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僕の土魔法最強伝説!  作者: @さう
第一章 異世界と嫁
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エルフ


 エルフ


 凄い数のエルフがドラゴンを取り囲んで撫で回している。ご利益とかあるんだろうか。

 森の中からゾロゾロと出てきたエルフの数は50を超えている。

 ドラゴン討伐部隊か。


 僕達4人と、最初の3人は車座になって話し合いをしていた。

「私たちは山の北側から奴を追ってきたんだ」

「あのドラゴンは北から来たのか」

「ああ。私達の里も襲われてね。なんとかやり返したんだけど、逃げちまった」

「はぁ~…… 流石エルフですね。ドラゴン追い返しちゃうなんて……」

 ルルの感心した声に、エルフ三人は笑う。

 凄い美人だ。他の2人も女性だったのだが、ちょっとこれはどういう事なのか。3人揃って3人とも絶世の美女。世界三大美女が3人揃っている。

 エルフの顔は、人間とは少し違っていた。

 まず、鼻が少し四角い。熊やライオン、狼など、そういう動物的な形に近い鼻をしていた。

 そして耳だ。エルフといえば長耳。

 耳は長く横に張り出していて、産毛に覆われている。耳の先の毛は羽毛の様な形になっている。全体的に翼の様にも見える。

 ウサギの耳を横に付けた感じだろうか。とても可愛くていいと思います。

 髪の色は見回した感じ、白、青、緑、白に近い金色などがあった。髪質はストレートヘアーも天然パーマもいるようだ。

 僅かの違いではあるが、人間とは明らかに違う。だが、それを差し引いても人間の感覚で十分に美しい。

 顔の左右対称さは美醜の基準になる。美しいと感じるのは趣味や本能的なものだが、顔が左右対象の人は遺伝的に優秀であるという。つまり、遺伝的な優位を美醜として感じているのではないかという説がある。

