第19話 アボパパ驚愕。由佳の才能なのか、アビと舞羅のシナリオ
翌日、イヅは機嫌よくアマズンに戻る準備をしている。イダパパがもうすぐ迎えに来るのだ。アマズンに平和がもどって来たようで、いよいよイヅを引き取りに来ると、アボにも連絡が来た。昨日夜の事である。
アボはほっとしたが、露骨に嬉しそうにするのもイヅに気が引けて、少し残念そうな風に装った。
「イヅ、良かったなぁ。もうすぐパパが迎えに来るって?皆と仲良く遊んでくれていたのに、パパが帰れと言っているんじゃあ、仕方ないな。暇な時は遊びに来ておくれよ」
アボは嬉しくて仕方がない事は承知のイヅ、しかし、社交辞令は心得ており、
「はい、アボさん。お世話になりました。僕としては、千佳ちゃんや由佳ちゃんと遊べなくなるのは、少し寂しいですが、皆さんは、香奈おばさんが趣味のデパート勤務をやめられて、皆の相手をしてくれるから、大丈夫ではないでしょうか。おばさんに世話になったお礼を言うのが、もう出かけられたので、出来なくて少し心残りですが、僕もまた遊びに来ることもあると思いますので、その時に直接お礼が言いたいです」
真太は昨日のことがあって、まだ寝坊していた。千佳由佳は幼稚園に行って明日の卒園式の練習をしている。それでアボだけに見送られてイヅは立ち去った。
アボはイダに会って、アビが昏睡状態のままだと聞き、イヅを次期リーダーとして育てなければならなくなっていると知った。その事も、アボとしては万々歳の結果である。しかし、イダには念を押しておいた。アビの状態を喜んでいる訳では、決して無いと。くれぐれもアバが誤解しないように、配慮をお願いしておいた。自覚しているアボの上機嫌はあくまでも、香奈の気持ちを思って、共に喜んであげているだけなのだ。
午前で幼稚園は終り、千佳由佳が二人だけで家に戻って来た。
「パパ、今日はお迎えに来なかったね」
由佳が頬を膨らます。
「ごめん、ごめん、もう魔物は居ないと思って、パパは休憩していたんだ。四月からは由佳のお迎えは欠かさないから、許してね」
「もう、イヅも居ないね」
「そうなんだ、イヅはイダパパが来て連れて帰ったよ。アマズンでのお勉強があるそうなんだ」
「じゃあ、由佳のおままごとの相手、誰も居なくなっちゃった。うわあん、翼も高校生になったら出来ないって言っていたし、千佳はお勉強に集中したいっていうし、一人でどうやって遊ぶの」
「泣かないでよ、パパがいるじゃないか。パパはお芝居が得意なんだ。老若男女、どんな役だって出来る。赤ちゃんでも、お婆ちゃんでもやって見せる。由佳ちゃんの台本通りのセリフを言うから、設定を考えてね。一緒にドラマを作ろう」
千佳はパパの言う事を聞いて、大笑いである。
しかし、由佳は乗り気になって来た。
「そう、あたし昨日から考えているのがあるの。一人でやって見せるから、パパ、好きな役を選んでいいわよ」
「そりゃ嬉しいな。最初は易しいのからやりたいものだ」
由佳はひとり芝居を始めた。
『まあ、アビ、私との約束はどうなったの。あたしを置いて行ってしまうの。きっとアマズンの娘の方が良いのね』
『違うんだよ、舞羅さん。僕はあなたの恋人になることは出来ないんだ。僕はあなたとは結婚できないと分かったんだ。僕は、舞羅さんと居るとダメになるんだよ。舞羅さんも僕と一緒に居たら、ダメになるよ、きっと。僕を頼らないでくれ。僕は頼りにはならない。きっと、結婚したら、僕を嫌いになるんだ。その前に別れよう、さようなら』
『行かないで、アビ。まだ愛しているの』
『僕もだよ、でももう別れなければならないんだ、さようなら』
『嫌よ。アビ、置いて行かないでー・・・酷いわアビ。きっとアマズンに良い人が出来たのね。悔しいー』
「以上です。考えたんだけど、パパはアビ役しかないわね」
アボパパはショックで口もきけない。横で、千佳は苦しげに笑っている。
由佳の嬌声を聞いて、眠るのはやめてやって来た真太。
「由佳、才能が有るねぇ。将来は脚本家だな」
と褒めてやった。煽てておかないと、ふて腐れる状況である。パパには、テレパシーで、『千佳由佳が寝たふりして、パパ達の会話聞いているから、気をつけた方が良いよ』
と、忠告してやった。
アボの家庭は平和になったようである。
アマズンのアビのその後と言えば、アマズン川に浸からせても回復しないアビの噂を聞き、レディ・ナイラがナイラ川に連れて行った。アバは諦めていたので、止めなかった。
ナイラ川に浸かってアビは目覚めたという噂を耳にしたアバと老龍神達は、アビの産湯はナイラ川だったと思い出した。アバは認めたくは無かったが、アビのその後の療養は故郷のナイラ川でと言う事になったそうだ。
真太やイヅは、アビの母親が誰だか知って驚き、アビってナイラ川の龍神でもあったのかと思った。アボパパが教えてくれた事、ナイラ川の龍神は女系家族で、アマズンとは違って女性の龍神が多いそうだ。真太は由佳のシナリオが、川は違うけど現実的になって来ていて、ひょっとすると、予知能力が現れたのではないかと思った。
「烈の住む南の島の予知能力者は皆亡くなったそうだし、翼も能力を失ったし、必要なので由佳に出てきたのかもしれない」
とパパは真太に言った。
真太はアボパパに、
「これで当分平和だよね」
と言うと、パパはニヤリとした。
「あいつ等の親父が自己申告して、殺されているかな」
と真太に訊き返した。
「まだ殺していないのかな」
「何せ、自己申告などするはずはないし、アバ達は地獄で見かけた魔物を全て殺してはいたが、『残りが何匹とかは解からぬ』と言っていたからな」
「そのうち、由佳のシナリオに出てくるかな」
真太は例のシナリオの事は、偶然の可能性もあるとは思っている。だが、由佳が予知してくれれば便利なのだが、と少しあてにしているのだった。
では、真太達の活躍の日が来るのはまだ先の様ですので、ひとまずは、これでお終いです。
「生まれ変わっても 第3部 代替わり」はこれで完結です。
作者としましては、書きたいストーリーは出し尽くした気がしますので、一先ずこのシリーズ最後の小説にしようかなと思っています。
もしも、ストーリーを思い付いた場合はシリーズに追加するかも知れないと、一応書き添えておきます。
私の小説の作風としましては、思いついた事を書くだけです。書いている先のストーリーは作者にも分かりません。今回の小説は感覚的にこれで終わったと言う状態なので、完結にします。
ではまた別の小説を思いついた時まで・・・
拙い小説にお付き合いくださり、ありがとうございました。




