エピソード27 祝言、そして直会
紀元前661年9月24日、狭野尊 (以下、サノ)と媛蹈鞴五十鈴媛 (以下、タタラちゃん)の祝言がおこなわれた。タタラちゃんが、正妃として迎え入れられたのである。
サノ「ええ、ここで、祝言に出席した人たちを紹介いたします。五十音順で発表いたします。では、天種子、よろしく頼むっちゃ。」
天種子「はい。五十手美 (以下、イソ)、井光、岩排別、味日、可美真手 (以下、ウマシ)、兄倉下、大久米、弟猾、弟倉下、弟磯城こと黒速、椎根津彦、高倉下、手研耳命 (以下、タギシ)、剣根、苞苴担、三炊屋媛、八咫烏 (以下、三本足)、夜麻都俾 (以下、ヤマト)と・・・なっております。」
タタラちゃん「では、新婦側の出席者を紹介いたします。五十手美、黒速、剣根、八咫烏、夜麻都俾・・・となっております。」
サノ「かぶってるんやないか?」
タタラちゃん「でも、お父さんとか、お母さんは神様になってますし・・・。」
三本足「でも、オラがいるぞ。オラも神様になってんだけどなぁ。」
すると、台本にはない展開が発生した。新婦の両親がやって来たのである。父の事代主神 (以下、ことっちゃん)と、母の玉櫛媛 (以下、タマちゃん)である。
ことっちゃん「おいっ! サノっ! この、だらずがっ(馬鹿たれ)! 娘の結婚式に出席せん父親が、どこにおるがね!」
タマちゃん「今回も登場しただぞ。おっ父もタタラちゃんも元気にしてただか?」
タタラちゃん「父上っ! 母上っ!」
三本足「おおっ、タマっ! 久しぶりだなぁ。」
更には、もう一人の父である、大物主神 (以下、おおもっちゃん)までもが現れた。
おおもっちゃん「わしが父親っちゅう説もあるんだぢ。出席せんといかんだろっ!」
すると、最終兵器のように、あの大神までもが出現してしまった。大国主大神 (以下、クニやん)である。
クニやん「祖父のわしも出席するぞ。わしの和魂(優しい心)が大物主だけん、父でもあるんかな?」
サノ「なっ! す・・・すごいことになってるっちゃ。」
更には、時空を超えて、タタラちゃんの伯父、すなわち八咫烏の息子、すなわち剣根兄弟の父親である、玉依彦 (以下、タマ男)まで出てきた。
タマ男「黄泉の国から、こんにちは・・・。」
三本足「おおっ、タマ男! 汝も来たんかっ!」
剣根・イソ「父上っ! お懐かしゅうございますっ。」×2
ヤマト「お・・・おじい様ですか?」
タマ男「そうだよ。」
ヤマト「お初にお目にかかります。孫の夜麻都俾です。」
タマ男「ずっと見てたよ。わしの孫だけあって、カッコいいよっ。」
サノ「そ・・・そうか、タタラちゃんの親族になるのか・・・。」
すると、そこに、天照大神 (以下、アマちゃん)と武甕雷神 (以下、タケミー)も現れた。
アマちゃん「あんたの親族も出席するわよっ。」
タケミー「わ・・・わしは、親族?」
アマちゃん「何言ってんのっ! 八百万の神、全員出席よ!」
出席者一同「ええっ!」×多数
その号令と共に、伊弉諾尊、伊弉冉尊を筆頭に、多くの神々が出現したが、紙面の都合で割愛させていただきます。
サノ「父上も、爺ちゃんも、ひい爺ちゃんも、ひいひい爺ちゃんも・・・。」
サノの父、彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊 (以下、フキアエ)は朗らかに笑った。
フキアエ「サノよ。よくやったな。」
サノ「父上っ! やったじ。ついにやったじ。」
フキアエ「うむ。よくやったじ。じゃっどん、他の子たちとは、散り散りになってしまったな・・・。」
サノ「本当に悲しかったじ。じゃっどん、再び会えて嬉しいっちゃ。」
