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サーファーの夢
ペテルとフレイヤがドグについて話をしていたその頃、ペテルの親友エゼはすでに深い眠りについていた。
―ムアグ留学生寮―
ここには赤道直下の南国・ムアグ共和国からグランドバレー王国に留学している児童や学生―小学生から大学生まで―たちが集う学生寮である。
2階の一番奥の部屋がエゼの部屋だった。
エゼは夢を見ていた。
祖国のムアグでは、世界中から名だたるプロサーファー達が年に一度集ってくる世界大会がある。
各国の予選を勝ち上がってきたサーファーたちの中に、大人のエゼの姿があった。
たくましい体つきに、真っ黒に日焼けした肌。
そこに大きな波がうねりを挙げて迫ってくる。
「乗るしかないぜ、このビッグウェーブに!」
エゼは臆することなくボードを走らせ、リップへ一気に駆け上がる。
そして完璧なオフザリップ!!
観客の歓声が砂浜にとどろく。
しかしその砂浜に、アロハシャツを着たオークが現れた。
「えぇのぉ、えぇのぉ。身体能力抜群の少年の夢。そんな少年の夢はぶち好みじゃ。」
オークが青く光る杖を立てた瞬間、海は一変した。
波の代わりにうごめく無数のサメのヒレ、誰もいない観客エリア、そこはただの寂しい砂浜になった。
「やめてくれ!サーファーは俺の夢なんだ!」
――翌日――
エゼは、目が覚めることがなかった。




