第一章【邂逅】
※本作品は特定の政治思想・ナチズム・ファシスト・戦争などを含む表現を扱っていますが、現実世界のいかなる人種や団体を攻撃する意図はなく、またナチスやホロコースト否定論を支持する作意はありません※
これは、それぞれの信念をぶつけた物語である。
彼らが見た世界、歩んだ道、そして残した足跡を、それぞれの視点から書き記した物語である。
アルト「これは君達とは違う世界の話かもしれない、しかし語らねばならない、何が起きたか、英雄達の足跡を。」
アルト「今は2030年代、【テュールの火蓋】という災害から数年後の話、能力を持つ者、つまり能力者が生まれ、世界が復興へと傾き始めた頃の話だ。、今思えばあれがすべての始まりだったのかもしれない。」
ここはヴァルンカ共和国公安本部、その中に存在する公安所属第五課、俺は今書類の山に囲まれながら頭を抱えていた。
アルト「ギムレッドの案件に...?窃盗犯の追跡?、こっちは...はぁ?、猫の捜索?アニメでもあるまいし。」
俺が頭を抱えていると部下がやってくる。
部下「か、課長。書類の確認を...。」
アルト「今度はなんだ?狼退治か?それともお婆さんへのお使いか?」
部下「いえ、その...。」
俺は顔も上げずに答えた。
部下が言葉を詰まらせた、その時だった。
ドアが開き、別の大男が入ってくる、広い肩幅に鍛え上げられた身体は筋肉隆々であった、年齢を重ねてなお衰えを感じさせない体格、その男を、俺は誰よりもよく知っていた。
その男こそ、孤児で能力さえ分からない俺を育ててくれた父であり、上官でもある、公安長官【ライン・ギッド】であった。
ギッド「そう部下をいじめるな、俺からの依頼でもあるんだ。」
アルト「親父が?。」
ギッド「あぁそうだ、先日の夜、未確認能力者の情報を得てな、それが奇妙でその捜索に当たってもらいたいんだが、まずは映像を見てくれ。」
チップを機械に入れ映像を流すとノイズと共に不鮮明ながら映る人影、そして黒い何かから生まれた新たな人影が銃器で人々を制圧して回る様子だった。
ギッド「この後に、ギムレッドの一部組織が壊滅したと報告が入った。」
アルト「つまり...こいつらが?、しかしギムレッドは犯罪能力者集団...ここまで簡単に...。」
ギッド「だから任せたいのだ。」
アルト「...。」
沈黙の時間が流れると大きな衝撃と共に警報が鳴り響く。
アルト「なんだ?!、状況報告!。」
部下「本部一階が壊滅!、損害甚大!。」
アルト「こんな時に...!。」
ギッド「アルト、お前は対応に向かえ、私は人を集めた後に向かう。」
アルト「わかった!。」
頷き一階の受付に向かうと、そこには瓦礫の山とどこかで見覚えのある戦車、そしてその上に立つ謎の人物、俺はその赤黒い目を見た瞬間、すさまじいまでの殺意を感じ膝が震える。
アルト「お、お前は...。」
すさまじい殺意に声はでず、そしてその殺意はギムレッドの不良達とは違い、純粋な殺意、この世を焼く尽くさんばかりの目をしていた、その時銃声と共にギッドの声が聞こえてくる。
ギッド「そこまでだ!、誰だか知らんがこれは明確なテロ行為だ!、今すぐ降伏しなければ、痛い目を見るぞ!。」
それして、その男はゆっくり話し出す
???「„Dies ist die Glocke des Anfangs, geläutet im Donner des Pulvers – die Glocke des Wandels.」
そして男は見覚えのある戦車に乗り込み悠々と去る、そしてギッドは叫ぶ
ギッド「まずは負傷者の手当て!次に捜索隊の編成だ!急げ!時間はないぞ!。」
そして俺も人員を集めながら思い出す、あの純粋な憎悪に染まった目を、そしてどこか見覚えのある戦車を。
数日後、俺は親父と護衛の兵士と共にとある廃墟区に向かった、そこは元々大昔に兵器を製造していた場所であった。
アルト「ここに...例の能力者が?。」
ギッド「そうらしい。」
俺達は周囲を警戒しながら進む、辺りは暗く元々は工場とは思えない程に、静かで虫の音もない程に、兵士達が持つ小銃のライトが周囲を照らす。
アルト「妙に静かだ、皆、警戒を続けろ、絶対に見落とすな。」
ギッド「そう、緊張するな、ただの偵察だ。」
アルト「親父ぃ...偵察が一番危険なんだぞ...周囲は、敵だらけなんだから。」
奥の部屋に着くとそこには散乱したごみと共に明らかに生活痕があった。
