第二章【英雄の行進者】
今回はアルトにとって、大きな転機となる一章です。
戦闘、負傷、そして悲しみを含みます。
それでは、本編へ。
アルト「そこから先は怒りで覚えてないが俺の能力が判明したらしい、それがあの戦いを生み出すとは…」
激しい銃声と弾丸が飛び交う中、俺はギッドが所持してた剣を抜き、謎の男に斬り掛かる。
アルト「貴様は!絶対に許さない!裁きを受けてもらう!」
目に映る、剣を振るった先の軌跡。
俺の目には少し先の未来が見えている。
だが、その未来の中でも、俺の剣は奴に当たらない。
それでも俺は、目の前の強大な力を前に、怒りのままに剣を振るい続けた。
アルト「クソ!なんで当たらねぇ!なんでだ!」
そして激しく交戦する中、護衛の兵士達が次々と倒れる時、男が初めて俺達にもわかる言語で口を開く。
???「さて、かき鳴らそう、悪魔のサイレン…ジェリコのラッパを…」
その瞬間、上空から機械が風を切るような、しかしどの音とも表せない音が周囲を包み込む
「ファァァァァァァァアアアアアアアアア!」
そして一番音が大きくなった瞬間大きな爆発と共に気を失う、次に目を覚ました時は公安の緊急病院にいた、医者が声をかけてくる。
医者「君!目を覚ましたか!、ナース!直ぐに薬と治癒系能力者を!」
俺は何が何だか訳も分からず病室の天井を眺める。
数分後医者がゆっくりと話しかけてくる。
医者「落ち着いて聞くんだ、君はとある調査の際戦闘が発生、その後敗走し今に至るわけだ」
俺は混乱しながらもゆっくりと医者に対して質問する。
アルト「生存者は…親父は…」
医者はゆっくり首を横に振った後、1度しか使えない能力を封じ込めた希少な玉、能玉を見せながら答える。
医者「生存者は君だけだ、ライン長官は最後の最後、帰還の能玉を使って君をここまで連れてきたんだが…...長官は......力を尽くしたがダメだった…」
俺は思考が止まり、ギッドとの生活が昨日のように思い出すと同時に仮面の男を思い出し怒りがこみ上げてくる中、医者がそっと血濡れた紙を渡してくる。
そこにはギッドの字で今後について記載されていた。
「公安長官の後任はアルフレッドに、負傷アルト課長を能力検査課へ、長官権限でリハビリ兼指南を第六課のヴァルキア・セラを指名、そしてアルトへ見守ってるぞ、先に待ってる」
その後は仮面の男についての特徴である、概念系能力者の可能性と能力の特徴が書かれていたが後半になるほど文字がブレていき最後は力尽きたように文章が途切れていた、俺の視界はぼやけ、目頭が熱く、そして涙が零れ落ちる。
アルト「親父...」
数週間後、俺はある程度怪我が治った頃、とある和風の豪邸にやってきていた。
目の前には木製と瓦?というやつで作られた大きな門がそびえ立っており、俺は門を力強くノックする。
アルト「公安第五課・課長、アルト・アストレアです!、セラ・ヴァルキア殿は御在宅でしょうか!」
すると、人の気配がないまま門は開き、俺は緊張しながら奥に鎮座する屋敷に進み、屋敷の玄関に立つと、扉が開き、和風の着物という伝統衣装ながらも動きやすいようにデザインされた衣服を身に纏い、腰には刀と呼ばれる曲刀を差し、ストレートロングの髪と頭に生えた長い耳を揺らし、ゆっくり開かれたその目は心の中を見透かすようだった。
セラ「貴殿、久しいな、最後に見たのは新人式の時か...あのひ弱な小僧が今では課長で生傷が絶えぬとはな、直接来るとはどうかしたか?」
アルト「そんな、昔の話、恥ずかしいんでやめてくださいよ...とりあえずこれを」
俺は血濡れたギッドの手紙をセラに渡す、セラは目を細めながら手紙を読み切った後、静かに俺に返してくる。
セラ「そうか...ギッドの小僧も...奴もいい戦士であった...頼み確かに聞き届けた、まずは能力検査課に向かおう」
セラさんが指を鳴らすとセラと同様に頭に長い耳を生やした黒い正装を着た人物が車を回してくる。
俺とセラさんは車に乗りこみ、公安本部能力検査課に向かう。
セラ「まさかこんな形で能力検査課に向かうとはな」
アルト「俺もですよ、非能力者のままだと思ってましたから」
セラ「人生何があるか分からないものだ」
数十分の道のりを終え、俺とセラさんは能力検査課に着き簡単な手続きを済ませたあと年老いた検査官のいる部屋に通される。
検査官「君がアルト君だね、お隣のは…」
セラ「気にするな、ただの付き添いだ」
検査官「なるほど、ではまずは質疑応答、そしてテストを受けて終わる流れだが良いかね?」
アルト「分かりました」
検査官「では、発言時の状況と当時の君の感じた状態を教えてくれ」
俺は深呼吸した後当時を思い出そうとすると怒りや悔しさで拳を震わせながら答えていく。
アルト「詳しくは覚えてないんですが、相手の少し先の動きが残像で見えて…」
っと話してると、検査官とセラさんの表情が険しくなる
検査官(まさか…概念系?)
