けないくらいの強さを。


 そして二度と後悔しないための、強さを得るために。

次回は明日更新です!

恐らく明後日木曜はお休み……?


高評価↓↓↓

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