そして、とある書類達を見つける。
アルト「これは?...。」
ギッド「兵器の設計図?しかし大昔の兵器達だぞ?、なんの為に...。」
俺達はその後、何も成果を得られないまま帰路に着く。
そして脳内には疑問が残り続ける、[何故公安施設を襲撃したか?]、[何故この場で大昔の兵器の設計図を集めていたか?]。
謎が謎を呼び、その日の夜、ベッドで俺はあまり眠れずにいた
翌日俺は親父の命令通りに調べ始めた、過去の事件から、過去の歴史まで、しかしなにか繋がらず頭を悩ませていた。
アルト「はぁ、何もわからん。」
俺が背もたれに寄りかかり悩んでいると珈琲を手に部下がやってくる。
部下「また、面倒ごとですか?、今度は何を?」
アルト「この前の襲撃者だ、向かったのは廃工場、しかも設計図を読み漁って終わり、意味が分からん。」
部下「また、厄介な...あのギッド長官ですよ?、基本こっちに回すのは能力者関係の厄介ごとですよ。」
アルト「 そうなんだがな、何か引っかかる、普通の能力者ではない何か...?!」
部下「何か?」
アルト「すぐ昔の詳細な地図と資料を!」
部下「?...わかりました、すぐに」
数分後部下が持ってきた地図と資料を見つめ考察する
アルト「やはりここは…しかし根拠が少ない…だが予測は出来る…次はここか…」
部下「何を調べてるんですか?」
部下が覗き込むが気にせず勢いよく立ち上がり部下に指示する。
アルト「ギッド長官を呼べ!早く!」
部下「は、はい!す、すぐに」
俺はギッドと護衛と共に別の廃墟区に存在する元博物館へとやってきた。
ギッド「急に呼び出して、しかもこれだけの護衛、何かあるのか?」
アルト「あぁ、実はこの前行った工場の件で気になってな、調べてたらとある事に気づいてな」
ギッド「とある事?」
アルト「そうだ、ギッドは能力者のアベレージクラスはわかるな?」
ギッド「当たり前だろ?どれだけ害をもたらせるか、生活の範囲内のCクラス、他人に危害をもたらすB級、戦争の一端を担えるA級、そして国家とやり合えるもしくは潰せる程の力、カタストロフ級だろ?、それがどうした?」
アルト「公式には公開されて無いが、能力がどうジャンル分けされるかも知ってるな?」
ギッドは首を傾げながら続けて答える
ギッド「あぁ、能力者はいくつかに分類される、[肉体強化系]、[治癒系]、[防御系]、[自然系]だな?」
アルト「そして…[概念系]…」
ギッド「……、?!」
アルトとギッドは天井が崩れて月光に照らされる勝利の女神像の前に男が勢いよく着地する。
埃が止む同時に姿が見え、兵士達が銃を構える。
その姿は黒を基調とした軍服を身にまとい、顔は道化師の仮面のようなもので隠していた。
ギッド「まさかのまさかだよな?」
アルト「気を引き締めろ、奴は…化け物だ」
???「Ein Held, hm? ...Zeig mir, was du kannst.」
男が言葉を発したあと黒い霧から謎のマスクを被った古めかしい兵士達が銃器を構え撃ち込みながら近づく
アルト「総員!撤退!盾を構えつつ後退!」
ギッド「くっそ!、これがカタストロフ級…可能性とはいえこれくらい…」
激しい銃撃戦が始まり、撤退を余儀無くされ撤退する中、その時盾を貫通してきた弾丸がギッドに命中し、俺は目の前が真っ白になる。
アルト「親父!なんでだ…対能力者装備だぞ!」
ギッド「…俺じゃない、奴だ…奴を見て観察しろ…、勝機と情報を…」
盾を構える護衛の後ろでギッドの手が零れる、俺は完全に思考が止まった。
銃声が遠のいていく、そんな時、俺の中で何かが切れたと同時に心に別の何が芽生えた、理不尽さに対しての強烈な怒りを、後に聞いた話では、俺の目は金色に輝いていたと。
アルト「貴様に鉄槌を!」
???「やっと目覚めたのか…、良かろう、この皇帝が相手しよう、【創造のコンキスタドール】!」
アルト「許さない!貴様を!決して!【英雄の行進者】!」
第一章ではアルトの視点から、彼が見た「謎の能力者」との邂逅を描きました。
しかし、彼が見たものが、この世界のすべてではありません。
これから先、彼らが何を見て、何を選び、何を残していくのか。
それぞれの物語が交わることで、この世界がどのような姿を見せるのか。
これは、まだ短編第一章です。
その先にある物語も、楽しんでいただければ幸いです。
それでは、また次の物語で。




