エピソード27.5 祝言、そして召喚
狭野尊 (以下、サノ)と媛蹈鞴五十鈴媛 (以下、タタラちゃん)の祝言は、まだまだ続く。さて、瓊瓊杵尊からの発言に、サノは困惑していた。
サノ「大王って何やじ?」
瓊瓊杵「この国の主ってことだね。後の世に、天皇とか、スメラミコトと呼ばれる存在だよ。」
サノ「なるほど・・・。それで、わしが初代になるってこと?」
瓊瓊杵「じゃが(そうだ)!」
サノ「御初代様も、高千穂の方言を?」
瓊瓊杵「生まれは高天原だけど、終焉の地は高千穂なんだから、当然、知ってるさ。」
サノ「あっ、そうか。」
そこへ、サノの母、玉依姫 (以下、タマ子)がやって来た。
タマ子「サノ・・・。久しぶりね。」
サノ「は・・・母上っ! 御息災でしたか? わしは、この通り、元気っちゃ!」
サノの息子、手研耳命 (以下、タギシ)や、彦五瀬命 (以下、イツセ)、稲飯命も反応する。
タギシ「お・・・おばあさまっ。お懐かしゅうございます。」
イツセ「は・・・母上っ!」
稲飯「母上っ。サノを褒めてやってくださいっ。」
タマ子「褒めますとも。よくやりましたね。」
サノ「そ・・・それほどでもないっちゃ・・・。」
タギシ「こ・・・こんな父上を見るのは、初めてっちゃ。」
そこに、サノの曾祖母の豊玉姫 (以下、トヨ)と、高祖母の木花開耶姫 (以下、サクヤ)もやって来た。
トヨ「本当に、よくやったわよ。サノちゃん。」
サクヤ「本当に頑張りましたね。」
サノ「婆ちゃんっ。それにサクヤ様までっ。」
サクヤ「ひい婆ちゃんで、よくってよ。」
瓊瓊杵「此度の祝言で、サノに会うことができて、わしもサクヤも喜んでいるんだ。気兼ねなく、ひい爺ちゃんと呼んでくれ。」
サノ「な・・・なんか恥ずかしいっちゃ。」
タギシ「これまでの説明や解説で、普通に“ひい爺ちゃん”とか言ってたじゃないですか。」
そこへ、瓊瓊杵の父、天忍穂耳命 (以下、ほっしゃん)もやって来た。
ほっしゃん「息子よ! 子孫よ! 猛烈に、よくやった!」
サノ「ひいひい爺ちゃんですか?」
ほっしゃん「そうだっ。 嬉しいぞ! わしは・・・猛烈に感動しているっ!」
瓊瓊杵「父上・・・恥ずかしいですから、その猛烈・・・っていうのは、勘弁してください。」
ほっしゃん「なぜだ? 猛烈に嬉しい時は、猛烈に叫ぶべきだと思わんか?」
瓊瓊杵「い・・・いやっ、ですから・・・。」
サノ「いろんな親子関係が垣間見えて、何か貴重な体験をしてる感じっちゃ。」
そのとき、サノの祖父、山幸彦こと、彦火火出見尊 (以下、ヤマサチ)が、サノたちに説明を始めた。
ヤマサチ「猛烈好きのおじいさまと、猛烈嫌いの父上のやり取りは、高天原でも、名物になってるんやじ。」
イツセ・稲飯・サノ「ええっ?!」×3
タギシ「よく分かりますよ。キャラの濃い、父を持つ、息子の気持ち・・・。」
サノ「どういう意味っちゃ・・・。」
タギシ「そ・・・それより、新しい義母上ができて嬉しいんですが・・・。これだけ親族が揃っているのに、母上や妹がいないのは、何か・・・寂しいですよね?」
サノ「確かにな。ミケの兄上も高千穂にいるしなぁ。」
サクヤ「呼べば、よろしくってよ。」
サノ「よ・・・呼ぶって言っても、遠すぎるんやじ。」
トヨ「呼べないことはないわよ。私たち、今、会える神様なのよ。何だってできるわよ。」
タマ子「では、召喚しましょうっ。」
その声と共に、遠方の親族やら、旅で出会った者たちが現れた。妻の吾平津媛、娘の岐須美美命、側室の興世姫、三毛入野命 (以下、ミケ)、その嫁の鵜目姫と子供たち、天道根命 (以下、ミチネ)と息子の比古麻や、他諸々の人たちである。
吾平津「あなたっ! ちょっと複雑だけど、おめでとうございます。新しい国のため、これからも頑張るのよっ。」
興世「我が君っ! お久しぶりね。」
岐須美美「父上っ。兄上っ。お久しゅうございます。」
サノ「おお、吾平津! 興世! 岐須美美! ミケの兄上! 会いたかったっちゃ!」
タギシ「母上・・・お懐かしゅうございます。そして、岐須美美、我が妹であり、弟よ。」
岐須美美「ちょっ・・・兄上! それは・・・。」
タギシ「実は、男と記載されている書物がほとんどなんや。じゃっどん『古事記』には、明確に男とか女と書かれちょらん。そこで、作者が、女ということにしたんやじ。」
岐須美美「ここでカミングアウトしなくても・・・。」
サノ「妹という設定にすることで、旅に同行しなかった理由にしたみたいやな・・・。」
岐須美美「ち・・・父上まで・・・。」
興世「それより、タタラちゃん。」
タタラちゃん「は・・・はい。」
興世「私の分まで頑張ってよ。」
タタラちゃん「は・・・はいっ。頑張りますっ。」
興世「大人の意味で、頑張れってことよ・・・。」
