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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第十二章 ≪失った希望、新たな希望≫
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#119 アレクの提案

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「――随分と、慕われていたんですね」

「ああ、だな。俺、アイツがそんな奴だったなんて全然知らなかったぜ……」


 蒼華さんたちとの話を終えて、再びアレクさんの部屋に戻ってきた僕たち。

 戻ってくるなり、八木君と楠木君はそんな風に呟いていた。


「私も、彼はただの陰キャだと思っていた」

「ま、まあそれは間違ってはいないんだろうけど……」


 僕は苦笑いしながら、相園さんの言葉に反応するが。

 実際、緋神君が僕と同じ陰キャ族であることは確かだった。教室の隅で、いつも一人ぼっち……そんな陰キャだ。


 けれど、それはあくまでも学校内だけでの話だったのだと今日分かった。

 彼は、家族や仲間をとても大切に想い、その人たちの為なら自己犠牲だって厭わない、とても勇敢な人間であったことも。


「あれだけ愛されていたんだ。かなりの人格者だったのだろう……私も、一度は会って見たかった」

「あ、アレクさん。なんか緋神君が死んだみたいな言い方してますけど……まだ生きてると思いますよ?」

「む……確かにそうだな。今の言い方はまずかったかもしれないな」


 そう言いながら頭を下げるアレクさん。

 八木君たちも少しだけリラックスしたように笑っていた。


 しかし、僕の表情は曇ったままだった。


「どうしたの、月島。なんか浮かない顔をしているけど……」

「ああ、相園さん……」


 そう。僕は蒼華さんたちの話を聞いていて思ったことが二つあったんだ。


「……これから、僕たちはどうすればいいんだろう……って考えててね」

「これから……?」

「うん。あんな壮絶な話を聞いた以上、僕個人としては見て見ぬふりをするなんてもう嫌だ、って思って……」


 魔王の事とか、『十大武具』の事とか。

 他にも神がどうとか、実に異世界らしい壮大な設定がたくさん登場してて現実味が無いけれど……。


 ここは、今の僕たちにとっては紛れもなく異世界なんだ。

 だから、戦いに負ければ死ぬし、勝てば誰かを殺すことになる。


 そんな血生臭い世界で、緋神君は一人で全てを抱え込もうとしているように思えたんだ。

 同じように、異世界に憧れた者として。同じような、陰キャ同士だった者として。


 ――緋神君一人に、負担をかけたくない。ボクにだって、何かできる事はあるはずだ。


「月島君……」


 僕は思っていた事を全て、そのまま声に出していた。


 緋神君を取り巻く壮絶な状況を見過ごせないと思った事。

 そして、緋神君一人に全てを背負い込んでほしくないと思った事。


 だからこそ、僕は――


「俺だって、ほっとけねぇって思っちまったんだ。だから、助けられるなら、アイツを助けてやりたい」

「俺も同じ気持ちです。クラスメイトとして……っていうのもあるけど、一番はもっと彼の事を知りたいって思ったから……仲良くなりたいって思ったから」


 僕の想いに呼応するように、八木君と楠木君もそう言ってくれた。


「私も、あれだけの美人さんを惚れさせるくらいの男って言われたらなんか気になってきたかも」


 相園さんだけは別の好奇心が湧いているみたいだけれど。


「君たち……」


 僕たちの想いを聞いて、アレクさんは唸ってしまった。

 困らせてしまって申し訳ない……なんて思っていたのだが、アレクさんはすぐにこんな事を言ってきたのだ。


「……これから先、こういう展開もあるかもしれないと思って、部下たちに水面下でとあることをさせていたんだ」

「とあること、って……?」

「――ああ、それは……」




◇◇◇◇◇




「――さて。こんな夜遅くに皆に集まってもらって、申し訳ない」


 それからすぐ、僕たちは他のクラスメイトと共に全員が集められていた。

 僕含め17人の生徒と、アレクさんとその部下の計5人を合わせて22人がここ――宿屋の地下にある酒場のような施設にいた。


 突然のアレクさんの呼び出しに、僕や八木君たち4人を除いた13人のクラスメイトが戸惑っているようだった。


「それで、早速本題から入らせてもらうが――」


 そう言いながら、一つの金属製の鍵束を取り出して、アレクさんはそれをみんなに見えるように掲げた。


「これは、この中立都市にあるとある屋敷の鍵だ。今回、私たちはその屋敷を買い取り入手したので、この場所で暮らしていくことも可能となった」


 そう。それは、この中立都市ベルク―ドに拠点が出来たという報告だった。

 そして、もちろん報告はそれだけではなく……


「そして、今一度皆に問いたいことがある」


 アレクさんは言った。


「――今のところ、この地は法律などによってカルマ王国などからの干渉を受けることなく、平和に暮らすことが出来る」


 その言葉に、一部の生徒は「マジで!?」と喜ぶような声を漏らす者もいた。


「しかし、我々が先日保護した方々からの話によると、私としては見過ごせないような事態が起きている事を把握した」


 そう。それは、異世界人を守りたいというアレクさんの信念でもあった。


「そのため、希望者に関しては我々から離脱し、この都市で暮らしていくことを許可しようと考えている」



 ――今、決めてほしい。過酷な道を進むかもしれない我々についていくか、ここに残って安全に過ごすか……今、君たち自身で決めるんだ。


次回は明日更新です!

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