セラ「とりあえず検査しよう、私が相手をしよう」
検査官「ヴァルキア様が?...、わかりました、戦闘検査室第3番をお使いください」
俺はよくわからなかったが、部屋を移動した。
その部屋は無機質な白い壁で覆われていた、目の前には二本の模擬訓練用の剣を持ったセラさんが立っており、一本投げ渡してくる。
セラ「とりあえず久々の手合わせだ、かかってくるといい」
アルト「セ、セラさんと...ですか?」
セラ「大丈夫だ、貴殿の身体の怪我は把握してる、なに、死なぬ程度に手加減する故」
アルト「わかりましたよ!」
俺は本気でセラさんを倒す気で走り始めた、能力者は能力に目覚めた時から使えるらしいが...見えない、セラさんの動きの軌跡が。
俺の攻撃は躱され、いなされ続け、当たらない。
セラさん「どうした?そんなんでは期待外れも良い所だぞ?」
アルト「わかってますよ!」
俺の中には焦りがあった、親父は何故能力があると?、親父は何故セラさんの訓練依頼を、そんなことを考えてる時セラさんが話しかけてくる。
セラ「期待外れだ、これではギッドの小僧も浮かばれんな」
アルト「....」
その言葉を聞いて、俺の記憶がフラッシュバックした、親父が弾丸で貫かれた時を、急に訪れた理不尽への怒りを
アルト「セラさん...言って良いことと悪いことがありますよ」
セラ「ようやく本気か」
俺は怒りを胸にかけだす、しかし意外にも思考は冷静だった。
その時見えた、セラさんの動きの軌跡が。
セラ「?!」
アルト「届かないか...」
初めてセラさんが防御した、その時セラさんからの反撃が始まる。
俺は見えたセラさんの軌跡を頼りに避け続ける。
セラ「いい動きだ、貴殿...見えてるな?」
アルト「...」
セラ「いい目だ、しかし」
セラさんが目を閉じた瞬間軌跡が見えなくなった。
そしてセラさんの蹴りが顎を掠り脳が揺らされ膝を付く。
セラ「その力は目に由来するものだ、経験が浅いとイレギュラーの時見えなくなるようだ」
アルト「そんな芸当...セラさんしかできないですよ」
その後、数時間にわたり戦闘訓練を行い、俺は目がくらみその場に座り込んだ。
セラ「今回はここまでだな、部署の異動もあるだろう、能力のことも含め定期的な訓練をして進ぜよう」
アルト「はぁ...はぁ...、お、お手柔らかに」
少し休憩した後人事部と新長官であるアルフレッドに呼ばれる、アルフレッドはギッドの親友でもあった。
アルフレッド「君には例の仮面の男含め凶悪な能力者を追って欲しい、どうかね?」
アルト「...」
人事部職員・女「あんなことがあったばかりです、よく考えてからでも...」
俺の脳裏に、ギッドが死んだ時の光景と共に仮面の男の威圧感が、そして覚悟は決まっていた。
アルト「やります」
アルフレッド「...覚悟は決まってるようだね、手続きはこちらがしておこう、君は引継ぎを、一週間後に異動を」
アルト「わかりました」
アルフレッド長官と人事部の職員が立ち上がり、俺も退室しようとした時、アルフレッド長官が声をかけてくる。
アルフレッド「ギッドは...俺にとっても、かけがえのない人物だった、本当なら俺がそいつを追いたい所だが...あいつが遺したものを維持しなければならない、任せたぞ」
アルト「はい、何があっても捕えます」
アルフレッド「今度酒でも飲みながら彼のことを語り合おう」
その後の一週間は傷が治りきってもないのに忙しかった、治療の為の通院と仕事の引継ぎ、稽古と部下への挨拶回りようやく落ち着き、デスク整理をしてる時にセラさんがやってくる。
セラ「貴殿、よくやってるようだな、これが能力検査結果だ」
アルト「ありがとうございます...俺の異名と能力名、これなんです?」
セラ「ギッドの小僧が酒の席で言ってたからな、この私直々につけてやったのだよ、頑張りたまえ」
そこに書かれていたのは
所属:<公安能力実行部隊>
筆頭:【アルト・アストレア】
異名:【選択者】
能力:【英雄の行進者】「少し先の未来視」
今回は<公安能力実行部隊>の物語が動き出す回です。
アルトに眠っていた能力が明らかになり、ここから彼自身の戦いが始まります。
これからも本編、ノワールセクターをよろしくお願いします。