 他のエルフ達も、髪型、体型、性別、などの差異はあっても完璧な顔立ちをしていた。


 彼女たちの肌の色は、少し緑かかった白。青白いという言葉はあるが、緑白いとはあっただろうか。

 手の指が長く、腕脚も長い。

 布の服は男女ともにチューブトップとミニスカートの様なもので、その上から軽革鎧を装備していた。

 ローブも被っていたのだが、今は全員脱いでいる。

 体のバランスが凄かった。

 黒人ダンサーの様な体付きなのだ。

 それほど筋肉が付いているわけでもないが、肩や太腿、臀部がぷりっと丸く、腰がきゅっとくびれている。

 上部に筋肉が集まっているふくらはぎは瞬発力の高さを連想させた。

 見た目だけで身体能力が高いと分かる。

 僕的に大好きな体付きだ。なので、

「おい、鼻の下のばすなよ」

 とエイダに突っ込まれるぐらいガン見してしまうのはしょうがない事だ。


 ・


「じゃあ、あの翼の穴は皆さんが」

「ああ。撃ち落とそうとしたんだがな。逃げられてしまった」

 飛んでいたので落とそうとして翼を矢で穴だらけにしたらしい。エルフすげぇ。

「助かりました」

「なぁに、こちらこそ助かった。ドラゴンは執念深い。放っておけばまた里を襲撃していただろう。倒してくれて礼を言う」

「そんな。困った時はお互い様ですよ」

「なんだそれは?」

「コイツは東の果てからやってきたんだとさ」

 エイダが言う。そういう事になっているらしい。

「なるほど。平和な場所だったらしいな。良い言葉だ」

 僕はもう随分長くこの世界に居る。

 家族仲が良くなかったけれど、皆心配しているだろうか。

 帰る方法もわからないしそれほど帰りたいとも思わない。


 ラーテの顔もしばらく見てないな。早く帰りたい。

 エルフ隊長さんの左右のエルフが、もにょもにょと隊長に言う。

「隊長、あの人、どうやってドラゴン倒したのか聞いてくださいよ」

「うむ。わかった。して、ミチ殿、ドラゴンをどうやって倒したのだ? 見たところ大きな傷は無い様だが。目玉か?」

 何でわざわざ隊長に聞かせたのか分からないが。

「土魔法で」

 エルフの隊長がそれを訳した。

 3人共ポカーンとした顔をしている。

「ミチ殿はドワーフだったのか?」

「いえ。人間ですよ?」

「だが、土魔法を使う人間など聞いた事が無い」

 やっぱりレアだったらしい。というか、ドワーフいるんだな。

「ドワーフは土魔法使えるんですか?」

「うむ。ドワーフは土魔法で鉄を少し柔らかくできるらしい。それで鉄を上手く整形するのだ」

 ふふふ。僕の土魔法はまだ見ぬ土魔法のエキスパート、ドワーフさえも越えてしまっているようだぜ。

「ほれ」

 と、エイダさんがロングソードを僕に渡した。実際にやってみせた方が早いという事だが、

「でも、変化させて元に戻しても、刃を上手く整形でませんよ?」

「いいよ別に。その時は研げばいいし、突き刺せはそのままでも使える」

 エイダは最近突き刺す事にご執心だ。

 そんなわけで、僕はロングソードを空に突き上げ、魔力を込める。

「「「うぐっ?」」」

 と、エルフ達が呻いた。

 次の瞬間、ロングソードは木の根の様にいくつも分岐しながら空へと伸びた。

 僕達の目の前3人だけでなく、他のエルフたちも皆ポカーンとした顔をしている。

 間抜けな顔でも美形だな。

「ミチ殿…… 今の魔力量は一体…… 本当に人間なのか?」

 エルフ隊長が冷や汗を流していた。水も滴るいい女だった。

「こんな物をドラゴンの腹の中で」

「ひとたまりもないな」

「俺ドワーフの土魔法を見たことあるけど、あんなのじゃなかったぞ?」

「どういう事だ? この凄まじい魔力量は」

「魔王か?」

 最後に変な言葉も聞こえたが、周りのエルフ達もびっくりしていた。

「ミチ殿、他の魔法はどうなんだ? 土魔法でさえこれだけ使えるのだ。他の魔法がこれ以下という事はあるまい」

「それが……」

 そんなわけで、僕の魔法の程度を知ったエルフ達が難しい顔をしている。眉間にシワを寄せても美形だ。

「まぁ…… そういう事もあるのかもしれん」

 という言葉でエルフ隊長は片付けた。

 エルフ隊長はどこか村長に似ている。

 もしかして同い年だろうか。しかし、女性に歳を聞いて殴られたからな。

 チラリとエイダを見ると、何だ? と聞かれたのでアルカイックスマイルで返事をした。


 ・


 エルフ達との会話が弾む。魔法談義だ。

 僕とエルフ隊長とルルが膝を付き合わせて話し合う。

 エイダやサースラは興味が無い様で、エルフ数人と森へ入っていった。モンスター狩りの勝負をするらしい。


「ほう。振動? というのは」

「ミチさんが言うには、火魔法は物を細かく震えさせる力だというんですよ」

「そうなのか?」

「いえ、確証は無いです。確認するための方法がわかりませんし」

「あ、でもですね、ミチさんの言うファイヤーボール、火の玉を飛ばすっていうのは、ありますよ」

「え? そうなの?」

「はい。思い出しました。高位の火魔法でそういうのがあります。ミチさんが手の平から火を発生させて…… って言うのでよくわからなかったんですが」

「んん? じゃあ、物質を振動させる力じゃないんだろうか」

「それよりも、土魔法の方が気になるぞ私は。物の形を変える魔法とはつまりどういう事なんだ?」

 エルフ隊長の問いに、今までの実験の結果などを、アースウォールやアースホールを実際に作りつつ説明していく。

「なかなか使えそうな魔法だな。しかし魔力量が凄まじい。こんなものミチ殿以外には使えんだろう」


 さて、エルフといえば、以前ルルとの会話であった、

「エルフって風魔法が得意なんですよね? 風魔法ってどんな仕組みなんですか?」

「仕組み? と言われてもなぁ。考えた事も無かったよ」

「ミチさんは気圧の変化がどうのこうのって言ってましたね」

「うん。前方の気圧が下がっているんじゃないかって。でも僕程度の風魔法じゃ確かめようが無くて」

「私もやってみたんですけど、あまり違いが分かりませんでした」

 ルルにも試してもらったのだが、前方で気圧が下がっているかは分からなかった。

 気圧とは何だと聞かれたので、高い所に登ったら耳が痛くなったり、嵐や天気が悪い時に空気の感覚が違ったり古傷が痛むアレです、と説明したら、ああアレか。と納得された。

「それは違うと思うぞ。私達エルフは突風も起こせる。里の皆でやれば嵐も起こせるが、そういう話は聞かない」

「そうですか…… 風魔法は謎ですね……」

 僕がため息を付くと、なんだか空気が落ちてしまった。

 そんな時はルルの出番。

「そうだ! エルフだけが使えるっていう魔法聞いたんですけど!」

「え? そんな魔法あるんですか? 四属性の他に?」

「ああ。あるぞ。私たちは雷魔法と呼んでいる。風魔法を極めた者のみが使える魔法なのだ」

 エルフ隊長が胸を張る。

「隊長さん使えるんですか?」

「うむ。見ていろ」

 エルフ隊長が人差し指をすぐ近くの木に向けた。

 と、膨大な魔力が動く感覚。

 指先に魔力が集中していく。

 ごうん、と、太く重い音がして、木が光り、燃え上がった。

「すすすす、すごいです! 雷です! 指先から雷出ましたよ!」

 ルルが興奮していた。

 僕もびっくりしたが。風魔法を極めた者のみが使える雷魔法……

 そういえば、ドラゴンが飛び立とうとした時に鳥肌が立った。恐怖から来るものかとも思ったが、髪の毛まで逆立つのはおかしい。

 あれが静電気だったとしたら。

「イオン風……」

 流行りに漏れず、僕も作ったイオンクラフト。

 仕組みはよく分からないが、電気の力で風を作り出していた。

 まさか、ドラゴンがイオンクラフトの親戚だったとは。

 でもあれは帯電するものが必要だったんじゃなかっただろうか。空中放電だけでイケるのか? それにコンデンサもどこいった。そもそも、電気自体どこから来てるんだ?

 やはり魔法はわからん。

「む? いおん?」

「う~ん…… ちょっと説明しにくいんですが……」

 僕は自分が知っている範囲でイオンクラフトの説明をしたのだが、

「でんきょく? でんあつ?」

「いおんか? ミチさん何を言っているんですか?」

 だよね。僕だってイマイチ分かってないんだから。

 だいたい、突風を起こしたり、あのドラゴンの巨体を持ち上げる程のイオン風を吹かせるとか、どんだけエネルギーが必要なんだよ。

 ……いや、僕が使ってる土魔法も、実際物理でやるとなるどどれだけのエネルギーが必要なのか分からないが。

「まぁ、つまり、雷魔法と風魔法に繋がりがあるというのは分かった」

 エルフ隊長は物分りが良すぎる。


 ・


 その夜は、ドラゴンの隣で僕達4人ぐっすり眠った。

 夜の警備はエルフ達がしてくれた。

 エイダさん曰く、

「約束を交わしたエルフは人間より信用できる」

 だそうだ。

 なお、狩り勝負は負けたらしい。

 サースラが、

「エルフ…… やばい」

 と嬉しそうに呟いていたのが印象的だった。


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