表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」で世界最強に!?  作者: qp46


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/37

第29話 視線の正体

今回は森での続きになります。

少しずつですが、違和感の正体にも触れていく回です。


シンだけが見えているものと、

他のメンバーが感じている“ズレ”も意識して書いてみました。


楽しんでいただけると嬉しいです。


森の中、少し引いた位置で足を止める。奥からの圧は消えていない。群れは減っているのに、流れだけが同じ方向へ押されている。


「どうする」

グリスが低く言う。


周囲を見て、流れを読む。中央へ押し込まれている。外に逃げ場がない。


(中央を抜く)


『提案:局所突破案』


「正面はダンが受けて左に流す。マリーは風で外周を右に寄せて中央を空ける。グリスは繋いで道を維持。レナは先行個体を落とす。俺が抜ける。合図は“今”だ」


一拍の後、レナが短く言う。「いける」

グリスが笑う。「いいな、それ」

ダンは無言で頷き、マリーは「任せて」と返した。


踏み込む。


『反応:収束』


すぐに来る。グラッジボアが正面に三、側面に二。


(……違う)


一体ずつじゃない。前、右、後ろ。複数の動きが同時に見える。ばらばらだったはずの情報が繋がり、ひとつの流れになる。


『複数対象の同時解析を開始』


(いける)


「正面三、右二!」


「受ける」

ダンが前に出る。


「盾技:シールドバッシュ!」


盾を叩きつけ、突進の勢いを殺しながら角度をずらす。


『再現可能スキル獲得:盾技・シールドバッシュ』


(合わせる)


「使う」


『再現:盾技・シールドバッシュ』


衝撃を受けず、横へ流す。流れが左に固定される。


「右寄せる!」

マリーが一歩引く。


「風魔法:ウィンドスラッシュ!」


風の刃が外周を削り、群れを右へ押す。中央に細い空間が生まれる。


「繋ぐ!」

グリスが踏み込み、崩れかけた流れを切らさず道を広げる。


(今だ)


「今!」


レナが先に出る。


「剣技:ラピッドステップ」


低い踏み込みから一閃、進路上の個体を切り落とす。


『再現可能スキル獲得:剣技・ラピッドステップ』


(速い。初級の時は間に合わなかった)


「使う」


『再現:剣技・ラピッドステップ』


今は、間に合う。一瞬で間合いが詰まる。


中央を走る。ダンが受け、グリスが繋ぎ、マリーが流れを押さえる。無理なく、一直線に通る。


最後の一体をかわし、斬る。


抜けた先、開けた場所。


空気が変わる。


(……いる)


『観測状態:強化』


背中に冷たい感覚が走る。逸らさない。意識を合わせる。


ノイズが走る。


『補正:視界安定化』


押し切る。


一瞬だけ、視界が止まる。


見える。


無機質な――目のようなもの。ただ、こちらを見ている。


(見られてる)


次の瞬間、視界が戻る。


その直後、グラッジボアたちの動きが変わった。さっきまでの流れが嘘みたいに崩れ、ばらけるように散っていく。


「……は?」

グリスが声を漏らす。


「ちょっと、何これ……」

マリーが周囲を見回す。


「……終わったのか?」

ダンが低く言う。


「……散ってる」

レナが短く答える。


誰も理由が分からない。


(……離れたのか)


そう考えるしかない。


「……何か、あったのか?」

グリスがこちらを見る。


一瞬だけ迷う。


「……分からない」


それだけ答える。


沈黙の中で、群れは完全に消えた。


(依頼は達成だな)


そう思って息を吐いた瞬間、内側で静かな変化が走る。大きくはないが、確実に何かが整う感覚。


『必要経験値を獲得』

『各種能力が向上しました』


(……上がったか)


思考の引っかかりが一段減る。さっきまでより、流れが素直に読める。


その変化を確かめる間もなく、隣で別の気配が跳ねた。


レナだ。


一段どころじゃない。明らかに違う上がり方。


(……そういえば)


孤高成長(ソロ・グロース)


あのスキルなら、この伸び方にも納得がいく。


レナはわずかに視線を逸らし、少しだけ間を置いて口を開く。


「……ごめん」


「何がだ?」


「私だけ、上がった」


短い言葉だったが、気にしているのは分かる。


グリスが肩をすくめる。


「気にすんなよ。前に出てたのはお前だろ」


マリーも苦笑する。


「むしろそれで普通よ。あの動きならね」


ダンは何も言わずに頷くだけだ。


レナは小さく息を吐き、少しだけ表情を緩める。


「……そう、ありがとう」


そのやり取りを遮るように、森の奥からかすかな音が届く。枝が折れる音と、地面を蹴る足音がいくつも重なっている。


散ったグラッジボアが、そのまま流れている。


(……まずいな)


このままなら、村に出る。


「村に向かうぞ!」

グリスが声を張る。


「急ぐ」レナが即座に動く。


ダンが続き、マリーも駆け出す。


俺も走り出す。


終わっていない。


森を抜ける間も、背中に残る感覚は消えなかった。さっき見た“何か”は消えたわけじゃない。ただ視界から外れただけで、あの場から離れたのかどうかも分からない。


それでも、ひとつだけは確かだ。


あれは――まだどこかにいる。


そして今も、こちらを見ている。


そんな気がしてならなかった。



第29話まで読んでいただきありがとうございます。


今回は戦闘の連携と、シンの再現の使い方、

そしてレナの孤高成長(ソロ・グロース)を改めて描写しました。ちなみに忘れてました笑


グラッジボアの異常は一応解決していますが、

原因そのものはまだ触りだけです。


次は村に戻ってからの動きになります。

ここから少しずつ“正体”に寄せていく予定です。


引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