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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ
第二章

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87話:魔法は想像力と気力、体力だ

「身体を鍛える……です、か」

「そうだ。魔法は想像力と気力、体力だ。特に戦う力を持つ魔法である場合、その必要性は跳ね上がる」

「……結構……多いですね」

「ああ、多い。特にお前が言ったように『戦闘で勝つ』ことを目的とするなら猶更だ」


 言いながらナルメクはスケルトンを召喚するが……組み上がっていく途中で、ナルメクの収納魔法から飛び出た鎧や兜、剣に盾……そうした装備品がスケルトンに装着されスケルトンナイトと言うべきものが騎士団かというような数ほど現れる。


「お前が望むのはこういう力であるはずだ。モンスターと打ち合う騎士団を持ち、自らも戦える死霊魔法使い」

「はい! 僕は……先生みたいになりたいです!」

「そうか。何度でも言うが、お前には才能がある。故にそれなり以上の死霊魔法使いになれる。学習と鍛錬を欠かさなければ、だが」

「欠かしません……!」

「いいだろう。では売店のケイトにこの紹介状を渡して収納魔法を学ぶといい。死霊魔法使いとしてスケルトンを扱うのであれば、必要な分の装備品を持ち歩くのは基本だからな」


 勿論それはお金がかかる。結構かかる。貴族が領地で騎士団やら警備兵やらに与える装備を用意するのと同じくらいにはかかる。勿論、魔法学園ヤマダでは生徒の才覚次第でたくさん稼げるので不可能ではないが……そこはカリックスが何処までを目指すのかによるだろう。

 魔法学園ヤマダの売店で手に入る最上級の装備を100体のスケルトンに着けたいです! とか言い出した場合は……まあ、かなり凄い額になるだろう。それでも不可能ではないけれども。


「ありがとう、ございます。先生」

「教えを授けるのは教師の仕事だ。まずお前は、今教えたことを出来るようになるべきだな。そう、ボーンアーマーをしっかり会得できたら次の魔法を教えよう」

「分かり、ました。では早速……ボーンアーマー!」


 カリックスとて戦いを常とする貴族の息子だ。鎧のことくらいは分かっている。

 だから魔法を発動すればカリックスの身体を骨の鎧が覆って。しかし、胸元と腰、そして腕だけを覆う部分鎧になってしまい「あ、あれ……?」と疑問符を浮かべる。

 確かに鎧にはなっているのだが、色々とパーツが足りていない。


「魔力の不足と想像力の不足だな。足りない内は周囲に存在する死属性の魔力を取り込むようにするといい……といっても、分からないだろう。少し背中に触れるぞ」

「は、はい……」


 ナルメクはカリックスの背中に手を触れ「目を閉じろ」と告げる。

 魔力の使い方。それは魔法によってかなり異なることがある。

 たとえば属性魔法と魔法武技は理系や文系と体育会系のように違うが……もっと詳しく言えば、魔力の運用形態が全く異なっている。

 魔法武技では魔力を体の中で巡らせ、自分を杖と仮定するのを主としているが……実のところ、ここまでは同じだ。

 しかし魔法武技が強化魔法を最初に覚えるのは、自分の中に魔力を留め、自分自身の魔力を運用することを最優先にしているからだ。

 世界を巡る魔力を運用する場合、魔法武技であれば自分の内へ、属性魔法であれば自分の外で集めることを主とする。

 分かりやすく名称をつけるのであれば「オーラ式魔力運用法」と「マナ式魔力運用法」といったところだろうか、などとコアが言っていたのが魔法学園ヤマダでは採用されている。


「お前が覚えるべきはマナ式魔力運用法と呼ばれる様式だ。世界のマナを感じ取り、そこから死属性の魔力を選び取るのだ。さあ、分かりやすくお前に見えるようにしてやろう」


 ナルメクの魔力がカリックスの体内の魔力を動かし、目へと移動していく。

 ヴィジョンアイ。そう呼ぶべき世界の魔力の流れを感じる目で見れば……まるで夜空の如き黒く輝く魔力をカリックスは確かに見た。


「……なんて、綺麗」

「世界は魔力に溢れている。その感覚を忘れず、必要に応じて使うといい。見えれば呼びかけることが出来る……そのやり方そのものは、個人で掴まねばならないが。今教えたヴィジョンアイがその助けとなればいいのだが」


 ナルメクの伸ばした手に死属性の魔力が集まっていくのをカリックスは見た。

 まるでそこに銀河が出来たかのような美しい光景だ。死属性の魔力がこんなに美しいというのを知れば、もう他の属性になど手を伸ばすことはカリックスには出来そうにもない。


「……ありがとうございます。先生」


 自分の家門の領地は、これだけ美しい魔力で溢れている。それがどれだけ素晴らしいことか。自分がどれだけ恵まれているか。それを思うと、カリックスは自分の中に自信のようなものが湧いてくる。


(そうだ。僕は……恵まれている)

「ヴィジョンアイ」


 見える。自分自身の力で死属性の魔力が流れとして見える。感覚で感じるよりも鮮明なそれにカリックスは手を伸ばす。


「……力を貸してほしい。僕に、死の鎧を。ボーンアーマー」


 カリックスを周囲の死属性の魔力が覆う。自分のものだけではない。この周囲の死属性の魔力がカリックスに応えている……ナルメクの言った通り、カリックスには才能があるのだ。

 その身体を覆う骨の鎧は白く美しく……ナルメクのものに比べると、大分頼りなげではあるがスケルトンの頭部にも似た兜が頭部を覆って。


「……見事だ」


 カリックスはボーンアーマーの使い方を、確かに会得したのだった。

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