エピソード28.5 建国の刻(とき)
建国ならびに狭野尊 (以下、サノ)の即位の儀式の最中ですが、新しいゲストを登場させようと思う。「記紀」にはない展開が続いておりますが、ご了承ください。まずは、長髄彦 (以下、スネ)がやって来た。
スネ「おいっ! 天孫もどきっ。それで、即位を終わらせるつもりか?」
サノ「な・・・なして(なぜ)、汝が、ここにおるんや?」
スネ「わてらも召喚してもろたんやっ。」
いきなりの敵役の登場に、天種子が吼える。
天種子「わてらって、どういうことやっ。」
スネ「わてら・・・いうたら、わてらや。」
そこに、これまで敵対した人々が登場した。まずは、中つ国の土蜘蛛たち。新城戸畔、居勢祝、猪祝、高尾張邑の土蜘蛛 (以下、ツッチー)である。
新城戸畔「アタイも来てやったよ。感謝するんだねぇ。」
居勢祝「ええんやないか? 建国っ。」
猪祝「ええもん見させてもろたで・・・。」
ツッチー「すごいことになってるじゃないっすかっ! 天照大神までいるじゃないっすか!」
更に、兄磯城、兄猾、八十梟帥まで現れた。
兄磯城「俺たちも呼んじゃうんだもんな・・・。やるじゃん。」
兄猾「弟のこと、頼みます。」
八十梟帥「おめでとうございます! 天孫もどきっ!」×多数
サノ「て・・・天孫もどき・・・は変更せんのやな・・・。」
当然、弟猾と弟磯城こと黒速 (以下、クロ)も過敏に反応する。
弟猾「兄上っ! 寿いでくれるんですか?!」
兄猾「当たり前じゃないか。おまえの努力を讃えたいんだっ。」
クロ「兄上っ! 僕、嬉しいよっ!」
兄磯城「今回だけだぞ。今回だけだからなっ。」
次に、丹敷戸畔 (以下、ニシキ)、名草戸畔、埴土丸が現れた。当然、荒坂津のみなさんや、名草邑のみなさんは大興奮。一方、剛風彦は怪訝な顔を見せる。
ニシキ「ついにニシキって呼んでもらえたで。ありがとうなぁ。サノやん!」
荒坂津のみなさん「ニシキィィ!!」×多数
サノ「な・・・なれなれしい・・・。」
名草戸畔「アタイは別に、略称なんていらないんだからねっ。」
名草邑のみなさん「戸畔ちゃん! 合体おめでとう!」×多数
天種子「あっ。そうか。三つに分割したんやった。」
名草戸畔「エピソード13.5を参照しておくれっ!」
埴土丸「わしも来てやったぞ。喜べっ!」
剛風彦「汝まで、登場するとはっ! どういうことだ?」
埴土丸「神々の恩恵じゃ。わしについては、エピソード6.5を参照せよ!」
サノ「なして、汝たちまで・・・。」
そこに、天照大神 (以下、アマちゃん)と大国主大神 (以下、クニやん)が解説を始めた。
アマちゃん「敵対した者も神として祀ったんだから、彼らも参加する資格があるのよ。」
クニやん「そげだな。死ねば、みな、神になるんだぢ。何も問題はないぞ。」
更に、スピンオフで登場した、鬼八までやって来た。これには、三毛入野命 (以下、ミケ)も驚く。
ミケ「なんと! 汝まで来たんか?」
鬼八「来たっちゃ。来てしまったじ。エピソード15.7以来やじ。」
ミケ「汝も今日だけ合体したんやな。」
サノ「あっ! 確か、鬼八も三分割されてたっちゃ!」
鬼八「そうやじ。名草戸畔とは、何か縁を感じるっちゃ。」
名草戸畔「アタイは感じないよ。」
鬼八「ええっ?! 悲しいっちゃ!!」
サノ「オールスター大集合になったわけやが・・・。長髄彦よ、これで終わらせるつもりかっちゅうんわ、どういう意味や?」
スネ「紀元前660年1月1日に即位って? ホンマに紀元前660年なんか?」
サノ「えっ? ち・・・違うんか?」
スネ「これは『日本書紀』の陰謀やで。本当は・・・。」
サノ「ほ・・・本当は?」
スネ「分からんのやっ!」
サノ「ちょっと、待ってくんない(ください)。分からんって、どういうことやじ。」