当然、長兄の彦五瀬命 (以下、イツセ)も、次兄の稲飯命も参加しているのであった。
イツセ「サノっ! よくやった。本当に、よくやったぞ!」
稲飯「汝なら、必ずできると思ってたんやじ。本当に嬉しいっちゃ。」
サノ「稲飯の兄上は、鋤持神になったと聞いちょりましたが、サメの姿ではないんですね?」
稲飯「陸でサメになっても、意味ないやろっ!」
サノたち兄弟が、和気藹々(わきあいあい)と話している傍で、天照大神と大国主大神が歩み寄った。
アマちゃん「これで、私たちも家族ね・・・クニやん。」
クニやん「アマちゃん・・・いろいろあったが、よろしく頼む。そんで、これから、本当の国造りが始まるんだな。」
アマちゃん「私の見立て通りでしょ。この子たちなら、きっとやれるわ。」
クニやん「そげか(そうか)。それじゃあ、御手並み拝見といきますかな。」
二柱の大神が懇談している横で、一人の男が叫んだ。素戔嗚尊である。
素戔嗚「俺の子孫と姉貴の子孫が結婚だぜっ! 超うれしいぜっ!」
サノ「あっ! そうか! クニやんの先祖は、素戔嗚のおっちゃんだったんや!」
クニやん「サノっ! 調子に乗るなよっ! クニやんは禁止じゃっ!」
サノ「ご・・・ごめんなさいっ!」
タギシ「ち・・・父上っ! どうして、いつも、図に乗っちゃうんですかっ!」
素戔嗚「まあ、今日くらいいいじゃねえか。神々の宴会・・・直会なんだからよっ!」
ウマシ「直会! それって、毎年10月におこなわれる、出雲サミットの宴会のことでは?」
素戔嗚「その通りっ! 来月も直会だし、ずっと直会でいいんじゃねえか?」
アマちゃん「あんた、何言ってんの! また、岩戸に隠れるわよっ!」
素戔嗚「あっ! また出たっ! 妖怪、引きこもり女っ!」
道臣「またって・・・そのネタ、いつも使ってるんですか?」
アマちゃん「うるさいわね! そういう年頃なのよっ!」
素戔嗚「いつも思春期だからな、姉貴は・・・。」
アマちゃん「あんたねっ! ちょっと黙りなさいよっ!」
サノ「姉弟、仲良さそうで・・・。わしが、主役なんやが・・・。」
その頃、部屋の片隅では、二柱の神が対峙していた。武甕雷神 (以下、タケミー)と建御名方神 (以下、たけしゃん)である。
タケミー「久々じゃのう。たけしゃん・・・。」
たけしゃん「去年の出雲サミット以来か? まだ勝敗は、ついちょらんぞっ。タケミー・・・。」
タケミー「ほう・・・。まだ懲りていないと見ゆる。さて、やるか?」
たけしゃん「やらいでかっ。」
クニやん「いけっ! 我が息子よっ。今年は勝利で飾ってちょう(飾ってくれ)!」
大久米「タケミーも負けるなっ!」
二神の力比べが始まった。両者ともに譲らない。激しい戦いが繰り広げられる中、解説が入った。
味日「これが相撲の起源神話とされている、国譲りの際の力比べだってばさ。でも、ここで続きをやる必要はねえだろ?」
サノ「わしの・・・わしとタタラちゃんの祝言が・・・。」
そこに、サノの祖父、山幸彦こと、彦火火出見尊 (以下、ヤマサチ)がやって来た。
ヤマサチ「我が孫よ。よくやったじ。」
サノ「じ・・・爺ちゃんっ。久しぶりっちゃ。頑張ったじっ。」
そこへ、曾祖父の瓊瓊杵尊もやって来た。
瓊瓊杵「本当によくやったね。サノ・・・。」
サノ「ご・・・御初代様っ、お初にお目にかかります。サノっちゃ。」
瓊瓊杵「御初代だなんて、やめてくれないか。それに、これからは、君が、初代になるんだよ。」
サノ「えっ? どういう意味っちゃ?」
瓊瓊杵「この国の大王になるんだ。」
サノ「お・・・大王?」
祝言は、まだまだ続く。次回は、これまでの旅で出会った人たちも登場させたい。