タタラちゃん「・・・・・・(〃▽〃)ポッ」
サノ「そういうネタは、まだ早いんやじっ。嫁いじりは禁止っちゃ!」
ミケ「サノ! わしにも、そろそろしゃべらせろっ!」
サノ「ご自由にしゃべってくんないっ。」
ミケ「わしの嫁と子供たちを紹介するっちゃ。」
鵜目姫「お初にお目にかかります。此度は、おめでとうございます。」
御子太郎「長男って、名前で分かりますよね。」
二郎「次男です。名前でわかりますよね。」
三郎「三男です。お初にお目にかかります。」
畝見「四男かな? 五男かな?」
照野「わしら何番目なんやろ?」
大戸「それだけじゃないっちゃ。わしら自身には、特に伝承がないんや。」
霊社「それだけじゃないっちゃ。わしなんて、音読みやぞ!」
浅良部「ホントだ。霊社だけ音読みだ。」
サノ「ミケの兄上・・・。に・・・にぎやかな家族になったんやな。」
ミケ「驚いたやろ?」
イツセ「わしらも驚いておるぞっ。」
稲飯「ちゃっかり、高千穂でブイブイ言わせてるみたいやないか。」
ミケ「イツセの兄上っ。稲飯の兄上っ。久しぶりっちゃ。」
ミケの子供たち「おじさんが、いっぱいやっ!」×8
タギシ「従弟の手研耳やじ。よろしく。」
ミケの子供たち「よろしくっちゃ!」×8
荒坂津のみなさん「おめでとうございます。我が君っ。」×多数
熊野の神「よくやったな。サノ。」
ミチネ「おめでとうございます。嬉しいですぞ。我が君っ。」
比古麻「やりましたね。我が君っ!」
名草邑のみなさん「お久しぶりですな。我が君っ。」×多数
槁根津日子「わては居るようで、居らんのや。」
二号「ンア~。」
吉備のみなさん「我が君っ。おめでとうございます。」×多数
宇津彦「おめでとうございます。道案内したことが、懐かしいです。」
一号「ンア~。」
剛風彦「ようやく実現したんですね。」
安芸津彦「久々じゃけぇ、泣けてきたぁぁ!!」
たいらの里のみなさん「我が君っ。寿ぎ申し上げるっちゃ。」×多数
熊鰐「我が君に、また会えて、嬉しかぁ。」
菟狭津彦「本当におめでとうございます。」
菟狭津媛「おめでとうございます。うちの人も元気そうやね。」
天種子「おお、愛しい妻よ。」
菟狭津媛「あんた、うちらの子もすくすく成長しちょりますよ。」
宇佐津臣「おとうたん・・・。」
天種子「おお、我が愛しの息子よ!」
サノ「なんか、感動の再会になってるっちゃ。」
吾田小橋「我が君っ。おめでとうございます。」
塩土老翁「わしの言った通り、素晴らしい土地だったでしょ?」
伊予二名島こと四国を治める小千命 (以下、おちやん)もやって来た。
おちやん「わしも来てやったぞな。おめでとう。サノやん!」
サノ「おお、おちやん! 久しぶりっちゃ!」
伊佐我「本当におめでとう。」
サノ「へ? 伊佐我? だ・・・誰っちゃ?」
伊佐我「これまでの物語に登場せんかったが、出雲国を治めている者だぢ。」
サノ「出雲国造ってやつか?」
伊佐我「その通りっ。出雲も協力したんだけん、登場せんとおかしかろ?」
サノ「た・・・確かに・・・。」
そこへ、大国主大神 (以下、クニやん)と天照大神 (以下、アマちゃん)がやって来た。
クニやん「伊佐我は、わしの子孫ではない。アマちゃんの子孫だぢ。国譲りのあとで、出雲を治めることになった奴の子孫だぢ。」
アマちゃん「その通りっ! だから、サノ・・・あんたの親族よ。」
サノ「そういうことは、早めに言ってくんない。」
すると、召喚された人々の中から、黒砂、真砂、大蛸が現れた。
黒砂「我が君っ! お久しぶりです。」
真砂「ついに成就したんですね。」
大蛸「ミーも嬉しいよ。」
サノ「おお、黒砂に真砂! それと、汝が大蛸か?」
大蛸「そうだよ。海底のシーンのみの登場だったから、実際にお会いするのは、今回が初めてだね。」
サノ「想像以上にデカかったんやなぁ。」
黒砂、真砂の姉妹の登場に、椎根津彦 (以下、シーソー)も歓喜の表情を浮かべる。
シーソー「黒砂! 真砂! 久しぶりっちゃ。また、会えるとはなぁ。」
黒砂「珍彦様。お久しぶりです。」
真砂「ちょっと! 今は、椎根津彦様よ。」
シーソー「いっちゃが、いっちゃが(いいよ、いいよ)。どっちでもよかっ。」
そこへ、饒速日命 (以下、ニーギ)もやって来た。
ニーギ「お初にお目にかかる。そして、おめでとう。サノくん。」
サノ「お・・・お初にお目にかかるっちゃ。」
突然の登場に、妻の三炊屋媛と息子の可美真手命 (以下、ウマシ)も反応をみせた。
三炊屋「だんなはんも、召喚されたんでっか?」
ウマシ「おとん。久しぶりやな。」
ニーギ「ふっ。これでは、道化だよ。」
サノ「なにはともあれ、多くの人たちに寿いでもらえて嬉しいっちゃ。次回はついに、大王に即位するっちゃ。」
次回、ついにサノが大王となる。日本建国である。