スネ「紀元前660年いうのはな、辛酉の年なんや。この年を建国の年にしたかったんや。分からへんのに、そういうことにしてしもたんやっ。」
サノ「辛酉・・・親友?」
兄猾「親友じゃなくて、辛酉だよ。酉は、酉年ってことさ。二千年後も普通に使ってるだろ? 十二支ってやつさ。」
兄磯城「辛は、辛いってことでも、辛いってことでもなくて、十干ってやつだ。」
天種子「じっかん?」
ニシキ「十二支みたいに、十年間隔で変わっていく仕組みやで。甲乙丙丁戊己庚辛壬癸(こう・おつ・へい・てい・ぼ・き・こう・しん・じん・き)ってやつで、十二年間隔の十二支とセットで考えるんや。」
居勢祝「十二支は、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥(ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い)の十二種類やろ? これと十干の十種類を合わせるんや。」
新城戸畔「最初は、甲と子だから、甲子っていうよ。二千年後に甲子園ってところがあるみたいだけど、甲子の年にできたから、この名前が付いたんだよ。」
クニやん「十と十二の掛け合わせになるので、全部で六十通りというわけだな。」
鬼八「その通り! さすがは大国主様っ!」
サノ「じゃっどん、その中の辛酉でないとダメっちゅうのわ、どういうことっちゃ?」
埴土丸「漢民族の考えることは、よく分からんが、この年に革命が起こると考えていたみたいだな。」
ミケ「じゃっどん、辛酉の年は60年に一回は起きるわけやろ? 紀元前660年は、長すぎると思うんやが・・・。」
ツッチー「実は、ただの辛酉じゃないんですよね。」
サノ「ただの辛酉と、特別な辛酉が有るっちゅうことか?」
ツッチー「その通り! 辛酉は辛酉でも、21回目の辛酉が、大革命の年とされてるんです。」
剛風彦「21回目の辛酉・・・60と21をかけると・・・1260年?」
猪祝「その通り! 明治時代の学者、那珂通世が考えた説で、後漢の鄭玄という人物が書いた書物に、その記載が有ることを発見した那珂博士は、この説を唱えたんですな。」
ニシキ「西暦601年が辛酉の年なんで、その年から1260年前に建国されたことにしたと考えられてるんや。601年の1260年前は?」
サノ「き・・・紀元前660年・・・。」
ニシキ「その通り! そこで、サノやんの即位した年を紀元前660年にしたんやで。」
サノ「じゃあ、本当は分からんっちゅうことか?」
スネ「せやっ。まあ、古い時代のことやからな・・・。しゃあないわな。」
アマちゃん「いつ即位したなんて、関係ないでしょ? 大事なのは、あんたが、この国を造ったってことよ。八紘一宇を実現しようとしたってことよ。」
サノ「そ・・・そうやじ。大事なのは、いつではなく、何のため・・・。」
クニやん「まあ、わしとアマちゃんは、いつ即位したか、知ってるんだがな・・・。」
サノ「わしは、別に知りたいとは思わないっちゃ。昨日の月が欠けていようと、満ちていようと関係ないっちゃ。今日の月が美しければ、それでいいっちゃ!」
スネ「さすがは、わての好敵手やな。ええやないけ。」
サノ「いつから、そんな関係になってたんや!」
兄猾「十干と十二支については、まだいろいろ説明できるんだけど、話の本筋からズレちゃうから、これくらいでいいかな・・・。」
埴土丸「そげだな。サノも理解したみたいだしな・・・。」
サノ「呼び捨てにしたり、天孫もどきと言ってみたり、散々な扱いやが、汝らも寿ぎに来たんやろ? なら、大王を敬えっ!」
兄磯城「俺たち敵だぜ? 寿ぐってより、御手並み拝見ってところじゃねえかな。」
スネ「せやな。サノと、汝の子孫が、しっかり国を造っていくかどうか、見定めさせてもらうでっ!」
サノ「が・・・頑張るっちゃ!」
こうして、ついにサノは大王となり、日本が建国されたのであった。




